家庭菜園で、上手にいちごを作りたい方へ。
おなじく家庭菜園レベルで、フルタイム正職員かつ子育て中で忙しい管理人でもできる、なるべくお金をかけないいちご作りの方法を紹介します。
【品種は「よつぼし」が現時点でベスト】
いちご品種は「よつぼし」を選びましょう。
理由の一つが、「よつぼし」ならではの花の付きやすさ(➡実り易さ)です。
そもそもいちごが開花するには「花芽分化条件」を満たさないとダメで、この条件が器具の少ない家庭菜園でも満たしやすいのです。
よつぼしを選ぶ理由2つ目は、「休眠が浅い(=促成栽培によって冬~春ずっと収穫が可能)」ということ。
どうして大事なのかというと、冬の休眠が要る品種だと、加温し続けると花がつかないからです。例えば北の輝・けんたろうのような品種は冬の長時間低温がないと花が付かないので、冬の間ずっと加温する促成栽培には使えません。
その為、休眠が浅いということもよつぼしのメリットです。(だから促成栽培用の品種としてプロが使っています)
よつぼしを選ぶ理由の3つ目は、味が良いこと。味は個人の好みにもなってしまいますが「高級イチゴ」として売られる位ですので間違いないでしょう。
いちご栽培で、促成栽培と訊くと「家庭菜園でそんな栽培方法はできない」「お金がかかりそう」と思いがちです。
たしかに「促成栽培にするための追加費用」は1万円近くかかりますが、それでも1万円もかからず冬もいちごをと思えばいいでしょう。工夫すればコストを抑えられます。家庭菜園で、安価に、促成栽培とほぼ同じことをできます。管理人が実践した例を載せます。
【加温のやり方①できるだけ安価にやる方法】
促成栽培のやりかたその①。手間はかかるし不便だし温度調整も不正確だけど、とにかく安価にやりたい人むけの方法です。(※管理人が当初行っていた管理方法です)
※管理人はイチゴの土12Lの代わりに、上記図ではアクアフォーム培地14L+消石灰14Lを使用
これに加えてさらに、厳冬期は加温します。この中にさらに毎朝のホット対応500mLペットボトル温水×8本(つまり2L)も置きます。(85℃までOKなので85℃の温水を入れる。ミニ温室は外気温-5℃から温室内気温10℃にするのに89Kcal/h必要なので、(85℃ー10℃)×2Lで、150Kcal、これで2時間近くは10℃以上を保てます。)
単価 | 2鉢やると合計 | |
650型クイーンプランター | @450 | 900円 |
650型プランターの受け皿 | @150 | 300円 |
イチゴの土12L | @1200 | 2400円 |
よつぼし苗 | @400 | 2400円 |
<内張> ミニ温室650型プランタ用 | @550 | 1100円 |
<外張> プチプチシートの袋 | 無料 | 無料 |
耐熱ペットボトル4Lぶん | 無料 | 無料 |
合計 | ー | 7100円 |
7100円で、いちご6苗分の苗・栽培器具・促成栽培装置が全部そろってしまいます(促成栽培装置でお金かかるのは、ミニ温室1100円だけ!)。これで、家庭菜園でも促成栽培を一考できると思います。
・・・しかし弱点があって、①開閉しにくい(肥料やり、収穫や受粉、水やりが大変)、②プチプチ袋の耐久性がなく1年でだめになる、③毎日の熱湯保温が大変、という欠点つきです。
そこでちょっとお金かかりますが、①開閉しやすい、②外張りも何年もつかえる頑丈なもの、③保温も自動で と簡単にする方法もあります。
【加温のやり方②手間なく正確にやる方法】
それは<外張り>をプチプチシートでなく「ビニール温室2段用を購入」、<内張>をミニ温室650がたプランター用ではなくビニール温室のビニール内側にプチプチシートをはる、毎日の保温はセラミック熱電球セットを使う、という方法です。長い目でみるとお得になります。
単価 | 2鉢やると合計 | |
650型クイーンプランター | @450 | 900円 |
650型プランターの受け皿 | いらない | 無料 |
イチゴの土12L | @1200 | 2400円 |
よつぼし苗 | @400 | 2400円 |
<内張>プチプチシート | 無料 | 無料 |
<外張> ミニ温室2段サイズ | @3800 | 3800 |
サーモスタット | @2500 | 2500 |
セラミック熱電球ランプ 100Wのセット (ヒヨコ電球と同じもの) | @6000 | 6000 |
屋外延長コード | @1200 | 1200 |
合計 | ー | 19200円 |
プラス1.2万円近くかかりますが、これで正確な温度管理できるようになります。
【いちご促成栽培(正確・手間の無い方法)のポイント】
●保温は2重におこなう。➡ミニ温室2段の外張り+内側にプチプチシートはる
●保温に加えて加温する。➡セラミック熱電球ランプ100Wを使用。通電の為屋外防水延長コードを、温度調整のためサーモスタットを使用する。
※なければ「耐熱2Lペットボトル1本に、満タンの熱湯をいれて、毎朝夕に置く」(ヒーター替わりに)
●他の器具は、すべて露地栽培と同じものを使用する。
【いちご促成栽培に必要な物全て】
<いちご栽培するため標準で必要なもの>※促成栽培なくとも必要
●650型クイーンプランター
●クイーンプランターの受け皿
●いちごの土12L+よつぼし2苗
※管理人は袋栽培は推奨せず。あくまで土とよつぼしのセットだから掲載しています。
<促成栽培するため追加で必要>
●外張りのビニールハウス
紫外線耐久剤がぬられている専用の温室を買うべき。値段はするが、何年も使えて(日差しのある日は暑くなりすぎるから開放・毎朝の水やり・収穫時 空ける手間はあるが)使い勝手もいいことを考えるとベスト。開閉し易い・耐久性あり・650型プランター3鉢(+して9㎝ポットも)入れられる・子供がよじ登る心配なし・耐久性抜群(棚板1枚につき15kgOKなのはこれだけ) と最適解と思われる。おまけにイチゴの実やランナーをプランターの外にだしても、スペース的に余裕があるのでGood。
夏場はビニルシート外してフレームに虫よけネットつけることも可能。扇風機をセットしてプランタ気化冷却にも使える。さらにはちょっとした園芸道具(剪定ばさみ・消毒エタノールティッシュ・手袋・たたんだビニールカバーなども)も入り、とても多機能で使いやすい。
風で吹き飛ばされるのでは? ・・・2鉢おくプランターがオモリ代わりになるので飛ばない。実際2023年11月の冬の嵐(台風並みの強風時)のときも、飛ばされなかった。
何年も使ってボロボロなってきたら、替えビニールはこれです。
●内張りのミニ温室
前述のプランターごとの温室は不要。ビニール温室のビニールの内側に、プチプチシートを貼りつけるだけでOK。こうするとビニール温室の中ぜんぶが二重温室になる。
●セラミック熱電球セット(下記2つのどちらかでOK)
最低気温-5度 の地域で、10℃以上を保つためには(さっきのビニール温室2段であれば)106Wくらい必要なのでこれがピッタリに。ポイントは100V対応の点で(安価な類似品は110~120Vなので注意!)、電球も壊れにくいの声多い。当サイトでもこれをオススメする(管理人も採用している)。
●サーモスタット
これをセラミック熱電球ランプの前に噛ませることで、10℃を切ったら通電(発熱)、15℃を越えたら電源オフ(発熱終了)とできて手間なしに。光合成できる昼間は15~20℃、光合成いない夜間は消耗おさえるため10~15℃、という温度調整も可能な優秀サーモスタットです。
【よつぼし促成栽培の実例】
●道具は全て、上記で紹介したものをそのまま使っています。
<2023年11月4日>
植付。よつぼし2苗+らくなりいちご2苗。肥料は窒素遮断するため(花芽分化させる為)敢えて与えていない(窒素なし肥料を与えてもいいが、その400円をケチって与えず)。水やりは機械が勝手に9時・12時・15時にあげてくれるので心配なし(たいてい機械ないと思うので、朝たっぷりめに水やりして下さい)
※このときは「100Wペットヒーターなし」「ビニール温室2段なし(代りにプチプチシート温室+1鉢ごとのミニ温室)」だった。
<2023年11月15日>
らくなりいちごは土が合わなかったか、成長せず。
よつぼし2苗はグングン成長し、それぞれ1苗ずつランナーを出している。花芽分化らしきものも確認した。
<2023年11月21日>
●ビニール温室2段を設置●
●なえの様子●
手前のイチゴからはランナーの2本目が出現。1本目ランナーはさらに伸びて、節をつくっているので埋めれば根が付きそう。
<2023年11月26日 快晴>
朝6時は最低気温3℃、ハウス内培地温度8.2℃。
昼14時は最高気温16℃、ハウス内培地温度28℃と高温。
ちなみにハウスがないと夜間は3℃ではなく0℃くらいに下がるらしい(放射冷却のため。3度はあくまで地上1.5mの温度)
いちごはグングン生育し、2株ともつぼみ出現・ランナーが2本ずつ発生(1本ずつは土に根を張っている)。
<2023年11月27日>
朝6時は最低気温3℃、ハウス内培地温度8.2℃。快晴予報なのにハウスを閉め忘れていたため、昼12時に戻ると培地温度31.0℃と過酷な情況に(その時の外気温16℃なので15℃も違う!)。イチゴは20~25℃がベストなので急いでハウス開放。
温室を二重にすると想像以上に保温されてしまう。快晴なると15℃も気温が上がる。曇りや雨だと4℃くらい違う。
最低気温をきろくする朝方は、最低気温3℃のところ4℃くらいになる。そのため2Lペットボトルに就寝前に熱湯を入れて、ハウスに入れておくことで同じ最低3℃でも8.2℃にできる。※管理人はさらに100Wのペットヒーターを併用しています。
<2023年12月1日>
最低気温0℃なのに(霜柱立っている)、朝6時の温室培地温度は8℃もあった。これは2重温室+100Wペットヒーターの力。よつぼしいちごの開花(一番花)を発見。目標としたクリスマスには間に合いそうもないが、新年には食べられそう。
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