いちご促成栽培を家庭で!安価にイチゴを12~6月まで収穫する

家庭菜園で、上手にいちごを作りたい方へ。

おなじく家庭菜園レベルで、フルタイム正職員かつ子育て中で忙しい管理人でもできる、なるべくお金をかけないいちご作りの方法を紹介します。

【品種は「よつぼし」が現時点でベスト】

いちご品種は「よつぼし」を選びましょう。

理由の一つが、「よつぼし」ならではの花の付きやすさ(➡実り易さ)です。

そもそもいちごが開花するには「花芽分化条件」を満たさないとダメで、この条件が器具の少ない家庭菜園でも満たしやすいのです。

よつぼしの花が付きやすい理由を詳しく
0~
5℃
5~
10℃
10~
15℃
15~
20℃
20~
25℃
24.8~
28.2℃
28.2℃~
休眠無条件で
花芽分化
短日条件で
花芽分化
短日条件で
花芽分化
短日条件で
花芽分化
長日条件で
花芽分化
花芽分化
しない
真冬の露地と同じ
休眠
12月・3月の気候
殆ど生育しない
11月頃の気候
あまり生育しない
10月頃の気候
生育しやすい
9月頃の気候
4月頃も遮光すればOK
生育には最適
5~6月の気候
地面温度25℃超は生育鈍る
7~8月の気候
この温度帯はダメ
いちご「よつぼし」の花芽分化条件

ホームセンターによつぼし苗がならぶ9月に定植するとします。そうすると下記の管理をするとイチゴの最適生育温度を守れ、かつ花芽分化条件を守れるので収穫し易くなると思います。もちろん「サーモスタット」を温室に設置しておきます。

9月上旬は平均気温26℃くらいあるので、「長日条件で花芽分化」を狙います。その為日差しが掛かり続ける場所にプランターを置きます。ただし直射日光の10万ルクスは過剰で暑くなるばかりなので、50%は遮光して(デュポンタイベック スリムホワイト45や、よしずなどで50%遮光できます)、3万ルクスくらいになるようにします。

9月中下旬は平均気温25℃を切るので、13時以降の西日が当たらない位置に置けばOKで、短日条件かつ20~25℃程度(美濃加茂市の9月気温は23.6℃)になるので花芽分化します。もちろんいちごにはちょっと暑いので50%遮光は継続です。

10月は日照時間11時間20分ですので、やはり13時以降の西日を遮光すれば短日条件かつ15~20℃(美濃加茂市の10月気温は17.5℃)になり花芽分化します。イチゴの生育には寒いので(最も生育する温度が20~24℃と判明している)ハウスで1重に囲い20~24℃に近づけます。

11月は日照時間10時間20分で、そのままでも短日条件なので花芽分化します。ただし平年気温11.1℃はいちご生育には寒いので(ベストは20~25℃)、ハウスで2重に囲います。20℃を超す暑い日は、1重にしましょう。

12月は日照時間9時間40分で、そのままでも短日条件なので花芽分化します。ただし平均気温5.5℃だとほとんど休眠して生育しないので、2重温室+加温(毎夕熱湯のペットボトル置くorペット用ヒーター)として徹底的に加温し20~25℃に近づけさせます。

1月・2月とも短日条件ですが、勿論寒すぎるので徹底的に加温します(曇雨予報の朝と、毎夕に熱湯ペットボトル置くなど)。頑張れば15℃くらいにできるので、いちご生育に適した気候になります。

3月は日照時間12時間と短日ではないので、西日を遮光して短日条件にします。晴れた日は二重温室では暑すぎるので、ビニール温室の内張か外張りどちらか外して一重にします。

4月は日照時間13時間もの長日なので、13時以降の西日を遮光し短日にします。ハウスは基本1重にして、10℃を切る特別寒い日だけ2重にします。暑い日20℃を超す暑い日は、昼間は開放しましょう。また虫が発生してくるので、虫よけカバーを付けてください。

5月は日照時間14時間もある長日ですが、気温18.7℃のため西日が当たらない場所に移動させ、短日条件での花芽分化を狙います。日差しがかなり強まるので、気温が上がり過ぎないよう40~60%遮光のカーテンして下さい

6月は日照時間14時間半もある長日条件ですが、平均気温23.7℃です。微妙な所ですがベランダは暑くなりがちなので、長日条件での花芽分化を狙って日なたに置きましょう。もちろん40~60%遮光のカーテンはしてください(でないと気温上がり過ぎる)。最高気温30℃を上回ると生育が悪くなるので、「気化潜熱」を利用して(冬場とは逆に)培地温度をさげてあげます。

※いちごを休眠させることなく育て続ければ、だいたい花芽分化して平均40日後位で実ります。

岐阜県美濃加茂市の2022年気温 温暖化加味するとこれ基準がベスト

よつぼしを選ぶ理由2つ目は、「休眠が浅い(=促成栽培によって冬~春ずっと収穫が可能)」ということ。

どうして大事なのかというと、冬の休眠が要る品種だと、加温し続けると花がつかないからです。例えば北の輝・けんたろうのような品種は冬の長時間低温がないと花が付かないので、冬の間ずっと加温する促成栽培には使えません。

その為、休眠が浅いということもよつぼしのメリットです。(だから促成栽培用の品種としてプロが使っています)

よつぼしを選ぶ理由の3つ目は、味が良いこと。味は個人の好みにもなってしまいますが「高級イチゴ」として売られる位ですので間違いないでしょう。

いちご栽培で、促成栽培と訊くと「家庭菜園でそんな栽培方法はできない」「お金がかかりそう」と思いがちです。

たしかに「促成栽培にするための追加費用」は1万円近くかかりますが、それでも1万円もかからず冬もいちごをと思えばいいでしょう。工夫すればコストを抑えられます。家庭菜園で、安価に、促成栽培とほぼ同じことをできます。管理人が実践した例を載せます。

【加温のやり方①できるだけ安価にやる方法】

促成栽培のやりかたその①。手間はかかるし不便だし温度調整も不正確だけど、とにかく安価にやりたい人むけの方法です。(※管理人が当初行っていた管理方法です)

白い650型クイーンプランター¥400+受け皿¥150+イチゴの土12Lで¥1200

※管理人はイチゴの土12Lの代わりに、上記図ではアクアフォーム培地14L+消石灰14Lを使用

よつぼし苗¥400×3苗を定植(撮影当時は1苗だけでした)
プランターをミニ温室¥550で保護
さらに外からプチプチ(無料・ホームセンターで安価に手に入る)で二重温室にする

これに加えてさらに、厳冬期は加温します。この中にさらに毎朝のホット対応500mLペットボトル温水×8本(つまり2L)も置きます。(85℃までOKなので85℃の温水を入れる。ミニ温室は外気温-5℃から温室内気温10℃にするのに89Kcal/h必要なので、(85℃ー10℃)×2Lで、150Kcal、これで2時間近くは10℃以上を保てます。)

口先が白い=耐熱ペットボトル。1本88円のお茶のペットボトル
熱湯を何回も注いだが溶けず使えています
プチプチ温室の中に入れる。
単価2鉢やると合計
650型クイーンプランター@450900円
650型プランターの受け皿@150300円
イチゴの土12L@12002400円
よつぼし苗@4002400円
<内張>
ミニ温室650型プランタ用
@5501100円
<外張>
プチプチシートの袋
無料無料
耐熱ペットボトル4Lぶん無料無料
合計7100円
安価で簡単にやる場合の道具リスト

7100円で、いちご6苗分の苗・栽培器具・促成栽培装置が全部そろってしまいます(促成栽培装置でお金かかるのは、ミニ温室1100円だけ!)。これで、家庭菜園でも促成栽培を一考できると思います。

・・・しかし弱点があって、①開閉しにくい(肥料やり、収穫や受粉、水やりが大変)、②プチプチ袋の耐久性がなく1年でだめになる、③毎日の熱湯保温が大変、という欠点つきです。

そこでちょっとお金かかりますが、①開閉しやすい、②外張りも何年もつかえる頑丈なもの、③保温も自動で と簡単にする方法もあります。

【加温のやり方②手間なく正確にやる方法】

それは<外張り>をプチプチシートでなく「ビニール温室2段用を購入」、<内張>をミニ温室650がたプランター用ではなくビニール温室のビニール内側にプチプチシートをはる、毎日の保温はセラミック熱電球セットを使う、という方法です。長い目でみるとお得になります。

単価2鉢やると合計
650型クイーンプランター@450900円
650型プランターの受け皿いらない無料
イチゴの土12L@12002400円
よつぼし苗@4002400円
<内張>プチプチシート無料無料
<外張>
ミニ温室2段サイズ
@38003800
サーモスタット@25002500
セラミック熱電球ランプ
100Wのセット
(ヒヨコ電球と同じもの)
@60006000
屋外延長コード@12001200
合計19200円
正確・手間なしでやる場合の道具リスト

プラス1.2万円近くかかりますが、これで正確な温度管理できるようになります。

【いちご促成栽培(正確・手間の無い方法)のポイント】
●保温は2重におこなう。➡ミニ温室2段の外張り+内側にプチプチシートはる
●保温に加えて加温する。➡セラミック熱電球ランプ100Wを使用。通電の為屋外防水延長コードを、温度調整のためサーモスタットを使用する。
 ※なければ「耐熱2Lペットボトル1本に、満タンの熱湯をいれて、毎朝夕に置く」(ヒーター替わりに)
●他の器具は、すべて露地栽培と同じものを使用する。

【いちご促成栽培に必要な物全て】

<いちご栽培するため標準で必要なもの>※促成栽培なくとも必要

●650型クイーンプランター

●クイーンプランターの受け皿

●いちごの土12L+よつぼし2苗

※管理人は袋栽培は推奨せず。あくまで土とよつぼしのセットだから掲載しています。

<促成栽培するため追加で必要>

●外張りのビニールハウス

 紫外線耐久剤がぬられている専用の温室を買うべき。値段はするが、何年も使えて(日差しのある日は暑くなりすぎるから開放・毎朝の水やり・収穫時 空ける手間はあるが)使い勝手もいいことを考えるとベスト。開閉し易い・耐久性あり・650型プランター3鉢(+して9㎝ポットも)入れられる・子供がよじ登る心配なし・耐久性抜群(棚板1枚につき15kgOKなのはこれだけ) と最適解と思われる。おまけにイチゴの実やランナーをプランターの外にだしても、スペース的に余裕があるのでGood。

 夏場はビニルシート外してフレームに虫よけネットつけることも可能。扇風機をセットしてプランタ気化冷却にも使える。さらにはちょっとした園芸道具(剪定ばさみ・消毒エタノールティッシュ・手袋・たたんだビニールカバーなども)も入り、とても多機能で使いやすい。

 風で吹き飛ばされるのでは? ・・・2鉢おくプランターがオモリ代わりになるので飛ばない。実際2023年11月の冬の嵐(台風並みの強風時)のときも、飛ばされなかった。

何年も使ってボロボロなってきたら、替えビニールはこれです。

●内張りのミニ温室

前述のプランターごとの温室は不要。ビニール温室のビニールの内側に、プチプチシートを貼りつけるだけでOK。こうするとビニール温室の中ぜんぶが二重温室になる。

●セラミック熱電球セット(下記2つのどちらかでOK)

最低気温-5度 の地域で、10℃以上を保つためには(さっきのビニール温室2段であれば)106Wくらい必要なのでこれがピッタリに。ポイントは100V対応の点で(安価な類似品は110~120Vなので注意!)、電球も壊れにくいの声多い。当サイトでもこれをオススメする(管理人も採用している)。

安いがオススメできない熱電球の例

最低気温-5度 の地域で、10℃以上を保つためには(さっきのビニール温室2段であれば)106Wくらい必要なのでこれがピッタリに。それでいて2500円と安価だが、実は落とし穴があり対応電圧110~120Vであること。アメリカのコンセントが110~120Vだからこうなっていて、日本のコンセントは100V。±10%の範囲だから大丈夫、といわれがちだがこれは90~110Vの範囲のブレならいいよといういみ。アメリカのコンセントは110~120Vでブレる物なので、想定されていない。検索すると「誤差の範囲だから大丈夫、110V製品も使えました」という声を見かけるが、この製品の日本語レビューでは「すぐ壊れる」など書かれているので注意したい。

●サーモスタット

これをセラミック熱電球ランプの前に噛ませることで、10℃を切ったら通電(発熱)、15℃を越えたら電源オフ(発熱終了)とできて手間なしに。光合成できる昼間は15~20℃、光合成いない夜間は消耗おさえるため10~15℃、という温度調整も可能な優秀サーモスタットです。

【よつぼし促成栽培の実例】

●道具は全て、上記で紹介したものをそのまま使っています。

<2023年11月4日>

 植付。よつぼし2苗+らくなりいちご2苗。肥料は窒素遮断するため(花芽分化させる為)敢えて与えていない(窒素なし肥料を与えてもいいが、その400円をケチって与えず)。水やりは機械が勝手に9時・12時・15時にあげてくれるので心配なし(たいてい機械ないと思うので、朝たっぷりめに水やりして下さい)

 ※このときは「100Wペットヒーターなし」「ビニール温室2段なし(代りにプチプチシート温室+1鉢ごとのミニ温室)」だった。

<2023年11月15日>

 らくなりいちごは土が合わなかったか、成長せず。

 よつぼし2苗はグングン成長し、それぞれ1苗ずつランナーを出している。花芽分化らしきものも確認した。

<2023年11月21日>

 ●ビニール温室2段を設置●

ビニール温室の骨組みを作成
プチプチの内張を追加
元々のビニールカバーをかぶせる
2重温室の状態でも開閉可能
イチゴ2鉢を温室内に移動 20℃近い晴れの日は空けたままに

●なえの様子●

手前のイチゴからはランナーの2本目が出現。1本目ランナーはさらに伸びて、節をつくっているので埋めれば根が付きそう。

<2023年11月26日 快晴>

朝6時は最低気温3℃、ハウス内培地温度8.2℃。

昼14時は最高気温16℃、ハウス内培地温度28℃と高温。

ちなみにハウスがないと夜間は3℃ではなく0℃くらいに下がるらしい(放射冷却のため。3度はあくまで地上1.5mの温度)

いちごはグングン生育し、2株ともつぼみ出現・ランナーが2本ずつ発生(1本ずつは土に根を張っている)。

<2023年11月27日>

朝6時は最低気温3℃、ハウス内培地温度8.2℃。快晴予報なのにハウスを閉め忘れていたため、昼12時に戻ると培地温度31.0℃と過酷な情況に(その時の外気温16℃なので15℃も違う!)。イチゴは20~25℃がベストなので急いでハウス開放。

30.3℃示す温度計。15℃を超えたら暖房開始・20℃超えたら暖房終了の設定
初めていちごの蕾が出来ている

温室を二重にすると想像以上に保温されてしまう。快晴なると15℃も気温が上がる。曇りや雨だと4℃くらい違う。

最低気温をきろくする朝方は、最低気温3℃のところ4℃くらいになる。そのため2Lペットボトルに就寝前に熱湯を入れて、ハウスに入れておくことで同じ最低3℃でも8.2℃にできる。※管理人はさらに100Wのペットヒーターを併用しています。

<2023年12月1日>

最低気温0℃なのに(霜柱立っている)、朝6時の温室培地温度は8℃もあった。これは2重温室+100Wペットヒーターの力。よつぼしいちごの開花(一番花)を発見。目標としたクリスマスには間に合いそうもないが、新年には食べられそう。

よつぼしいちご促成栽培 一番花

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