家族が喜びそうだからブルーベリー栽培を始めたい。庭が狭いから鉢植えでも育つかな?鉢植えで育てるにはどうすればいいのだろ?そもそも最近ネット調べると、土使わない育て方があるって聞くけどどういう事なの?
・・・よく園芸初心者の方で、家を新築したから野菜・果樹を始めたいって方みえますよね。でも初めて何かを育てるとなると、迷ったり不安な点も多いと思います。私もブルーベリー栽培始める前はそうでしたので、その時の自分に言うつもりで書きます。
【ブルーベリーは狭い庭・鉢植えでもちゃんと育ちます】
ブルーベリーは小さな庭で、かつ鉢植えであってもちゃんと育ちます。
なぜならブルーベリーという植物自身が、低木であまり広がらないからです。
具体的な大きさの話をすると、品種にもよりますが標準的なブルーベリーの木の大きさは、大きくなっても「NH系で高さ1.5m×半径1m程度」「RE系で高さ2m弱×半径1m程度」です。庭を占有するような大きさじゃないです。
もっと具体例を挙げると、ブルーベリーのプロ(つまり農家さんたち)はだいたいブルーベリーの鉢植えを縦横とも2mくらい空けて置いています。
半径1mだから計2m幅になっちゃう、そんなに幅をとれないよって方。大丈夫です、片側を強剪定して拡がらなくすればOKですから。というか幅1.3mのベランダで育てている人間も居ますよ(私です)。
実らない冬とかジャマじゃんって方。大丈夫です、鉢植えなら動かせます。重いと言っても、60Lポットに植えた成木でも40㎏もありません。台車やブルーシートをしいて動かせば簡単ですよ。
(40Kgの理由:私の60L植木鉢はアクアフォームを40L分入れて水を散々いれても総計で19Kgです。1.6mに育った成木の重さは土を除くと10Kgジャストくらいでした。計29Kgですが11Kgは余分に見積もって40Kgなんです)
というわけで、狭いスペースに鉢植えでも十分育てられますよ。
【ブルーベリー栽培の難易度は易しく、とりあえず果樹にはピッタリ。】
ブルーベリーは一般的に言われている通り、育てるのは楽です。(正確には最初さえ間違えなければ、あとの日々の管理は非常にラクです)
どうしてかといいますと、他の果樹は色々な隠れた制約・労力が必要だからです。
具体的な例を挙げると、一般的に楽な果樹とされるキウイフルーツ。暑さ寒さどっちも強く、害虫も病気にもやられず、日々の肥料もいらず、間違えて根っこから切っても生えなおすくらい強靭で、確かに育てるだけなら簡単です。ですが広いスペースが要る・雄雌株が一つずつ必要・冬の剪定で凄く時間がかかる・落ち葉の片付けが大変・・・などと日々の管理は大変で、コスパがいいとは決して言えません(13年キウイをそだてている私だからこそ言えます)。
もっと具体的・体系的な話は私自身が色々な果樹を育ててみた例を載せておきます。
ブルーベリー農園の方のブログなんかみると『ブルーベリーは簡単というのは売る側の宣伝文句で、実際は繊細な植物だ』と言う言葉をみかけます。確かに繊細さはその通り(土はpH5程度の強酸性でないとダメ、冬の寒さが必要、水はけがないと枯れる、根っこをコガネムシ幼虫に喰われて枯死もザラ・・・など確かに繊細)です。でもコスパという面で考えると楽なんです。そう簡単に枯れないし、根っこ以外は虫に強い。なにより原産地のアメリカでは野生に沢山自生していて、ブルーベリー摘みの風習があるくらいです(その位元もと強い植物です)。最初の準備さえしっかりすれば(超大事・後述します)、あとは簡単でコスパのいい植物なんです。
ですので、最初さえ間違えなければブルーベリーは、取り敢えず育てるのに向く植物です。
【ブルーベリーを鉢植えでよく育てる方法】
ブルーベリーを鉢植えで、ちゃんと育てる方法紹介します。
1.水はけと土の酸性を確保する(=ブルーベリーの専用土で失敗なし、または・・・)
・・ブルーベリーは酸性土で育つ植物です。他の植物は弱酸性~弱アルカリ性の土で育ちやすいのですが、ブルーベリーは変わり者で他の植物が好まないような酸性土を好みます。
・・またブルーベリーは原産地がアメリカの半乾燥地帯です。だから水はけの良い土を好みます。日本の粘土質の土では細根を伸ばしにくく、栄養吸収がうまくいきません。
こういった理由で、酸性かつ水はけのいい土が、ブルーベリーには必要なのです。(実は酸性のブルーベリー専用土のかわりに、もっといい物があります。後述します)
2.鉢植えにしよう(むしろ庭植えよりオススメ)
・・ブルーベリーは鉢植えで育てるのをオススメします。むしろたとえスペースに余裕があっても、鉢植えの方をオススメします。
理由は単純で、鉢植えだと鉢の下から水が抜けてくれるため「水はけのよさ」を保てるから。ブルーベリーの栽培をする上でイチバン大事なのは「水はけ」です。水はけが大事な理由として、土の酸性が足りなくて枯れることは少ないですが、水はけのせいで弱る事は結構多いです。
実際の例を出すと、ブルーベリー農園の方たちも鉢植え栽培の方が多いです。地植えのブルーベリー農園は少数派になっています。新規開業したところをみるとみんな鉢植えです。土があるのにわざわざお金出して植木鉢を買って植えているのは、植木鉢代を上回るメリットが鉢植えにあるからにほかなりません。
鉢植えブルーベリーをオススメする理由はもう一つあって、植えている土が悪くなった時・大敵コガネムシが発生したときに、土を入れ替えやすいからです。庭植えだと掘り返して大変ですが、これなら大丈夫です。
というわけで、ブルーベリー植える時は土地の広さに関わらず、鉢植えにすることをオススメします。実は鉢植えをオススメする理由はもう一つあって、結構重要なのですがそれは最後に書きます。
3.鉢のサイズは20L➡60L植木鉢に順に植え替え
・・・ブルーベリーはいきなり大きな鉢で育てるのではなく、まずは小さめ20Lポットから始めるのがオススメです。
というのは理由があって、大きい植木鉢いきなりだと、与えた水や肥料が拡散してしまって、小さなブルーベリーの根っこでは吸いきれず無駄になるからです。その結果として育ち方がばらつきますし、遅くなります。
だから実際の農家さんは、Wポットシステム(ロケットシステム)という2重植木鉢方式をつかっていたりします。これだと中の20Lポット内だけで水分と栄養を与えるので、吸収しきれて無駄が有りません。それに外の60L植木鉢とアクアフォームが断熱材代わりにもなり、ブルーベリーが守られます。
4.日当たりのある場所で育てる
・・ブルーベリーはよく半日陰でも育つと書かれていますが、一部正解です(一応育つけど、ひょろひょろで花も少ない)。
どうしてかというと、ブルーベリーは元々アメリカの半乾燥地帯の湿地帯で育った植物だからです。元々日差しの多い半乾燥地で育ってきたブルーベリーが、日陰を好むわけがないです。
【ブルーベリーを鉢植えするなら、土を使わないオススメの方法があります】
実はブルーベリーを鉢植えで植える時、先ほど「酸性で水はけのいい、ブルーベリーの土を使うのがいい」とお話しました。ですが「もっといい方法がある」と言っており、ズバリ「土ではなく、アクアフォーム培地を使う」ことです。
これにはちゃんと理由があります。まず①つ目の理由として、アクアフォーム培地だと空気が良く通るので、ブルーベリーの根っこが呼吸できるからです。ブルーベリーは元々根っこの酸素要求量が多い植物で、雨が少なく水はけのいい原産地ではこれをクリアできてますが、日本の土は粘土質で空気の通りが悪く、ブルーベリーにとって酷です。
②つ目の理由は、アクアフォーム培地だと水分の持ちがいい。ブルーベリーは乾燥地帯原産なのに、根っこの乾燥を嫌います。水はけのいいだけの土(火山灰の土。関東ローム層や鹿児島のシルト台地の土など)だとカラカラに乾くことがあり(水をあげ続ければ問題ないが)、やっぱりダメージになります。
※ブルーベリーは色んな意味で根っこが弱点。弱点①として地上部の虫食いは大したダメージは無いが、根っこは細根なので蒸発してカラカラになりやすい。弱点②としてコガネムシ幼虫に容易に餌食にされ、根から枯れることも。
※関東ローム層は東京都の小平市などにも広がっている、火山灰の土です。実は東京都はブルーベリー産出量が日本一で、その理由が関東ローム層の土があること(もう一つは大消費地に近い事)があります。
・・・じゃあブルーベリーの専用土を使えば全部解決じゃないかと思いますが、違います。専用土は4年くらいと短命で、段々中のピートモスなどが分解されて肝心の水はけが悪化していき、目詰まりします。私は実家でブルーベリーの土を使って栽培しているのですが、13年前に植えたブルーベリーは目詰まりがひどく、土は13年前の面影もなくカチカチになっており、いかにも苦しそうな感じでした。どうりで数年間実りが悪いなと思っていました。(ちなみにピートモスはだいたい4年くらいでダメになって植え替えになりますよ)
・・・アクアフォーム培地にも寿命あるでしょ、と思われますが違います。アクアフォームは15年以上持ち、長寿命です。こう断言できるのは、15年以上まえに開業したブルーベリー農家さんが、一度もアクアフォームを入れ替えていないからです。耐久力が圧倒的に高くて、結果的にはタイパ・コスパもイイのです。
アクアフォームは酸性を保てないのでは、と思いますがそれも違います。酸性の液体肥料を定期的に与えれば、酸性を保てます。それに酸性であることは、枯れない為の絶対条件でもありません。
というわけで、以下をおすすめさせていただきます。
上記の組み合わせは近年開業したブルーベリー農家さんが多く採用している、「養液栽培」の方法と同じです。つまりプロ仕様なので失敗が少ないです。そして私も全く同じ方法で現在育てております。
【ブルーベリーを育てる土地の気候】
ここにまとめたのですが、ひとことでいうと「思ったよりも本州で育つ」ということがいえそうです。なにせ夏39℃の岡崎市や美濃加茂市で、ノーザンハイブッシュ系のレカがボコボコ収穫できるんですよ、しかも15年以上も。
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