病院・調剤薬局の違い(脳梗塞の例)

病院薬剤部と調剤薬局では、おなじ疾患、薬はずいぶんと違ってきます。脳梗塞を例にとります。

【入院当日まで】

<病院薬剤部>
●オザグレルNa40㎎注射液×2本+ソリター3号200mL・・・1日2回点滴
●エダラボン静注液100mL×2本・・・1日2回点滴

体調不良でなんかおかしいから受診➡Dr問診・CT検査➡脳の××部位に脳梗塞が発覚➡ダメージ最低限にするための、抗血栓療法のため入院。

こんな流れですよね。この「抗血栓療法」が、上記カコミ内の薬になります。

僕は常々「病院薬剤部と調剤薬局で、とれる情報量が全然違う」と伝えてきましたが。その一例です。薬にさわれるだけでなく、なんで入院に至ったのか、CT画像まで、全部アクセスできます。(というか、アクセスしておかないと服薬指導の時困る)

でる薬はこれだけですが、病院薬剤部はアクションしないといけない事もあります。

<病院薬剤部>のアクション
①降圧薬が継続指示でていたら、本当に継続でいいのか?
②注射箋の薬剤と溶媒のくみあわせは正しいのか?
③患者の嚥下状態はいいのか?

①脳梗塞を勉強すれば解るのですが、降圧する➡脳梗塞が再発する可能性UP、の為です。実際は医師の治療計画に、「降圧剤=いったん中止」と記載されているのであまり洩れませんが、慣れない研修医とかだと洩れたりしています。

②注射薬・溶媒の組み合わせは見落としがちです。この例だと正解ですが、なかにはオザグレルをワンショット静注・へんな溶媒にとかす、なんて事例もありました。(どっちも不正解) 組み合わせ間違えると、フェジン注射+食塩水のように沈殿して、無効&沈殿物で血管閉塞、なんて危険性もあります。

③嚥下状態が悪いと、せっかくのクロピドグレル錠75㎎もそのままは飲めません。粉砕するなどの追加指示になります。

【入院2日目~症状安定まで】

<病院薬剤部>
●オザグレルNa40㎎注射液×2本+ソリター3号200mL・・・1日2回点滴
●エダラボン静注液100mL×2本・・・1日2回点滴
●クロピドグレル錠75㎎(初日のみ4錠、あとは1錠) ・・・朝食後

症状安定までは、抗血栓療法を続けています。

「オザグレル」「エダラボン」など、大学で習い国家試験で使ったきりで、調剤薬局ではいっさい目にしない薬です。習ったことを比較的フルで使うのが、病院薬剤部ですね。

内服薬といえば「バイアスピリン錠100㎎」が有名ですよね。でもこれでは、弱いと考えるDrが多いです。最近は「クロピドグレル錠75㎎」を第一選択するDrが多いです。というか、バイアスピリンのんでても脳梗塞が出た。だからバイアスピリン中止➡クロピドグレル錠75㎎に切り替える、という事例も多いです。

【症状安定後】

<病院薬剤部>
●クロピドグレル錠75㎎(1錠)・・・朝食後
※オザグレル・エダラボンは打ち切り

症状安定したら、クロピドグレル錠75のみに。これは抗血栓療法というか、再発予防の為の薬です。ちなみに飲む理由を説明しておかないと、後々でノーコンプライアンス➡脳梗塞再発、となることあります。

ばあちゃん
患者さん

もう血栓無くなったんでしょ?出血するような薬を、なんで薬続けないといけないの?

ちゃすけ
ちゃすけ

再発予防のためです。飲まない=脳血栓が出来やすい状態を放置、と同義ですよ。

【退院時】

<病院薬剤部>
●クロピドグレル錠75㎎(1錠)・・・朝食後・28日分
●降圧剤・・・朝食後・28日分

これは私たちがだす、退院処方です。次回受診日(この例では28日後)を確認して、それまでの日数かどうかも確認しています。

退院する=病院スタッフの手を離れる ので、退院指導には細心の注意を払っています。飲み忘れ防止の為に、投薬カレンダーを売店・100均で買ってもらったりします。お薬手帳を必ず預かり、記録します。再度、のむ理由を説明します。

それでも叱ってくれる病院スタッフがいなくなると、とたんに飲めなくなる方がみえます。これ、どうすればいいんだろう?

【外来受診】

<調剤薬局>
●【般】クロピドグレル錠75㎎(1錠)・・・朝食後・28日分
●降圧剤・・・・朝食後・28日分

ココではもう、病院薬剤部は離れています。患者さんは病院外来➡調剤薬局 の順番になるので。

・・・ですが調剤薬局では、情報源は処方箋の紙きれ一枚とお薬手帳・電子薬歴だけです。もちろん確定診断名は解らず、コンプライアンスや認知状態、嚥下状態がどうとかもわかりません。(僕はこれでは少なすぎる・何とかして調剤薬局さんも情報増やせないかと思っています)

調剤薬局に来る=外来患者さんです。コンプライアンス悪い事が多く、その場合は当然飲み残しがでてきて、薬の持参数がバラバラになります。入院中とちがって、看護師さんがずっと見張っている訳ではないですからね。そういう時、薬の残数調節をします。患者さんにとっては、残数がきっちりそろうのでしっかり飲んでくれる可能性も上がるし。薬局にとっては、加算32点が算定できます。

調剤薬局の仕事といえば、外来患者さんがキッチリ飲めるように見張る・道具(服薬カレンダーなど)を勧めるなどのサポート・残数調節するなどのサポートですね。病院薬剤師は、退院したらもうアンタッチャブルです。退院してしまったら、月1回の調剤薬局でのサポートしか、ないのです。

【まとめ】

同じ脳梗塞での、病院薬剤部・調剤薬局の働きの違い、見えるものの違いはこうです。

<調剤薬局>
●入院中の問診・診断・処方決定は解らない
●注射薬も一切触らない
●触る薬は内服薬の、退院後安定してからの定期薬のみ。薬の変化・病態の治癒過程などは一切解らない。
●退院後のサポートはココでしかできない

<病院>
●入院中の問診・診断・処方決定の情報も解る。
 ※時には介入・処方変更も提案する
●注射薬も触る
●触る薬は入院初期からのすべての薬。病態変化による薬変化も、じかで解る
●退院されたら、あとはアンタッチャブル。退院指導が大事になる。

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