地味な仕事#1

先日、病院薬剤師のドラマが初めて上映されそうでした。タイトルの「アンサング・シンデレラ」のアンサングは、称賛されない・目立たないの意味です。おそらく患者さんたちにはわからない、地味な仕事だと思います。今回はそんな地味な仕事集です。

【抗がん剤の計算シート、倍量ででるぞ!】

これは友人薬剤師の例ですが。先日外科部長に、一喝されたそうです。

医師
外科部長

オイ、△△さんのゼローダの量、Excelの計算シートでは倍に計算されたぞ。体表面積1.26㎡なら、1日で4錠のはずやろ?それが1日8錠で出てたから、処方箋もそうしておいた!

ちゃすけ
友人薬剤師

(げ、外科の一番エライ人だ。怖いなぁ)

待ってくださいよ。それ僕ちゃんと計算したんですよ。

医師
外科部長

わりーな。オレ今回診中で忙しいんだ。1時間後な!(ガチャ)

ちゃすけ
友人薬剤師

(添付文書のとおりに打ったんだけどな)待ってください、それ今日夕方からのむ薬なんですよ!あ、PHS切れてる・・・

で、案の定院外処方せんはこうなっていました。

院外処方せん
Rp1) 【般】カペシタビン錠300㎎    4錠
   【般】レバミピド錠100㎎     2錠
     1日2回朝夕食後       14日分
   (コメント)交付日夕方より開始

案の定、カペシタビン(ゼローダ®)が半分だったそうです。

ちなみに、そのゼローダの添付文書はこれです。

正しくは、1200㎎(=300㎎錠×4錠)を、1日2回。つまり1日8錠です、と明記されています。またこの薬は、体調に応じて加減する抗がん剤ではありません。

でも外科部長先生は、1時間後に電話しろと。患者さんは、今すぐからのむ薬(それも抗がん剤!)が、正しい量の半分になっちゃう。どうしよう・・・

と思っていると、電話かかってきました。

医師
外科部長

あぁ~すまんね。1日8錠でって伝えといて。で14日分が7日分になっちゃうけど、7日後また処方だすからいいよ~。

このあと看護師さんが、患者さんに電話&用量訂正を頼まれていましたが、友人が割って入り、謝罪&用量訂正をしていたそうです。それも△△さんの薬うけとり薬局をしらべ、そこにも謝罪して、お薬手帳&シールを出し直してもらい、患者さんにも再来してもらったそうです(△△さんイイ人!!)。

外から見たら、薬剤師の頑張りは解らないかも。けど中から見たら、医療事故を防いでリカバリーした彼は、称賛されるべきです。

【降圧剤の量を戻すの?】

これは薬調節していると、ありがちなパターンです。地味ですが、飲み間違いは危険です。

<4月10日~院内処方>
●Rp1)アムロジピン錠5㎎「DSEP」・・・・1錠
   アジルバ錠20㎎・・・・・・・・・1錠
    1日1回朝食後        7日分
(他にも6剤位も出ていた)

それに、血圧高めで追加が出ました。

<4月12日~追加処方>
●Rp1)アジルバ錠20㎎・・・・・・・・・・1錠
    1日1回朝食後         7日分

これだけなら、アムロジピン1錠、アジルバ2錠とわかりますよね。でも、次の定期処方はこれでした。

<4月17日~退院処方>
●Rp1) アムロジピン錠5㎎「DSEP」・・・・・1錠
   アジルバ錠20㎎・・・・・・・・・・1錠
     1日1錠朝食後         28日分
(他にも6剤位でていた)

主治医のカルテ記事には、「血圧下がりすぎたので戻す」とかの記載は一切ありませんでした。なんでアジルバ1錠に戻ったのか、解りますか?

実は、主治医が4月10日の処方を、コピーペーストして退院処方を作っていたのです。アジルバ2錠に増やしていたことを忘れてたのです!それを医師に電話し、処方を修正し、(1錠で調剤してしまった薬を)作り直すのも、薬剤師の仕事です。

【そのビオフェルミンR、調剤して大丈夫?】

ビオフェルミンR=耐性乳酸菌であることを、知らない薬剤師はいない(と信じています)。R=Resist:耐性の略、と考えれば解り易い。

<耐性菌製剤の例>
●ビオフェルミンR錠
●レベニンカプセル
●エンテロノンーR散

では以下の組み合わせは、OKでしょうか?案外知らない医師・薬剤師が多いです!薬は以下しか使っていないと仮定します。

<処方せん1>
Rp1) ビオフェルミンR錠      3錠
   セフカペンピボキシル錠100㎎ 3錠
    1日3回毎食後        7日分
<処方せん2>
Rp1) ビオフェルミンR錠      3錠
    1日3回毎食後        7日分
Rp2) レボフロキサシン錠500㎎   1錠
    1日1回朝食後        7日分 
<処方せん3>
Rp1) ビオフェルミンR錠      3錠
    1日3回毎食後        7日分
※注射処方
Rp1) セフトリアキソンナトリウム1g 1本
   生理食塩水キット100mL    1本
    1回2回 点滴時間指定なし     
<処方せん4>
Rp1) ビオフェルミンR錠      3錠
    1日3回毎食後        7日分
※注射処方
Rp1) クリンダマイシン静注用    1アンプル
   生理食塩水100mL       1本
     1日2回 点滴時間指定なし

答え:処方1、3が正しい。2,4は誤りです。

みんなが誤解するのは「ビオフェルミンR錠は、どの抗生剤にも耐性がある」という事です。・・・本当にそうでしょうか、添付文書を見ます。

ビオフェルミンR錠添付文書:ビオフェルミン製薬HPより引用

・・・つまり、こうです。

●処方せん1:セファロスポリン系(セフカペンピボキシル)なのでOK
●処方せん2:キノロン系(レボフロキサシン)なのでNG
●処方せん3:セファロスポリン系(セフトリアキソン)なのでOK
●処方せん4:リンコマイシン系(クリンダマイシン)なのでNG

NGというのは、保険適応を満たさない為、鑑査で見つかり次第返戻を喰らいますよ。という事です。これ言い訳出来ない事例なので、返戻も多いですよ。今日も実は処方せん4を見つけて、医師に変えてもらったところでした(医師には面倒くさい的な態度で、処方変更させられましたが・・・)。

【ビオフェルミンR×抗生剤を関連付ける】

ビオフェルミンRがバッチリ効く抗生剤ってなんだっけ?

➡セフェム系、ペニシリン系、マクロライド系、テトラサイクリン系、とかだったな。

ビオフェルミンRで返戻くらう抗生剤ってなんだっけ?

➡キノロン系、リンコマイシン系、アムホテリシン、バンコマイシンとかだったな。

この位思い出せればOKです。もし覚え切れなければ、耐性乳酸菌が処方されたら、つかえる抗生剤を調べるクセをつければOKです。

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