はじめに断ってくと、これは僕(茶助)の体験談で、主観です。
次に僕のプロフです。調剤薬局A➡調剤薬局B➡調剤薬局C➡漢方相談薬局D➡ドラッグストアE➡医薬品卸F➡病院薬剤部G(=現在)の順番です。実際はその間何度もヘルプ他店も行き、経験店数はもっと多いです。(社名・店舗名を公開するとバレるので、ここまでです)
何が言いたいかというと、薬剤師としての業種経験はかなり多いです。それに管理薬剤師(薬局長)も2社で経験済です。
いま病院薬剤師だけど、調剤薬局ラクそうだな~。転職しよっかな・・・
調剤薬局勤めだけど、病院面白そう。
でも調剤➡病院は難しいって聞くよね。どう難しいの?
ちなみに病院薬剤師、なぜか調剤薬局薬剤師を「簡単そうだ」と勘違いする人多いです。とんだ大間違いです。
【薬剤師業種:人知れない苦労】
まず全体をみると、薬剤師自体が「日の当たらない・苦労が見えない」職種です。それは病院・調剤薬局どちらでもそうです。
●看護師➡➡患者介助、点滴など処置、
●薬剤師➡➡(処方手伝い)、調剤、鑑査(薬の変更提案)、服薬指導
・・・圧倒的に、日が当たりませんよね。上記で薬剤師業務で、患者さんからみえる事って、何かありますかね?服薬指導だけですね。それに感謝されるのは薬剤師ではないです。服薬指導しても、
おぉ~、さすが〇〇先生(医師名)だねぇ
となります。たとえ元々の処方が、患者さんに危険な薬・量であって、薬剤師が修正したとしても、その苦労は解りません。無理に自分をアピールしようとして
△△さんには元々、レボフロキサシン錠500㎎が1錠でてた。
でも腎機能悪いから半錠に、飲み込み悪いから粉砕してもらった。僕が提案したんですよ!
とでもいえば、図々しいです。(僕らはこんなセリフ、口が裂けても言いません)だから薬剤師は基本的に、貢献しても見返りを求めてはいけません。(そして貢献して当たり前です、薬のサポートの為に居るので)
【調剤薬局薬剤師の人知れない苦労】
・・・前述のとおり、「調剤薬局はラクだ、薬作るだけだ」と考える薬剤師はとても多いです。そういう薬剤師はなぜか、経験が病院のみ、調剤薬局未経験の人です。
じゃあ調剤薬局経験済みの僕に言わせると、そんな事はありません!
●「内服・外用薬」「注射薬」「抗がん剤点滴」のうち、「内服・外用」だけで済むから
●基本的には、医師の処方せん通りに調剤すればOK
●状態のアブナイ人は、外来にはいかない(みんな入院しているから)
●それでいて、給与は高いから(ウエルシアの新卒採用で600万/年~)
これは経験が病院のみの薬剤師が、よくいう事です。たしかに当たっています。では具逆に、調剤薬局で苦労することをかきます。
●同効薬でも多数在庫しないといけない
➡例)レボフロキサシン錠一つでも、病院ならレボフロキサシン錠500㎎のみ在庫すればOK。調剤薬局ではレボフロキサシン錠500㎎、レボフロキサシン錠250㎎、クラビット錠500㎎、クラビット錠250㎎と4つ置く必要あり。
➡例)しかもレボフロ~は後発品なので、「おれは第一三共じゃないとイヤ」「おれは明治製菓」とメーカー拘る方の為に、メーカーの数だけ在庫する場合も。
●期限切れ薬を使い切ってもらえない(=在庫ロス)
➡例)期限間近の薬でも。病院なら直接医師に頼んで、処方して使ってもらえる。しかし調剤薬局だと、医師に直接頼めない。
➡大手チェーンだと、在庫ロスを店舗間で融通できるが、個人薬局はそうもいかない。
●新薬でもバンバン処本れる(在庫もつ必要あり)。
➡例)先日発売のリフキシマ錠も院内では出ないが、院外処方せんでもバンバン出ている。
●診療報酬改定のたびに、なぜか調剤薬局は目の敵にされて減点される一方(医科は平行線、歯科は微増なのに)
●営業利益率が低い(日本調剤で2.3%。1億売って230万の利益・・)
➡エンブレル50本ロスで、1億円分の苦労が吹き飛ぶ計算。
➡応需処方箋枚数が減ると、上部がとにかくうるさい。
●ドラッグストア併設調剤の場合、調剤中に「一類売って」と患者さんがうるさく、調剤集中できない事もある。
●処方箋受付時間終了後でも、処方箋持ってきたら受けないといけない(薬剤師法で義務化されています!)
●自分のアクションで変えれるものが少ない=毎日が単調な作業に感じて、つまらないと思う
➡そんな人は薬局飛び出して。在宅訪問などは、案外面白い。
●調剤薬局の自店内では出逢いが少ない(爆)
●患者さんを1日40人相手する。流れ作業的で、しかも「早くして」しかいわれず、遣り甲斐薄い。
●指導記録(調剤薬局では薬歴)も1日40人分たまって苦労する。
●患者さんは病院で待った➡調剤薬局でも待つ、のでストレスMAXで当たってくる
人はその人の苦労を知らないと、軽く考える生き物です。調剤薬局を知らないと、軽く考えて見下すのが病院薬剤師なのです。こんな事、ホームページではあまり見かけないと思います。理由はこうです。
・・・だから本音の苦労は書けない
●薬剤師転職エージェント➡薬剤師採用がきまる=給料数か月分の報酬が入る
=調剤薬局への転職が多いほど儲かる
・・・だから本音の苦労は書けない
この通り調剤薬局来てくれたほうが、自分たちの利益だからですね。むしろ調剤薬局楽しいぞ、とばかり書かれます。(別に調剤薬局に恨みはありません、念のため)
【何で病院に転職しないの?】
と最近思います。調剤薬局につとめる人間が、よく言います。
仕事シンドイ。上からノルマノルマって。
でも今から病院薬剤師、なれるのかな・・・
病院➡調剤はカンタン、調剤➡ 病院は難しいって聞くもん。
いまより大変だなんてイヤだな・・
・・・この誤解、とても多いです。じゃあ僕からいいます。
働いたこともないうちにくよくよしない。
やりがいあって、そこまで大変でもなく、案外楽しいよ!
調剤薬局はいつでも転職できる。だからまず病院入って、ダメならまた戻ればいいじゃん。
僕はあまりない、「調剤薬局➡病院」のパターンです。躊躇する気持ちもよく分かりますが、行かない理由がよく分かりません。
もちろん病院薬剤師ならではの苦労も、あります。こちらはこうです。
●医師>看護師>その他職種(薬剤師含む)のヒエラルキー
➡薬剤師の意見は2の次、3の次
●医師に細々した仕事を押し付けられる
➡例)「〇〇医院の薬、代行処方しといてよ」
●薬採用のたびに、院外薬局に告知FAXする必要あり。
●薬採用のたびに、お薬マスタを入力・配信しないといけない(でないと処方箋入力できず、手書きする羽目になる)
●委員会活動が必須(感染対策、糖尿病、抗がん剤レジメン、システム、災害対策、薬事、在宅支援など)
●患者さんが重症者ばかり、薬も強いのばかりなので間違えた際のリスクは大きい。
●調剤薬局よりも、給与が安い(僕は調剤で600万➡今は530万とDOWN)
●点滴薬の使い方、鑑査もできないとダメ
➡※1あとで解説します
リスクばかりあげましたね。調剤薬局の苦労よりも少ないのは内緒です。
ただ、遣り甲斐もとてもあります。それがコチラ。
●一人ひとりにじっくり接するので、立ち入った話もできる。
➡書くべき指導記録の枚数も少ない(1日5人とか)
●点滴薬・検査薬まで見れるので体系的・全体的にわかる
●院内に保育所・託児所が標準であり、子育て中にやさしい
●転勤の危険性が少ない(個人病院なら無、厚生病院などグループでも少ない)
➡病院近くにすめば、自分の時間も増える
●自分のアクションが、結果に反映されやすい=遣り甲斐がある
➡※2あとで解説します
このように、病院ならではの良いところもあります。
【※1点滴薬の使い方】
これは病院ならではの苦労ですね。たとえばこれ知らないと、いけません。
●1.ソルデム3A輸液500mL +アスパラカリウム10mEq2本
●2.フェジン静注液+生理食塩水20mL1本
●3.タケプロン静注用30mL +生理食塩水20mL1本
●4.ベバシズマブ静注100㎎+5%ブドウ糖液100mL
(全量で100mL 、120分投与)
●5.ソセゴン注射液 ※患者はトラマール錠25㎎を内服中
➡正解は、1~5すべて誤りです。病院薬剤師の常識ですね。
いっぽうソルデム3Aは、500mL中に既に10mEq入り。
そこに20mEq追加すると、500mL中に30mEq➡60mEq/Lとなり、NG
フェジンは電解質と反応して析出してしまう。その為、10%ブドウ糖液でとかす。
タケプロンは塞栓しやすいため、前後にフラッシュ用の生理食塩液20mLが、1本ずつ必要です。
この場合、オピオイド受容体は+のトラマドールが占領中➡++のペンタゾシンは跳ね返され無効。
この問題は必要知識の一部なので。また病院薬剤師ならではの勉強すべきポイントを、いずれ執筆いたします。
【※2病院薬剤師ならではの遣り甲斐】
自分のアクションが比較的、反映されやすいのも病院薬剤師です。
腎機能悪いから、レボフロキサシン錠500㎎を半錠に変えて
こういう場合、医師に直接問い合わせできます。
抗がん剤のレジメンが無いから、作りました。活用してください。
奇麗に作ってくれたな。ありがとう!
次の日から、自分のレジメンを診察・記録に使っていただけました。責任重大ですが、自分のアクションがすぐ、反映してもらえました。
なんで急にロペミンカプセル1㎎が出たんだろ?
そうだ、電子カルテで医師記録に病名載ってるぞ!
てかこの人、指導できる人?(電カル看護師記録みて)認知症なし、いまは普通に動ける。よし喋れるな!
こういう情報もすぐ手に入ります(調剤薬局だと処方箋1枚なので手に入りません)これがいいところですね。
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