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【高難度の入院時指導】患者さんに嫌われてる?
僕も先日遭遇しました。とても不快な思いしました。
●『薬の説明書が無いとなんの薬か解らない』
➡➡後日説明書を持参すると『そんな細かい説明書じゃ解らない』
●『医師の先生が顔みせてくれない。他のスタッフと話してもムダ』
・・はじめは僕ら、嫌われた?とすら思いました。というか新人の後輩はちょっとショック受けていました。
ですが他職種(看護師・ソーシャルワーカー・医師)の記事をよんでいくと、どうも事情がヘンです。
●看護師長直々の説得でようやく決めた大病院受診日を、「その日いけなくなるかもしれないから、退院処方の日数は少ないかもしれん」とこぼす。
●(入院前)そもそも以前のかかりつけ医院も勝手に自己中断していた。
●(入院中)この薬はカプセルだから飲めないと、治療薬を一つ自己中断した。
・・・つまりそもそも治療する気持ちが希薄(=アドヒアランス不良)で、本気で持病と向き合っていないのです。嫌われている訳ではないです。そもそも本気で治したいなら、カプセル飲めなくても『脱カプセルしてでも飲んでいいか?』と聞いてきますし、腎臓内科受診も守るはずですからね。難癖つけて八つ当たりしているんです。
・・・ですが、こういう患者さんの時でも退院時の服薬指導は必須です。入院の形をとった以上、患者さんの利益になる様行動するべきなんです。こういう場合でも、服薬指導でやる基本原則は同じです。これに忠実に従いましょう。
「正しい薬を、正しく患者体内に入れ続ける為」に行う。
【服薬指導の具体的なやり方】
①薬のプラス面(必要性・重要性)を患者さんに伝える
②薬のマイナス面(副作用の怖さ・服薬の煩雑さ)を患者さんから取り除く
③患者理解度に応じた管理方法を提案する
④患者さんの嚥下状態に最適な剤型を提案する
⑤患者さんが正しく使えているかのチェック
・・・案の定、『どうして来たのか?どうして薬飲ませるのか?』と言われました。それに対して伝えたことも、この規則通りです。
どうして入院したのですか?体辛くて、藁にもすがる想いでうちの病院を選んできたんですよね?この薬は貴方の辛い血尿を軽減して、家に居られる時間を少しでも増やす為の治療薬なんですよ。飲むのメンドウかもしれませんが、また辛くなって入院して、あれだけ嫌がっていた痛い点滴を打つ確率が上がるより、いいですよね?
結構きつめに指導しました。拒否的な方にでも迷わず、上記の基本原則を説明するだけです。別に個人的な怒りの感情はなく、ただこの方のことを考えると刹那的思考じゃなくて、先を見据えて一番メリットの高い方法を客観的に、示しただけなのです。
この方はそのまま退院となりました。その後はわかりません。
【高難度の入院指導】錠剤飲めません・・・(粉砕不可薬で)
錠剤どうしてものめない方が、みえました。
酷い潰瘍性大腸炎の方。食欲がわかず食べ物見ただけでダメ。飲み込むという動作がダメだという方です。
●エレンタール 1日4本
●アサコール錠400㎎×12錠/分3毎食後
●ビオスリー配合錠×3錠/分3毎食後
<病名>潰瘍性大腸炎
<訴え>
食事とれない。飲み込む動作が苦痛でイヤ。➡NGチューブを挿入した
まず問題は、栄養源がエレンタールとなっている事。エレンタールに頼らざるを得ない位、大腸が悪いって事です。
次なる問題は「飲み込む動作がイヤ」という事。これは困りました。だってアサコール、粉砕できません。世の中には顆粒剤もありますが、顆粒はNGチューブが細すぎて通らない。もちろん顆粒を水で溶いて飲込みは・・本人曰く『一番イヤです』と。困った。
●エレンタール:元々水で溶いて飲むので不問。
●ビオスリー配合錠:粉砕可能。
●アサコール錠400㎎:粉砕ダメ。
代案1➡アサコール徐放顆粒:NGチューブを通らないからダメ。
代案2➡アサコール自体を諦めてもらう:主治医曰く「何が何でも飲ませて」
何とか飲ませてくれだなんて、詰まりでした。そこで役に立ったのが、大学での授業内容(下記図)でした。
・・・アサコールはこの図でいくとメサラジンです。でも胃酸で壊れます(だから腸溶錠になっていて、粉砕不可なんです)。その源流に、サラゾスルファピリジンがありますよね。これは腸内細菌によって、メサラジンとスルファピリジンにわかれる。
・・・つまり、サラゾスルファピリジン錠は粉砕してもよく、腸まで届いてくれる。だから最適解は、サラゾスルファピリジンを臨時採用し、MAXに近い量で調剤し、粉砕してNGチューブで入れる。
これなら苦痛な飲み込む動作をせずとも、腸にメサラジンが届いてくれます。
こういう気付きは、やはり薬理・薬物治療の知識がないと出来ません。普段から覚えておかないと、ふと思い出せません。授業って大事だったなと、思ったのでした。
この本で、ちょっと解らない薬・病気は辞書的に調べることをオススメします。ネットで調べるのもいいですが、ネット記事では「深さ」「表現」にバラツキがあり、あまり体系的にまなべず非効率です。辞書的に使う本を一冊きめて、常に置く事が最も効率的です。その辞書的に使える本のなかでは個人的にオススメするのが、この本です。
(後日談)この方は点滴も使えず、命危ぶまれる状態でした。ですがサラゾスルファピリジンでの副作用もみられず、体力を取り戻しつつあります。
自称「しっかり管理してる」は要注意!
タイトル通りなのですが、自称「しっかり管理してる」は信用できません。
こういうパターンの人はなぜか「高齢男性ばかり」という謎の傾向があります。プライドが高いからなんでしょうか?
<入院時の持参薬>泌尿器科のシロドシン錠、呼吸器科のシムビコート吸入、内科の降圧薬など。
<本人談>間違えずに使っている。吸入も忘れたことはない。➡実際残数もそろっている。看護師より「自己管理でいい」と指示。
【7日後】
●看護師さんが、残薬がやけに多い事に気が付いた。
●泌尿器科の内服できず。呼吸器科の吸入も全くせず。
●しかし本人は「内服・吸入するなんて聞いていない。内科の降圧薬だけ使っていた」
・・・これは与薬確認を担当する看護師さんが、毎日の服薬状況を確認していなかったからのミスです。ですが「自称・間違えない」を信頼してしまい、本人管理としたのもミスの原因でした。これが女性や若い人だったりすると、看護師管理をお願いする人が多いんです。
結局この人は、次の日退院が決定していました。自己管理していたから、入院中も自己管理にする・・・のではなく、同居家族が居るので家族へ薬交付・指導とさせていただきました。
次の例に示す通り本人の認知度合いで、退院指導方法は変わります。
この症例とは別事例ですが「自称・しっかり服薬している」で出来ていなかった人の例。やっぱり、高齢男性でした。
病棟薬剤指導の全般はどんな感じ?
こんな感じです。参考に。
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