病院薬剤師って何してんの?#7

過去記事はコチラを。

【吸入薬?初めてだけど楽勝だぞ!】

僕は最近おもうのですが、「若い人ほど変化に強い、新しい物をすぐ覚える」。逆に言うと、高齢者ほど変化に弱く、新しいものを覚えられない。それを実感したのが、吸入指導でした。

ちゃすけ
ちゃすけ

◇◇さん、今晩から吸入薬アドエアが開始です。喘息っぽい症状があるのでね。吸入薬は患部ののどにだけ有効成分が入るので、副作用も少ないですよ!

男性
◇◇さん

おぉ~そうか、ありがとう。なるほど、この円盤の薬は2回開いて、口付けて吸うのか。おれ一人でできるよ、楽勝だぞ!

ちゃすけ
ちゃすけ

朝晩に1回ずつ、このパンフレットに沿って使います。円盤を開けて、レバーも回して、口付けて。吸って5秒息止めて、うがいして終了です。

男性
◇◇さん

そんなもん楽勝だ!

ちなみにアドエアの形(ディスカス型吸入薬)と使い方はこんな感じです。

ディスカス型吸入薬の使い方

「楽勝や!」がどうにも不安だったので、翌日◇◇さんの病室へ行きました。◇◇さん、本当に吸入出来ていたのでしょうか?

結果は、お察しの通りでした。

ちゃすけ
ちゃすけ

アドエア吸えていますか?

いま、吸ってみてください。

男性
◇◇さん

疑うのか、吸えてるぞ。

こうやって口つけてだなぁ・・・

ちゃすけ
ちゃすけ

・・・円盤を開けていませんね。前日伝えた通り、

円盤を開いて、レバーもいれる、の2回開く動作が抜けてます

男性
◇◇さん

そんな事するのか。俺聞いていないぞ。

吸うと、粉っぽい感覚があるから吸えてるんだろな

ちゃすけ
ちゃすけ

安全使用の為、これから暫く看護師さんが持ってきて一緒に使いましょう。

吸入できると言われても、実際は出来ていない場合が多いです。高齢者の方だとプライドが高いので「できる」と自称されますが、新しい物は覚えられない場合が多い。とくに吸入薬はそれが多いです。

僕はというと、また翌日、◇◇さんを訪室して、吸入テストしました。こんど出来ていました。できるまで繰り返すのが、病棟薬剤師の仕事なのです。

<導入時に困る薬リスト:茶助の独断>

●吸入薬➡動作が複雑、吸入薬ごとに使い方が違う

●インスリン注射➡間違えると大変だから

●血糖測定器➡よく説明書よまず使われ、故障だと言われる

●点眼薬➡液が目に入ってない

【胃酸止めなのに胃液に弱い?】

医師・看護師・薬剤師にさえもよく勘違いされるので、コラムにしました。勘違いはこんな感じです。

医師
医療従事者

胃酸止めは胃でとけて、直接吸収されて効く。

だから胃酸につよい!

看護師
医療従事者

○○さん嚥下困難だから、薬粉砕してもらおっと。胃酸止めも普通に粉砕でいいよね~。

・・タイトルからお察しの通り、間違いです。

胃酸止めの効果は、「腸から吸収され、血液循環で全身を回って、胃で効果発揮する」のです。腸から吸収される➡胃を通過しないといけない。でも、胃酸止め自身が、胃液につよいとは限らない。

胃酸止めで一番使われる、PPI(○○プラゾールって名前)。これは全部、胃酸止めのくせに胃酸に弱いのです。PPIは腸溶錠の為(つまり胃酸から護られている)、粉砕してはいけません。PPIの成分自体を胃酸にさらすと、ものの1時間で97%が壊れます(ラベプラゾール)。ランソプラゾールOD錠だと、小さい赤いつぶつぶが腸溶錠なので、赤いつぶつぶを残してなら粉砕可能です。ほかのオメプラゾール錠、ラベプラゾール錠、エソメプラゾールカプセルは錠剤・カプセルのコーティング自体が腸溶なので粉砕できません。

あとは、タケキャブ錠。有効成分のボノプラザンは、胃酸で壊れません。壊れないので、粉砕OKです。

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