【製薬株】ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)分析(21年03月)

個別銘柄(ヘルスケア>製薬株)

世界4位の医薬品売上高をほこる超有名企業・ジョンソンエンドジョンソン(銘柄ティッカー:JNJ)について。

医療用医薬品は売上4位ですが、時価総額はNo.1です。

●株(ファンド)の概要~そもそも何してるところ?

 >セクター11分類・細かな業種・ディフェンシブor中間or景気敏感

セクター11分類でいえば「ヘルスケア」、その中での細かな業種は「製薬企業」とされています(実際は医療用医薬品だけでなく、ワクチン、ベビーパウダーなどの一般消費財、手術機器などの医療機器も扱っています)。

もちろんJNJもディフェンシブ株であり、実際に不景気耐性が強い事が解っています。

 >その売上の内訳は?内訳別の将来性は?

地域別ではこの通り。JNJは米国の会社だけあり米国で半分を売り上げています。

その地域別推移はこの通り。西半球以外はどこも伸びてきています。ただし時価総額No.1の会社だけあって、伸び方は鈍いです。

今度はJNJの製品別の売上内訳をみてみます。ちょうど50%が医療用医薬品での売上です。

しかし、その内訳別推移はこう。JNJの医療機器売上は世界2位(2020年現在)にも拘わらず、縮小傾向なんです。そのかわりに抗がん剤や免疫薬(後述モメンタ社の買収で増大)に注力。この傾向は大手製薬会社みんな同じで、利益のとれる分野を強化しているんですね。これが超有名企業・ジョンソン&ジョンソン(JNJ)の近年の戦略なんです。

【医療機器の売上ってナニ?】
●コンタクトレンズ(ワンデーアキュビュー®)
外科手術機器:「ハーモニック®」などの低侵襲電気メスが独占的に強いです。
●洗浄・消毒・滅菌機器:「ディスオーパ®」など
※業界全体の世界1位はメドトロニック(MDT)、2位がジョンソン(JNJ)、3位がゼネラルエレクトリック(GE)です。

 >主要な個別製品の説明(医療用医薬品の主力製品のみ)

●レミケード®(インフリキシマブ)

バイオ医薬品(その中でも、分子標的薬剤)に該当します。自己免疫を抑制することでリウマチを抑え込みます。リウマチの画期的な薬でして、2か月に1度の通院点滴治療で「リウマチをかなり抑え込める」「からだへの負担が少ないのに効果が高い」と、当初話題になった薬でした。症状を抑え続けるタイプの薬なので、一度使用で完治とはならず、継続的に売れ続けます。現在は次々と発売されるバイオシミラーに押され、多くを望めません。(管理人の病院でも先日、インフリキシマブBS「NK」に採用変更してしまいました)

●シンポニー®(ゴリムマブ)

バイオ医薬品(その中でも、分子標的薬剤)に該当します。同じく自己免疫を抑制するタイプの薬でして、先述レミケードの改良版です。(レミケードの様な)キメラ抗体から(シンポニーの様な)ヒト型抗体へと構造改良され、アレルギーが減りました。しかも自己注射可能なので、通院頻度を減らせます。効果も実際によく、更にはジョンソン(JNJ)自体の良いブランドイメージから、選択されてきています。特許も長いです。

●ステラーラ®(ウステキヌマブ)

バイオ医薬品(その中でも、分子標的薬剤)に該当します。やはり自己免疫を抑制する作用機序で、クローン病の治療薬で、初回のみ点滴・2回目以降から自己注射(つまり通院頻度少なくて済む)となります。従来の分子標的薬ともちがう作用機序なので、主に「ファーストチョイスの分子標的でダメだった人のために」使われています。もうすぐ特許切れです。

●インヴェガ®(パリペリドン)

低分子医薬品です。統合失調症の治療薬で、内服薬なのは既存薬と同じです。違うのは「浸透圧によって、1日中薬が効き続ける=つまり1日1回だけの内服で済む」という患者負担の点です。その汎用性と、効果の高さ(陽性症状・陰性症状の両方とも改善する)から使用が増えています。ただし目下の売上こそ伸びてはいますが、低分子薬で特許切れという、リスクを孕んでいます。

●ダラザレックス®(ダラツムマブ)

バイオ医薬品(その中でも、分子標的薬剤)に属します。多発性骨髄腫の薬、要するに抗がん剤ですね。点滴静注の薬なので通院必要です。作用の仕方がやはり特殊で、CD38(がん細胞の表面に多発するタンパク質)にくっ付く事で細胞増殖をとめます。2015年末発売なので特許も長いです。

●イムブルビカ®(イブルチニブ)

低分子医薬品です(一応分子標的薬剤ですが、低分子なので他社に真似されやすいです)。マントル細胞リンパ腫の薬、抗がん剤です。「ブルトン型」チロシンキナーゼ阻害という、少し新しい作用の仕方です。2016年発売なので特許も長いです。

●株主への還元姿勢

 >配当金・一株利益の推移は?


現地源泉税率
国別源泉税率税引後受取率
米国株10%71.72%
英国株0%79.69%
オーストラリア株0%79.69%
インド株0%79.69%
メキシコ株0%79.69%
カナダ株15%67.73%
ロシア株15%67.73%
アイルランド株20%63.75%
台湾株21%62.95%
デンマーク株27%58.17%
ベルギー株30%55.78%
スイス株35%51.80%

JNJは米国株ですので、現地課税10%がよけいにかかり、配当金(インカムゲイン)は72%程度しか入ってきません。が、元々高配当株ではなく、どちらかというと株価(キャピタルゲイン)のほうで還元してくれる会社です。

もっともその配当金は、連続増配50年をこす「配当王銘柄」なのですがね。配当王とつく銘柄は市場平均よりもリターンが勝っていることが解っています。

 緑の配当金グラフがきれいな右肩上がり。しかもそれが58年も続いているのです。続けられるということはそれだけ盤石の経営であり、(一株利益>配当金なので)今後も続ける余裕もあります。

これを支えるのは独占的市場をもつ医療機器(電気メスのハーモニックなど外科手術)や、医薬品部門での次々の新薬開発、そして知名度からくる信頼性です。会社への信頼性も『コスト度外視してでも安全保障します』というイメージが強く(タイレノール毒物混入事件への対応などで)、高いです。

>株数推移は(自社株買いによる減)

株式数をいったん増やした時期もありますが、長期的には減らし続けてくれています。自社株買いで一株価値を高めてくれているのです。

●将来性

 >株価成長率は?

リーマンショックの時の株価は殆ど落ちていません。利益に至っては市場が冷え込む中大幅に増やしています。

コロナショックの時の株価は、逆に伸ばしています。

製薬株=ディフェンシブ株とされるだけあり、ジョンソンエンドジョンソン(JNJ)もやっぱりショックに強いです。

分子標的の自己免疫薬・抗がん剤といった「収益率が高く、患者さんがふえる分野」で特許の長い薬を幾つも持っている事は特筆すべき点です。現在これだけ持っているのは他にはロシュくらいです。

株価が市場平均にやや負けている・・・様に見えますが、株価に配当金を加味すると勝ります。ただしこの数年は利益低下しているのに株価上昇、つまり割高化しています。買いにくいタイミングになってしまいました。じっさい現時点でのPERは29.48倍(20を超えたら高いとシーゲル博士の理論あり)、PBRは6.71倍と高めです。

 > トータルリターン(2001~2020)は?

期間を変え、集計方法もトータルリターンに変えてみたところです。配当金が入るとこの通り、最終的には1.5倍もの差がつくこととなりました。やはり優良株ですね。株価の上下もとても小さいのですが、下げた2018年➡上がった2019年に大きく金額増えている事がわかります。これは下がった2018年に、沢山株を買えたからなんです。

※実は上下の激しい・配当金の多い企業ほどリターンは伸びやすくなります。たばこ株がリターンいいのは上下激しいからなんです。

 >利益率は?

利益率20%(100万円売れば、20万円がもうけとなる) というのは製薬企業としてはやや低めです。これは売上ポートフォリオが製薬・ワクチン・一般消費財・医療機器に分散されているためです。一般消費財はわりと薄利多売=利益率が低いですからね(優良な一般消費財企業のユニリーバでも16%程度)。

>財政健全性は?

JNJは他の製薬会社にくらべるとDEレシオ低めです。これは元々の自己資本が潤沢だからです。

【JNJの最近の買収・売却】
●2018年10月:シーズホールディングス(化粧品のドクターシーラボ)を買収(1500億円≒13.5億ドル)
●2020年8月:モメンタ社(自己免疫疾患の治療薬の会社)を買収(65億ドル=6.5Billion USD)

この様に超大型買収を次々やってはいますが、会社規模が凄いですからね。

 >割安性は?現在の株価は?

2021年現在、JNJのPERは30を超えていて「グロース株・割高株」の方に属します。ビジネスモデル的には永続性がって将来有望とは書きましたが、いっぽうで割高なので現在は購入しにくい銘柄。それがJNJです。

●総括(薬剤師の目線で)

JNJの特徴である、ポートフォリオ分散という安心感は強いですね。抗がん剤・免疫薬とも持っている薬数が多く、特許切れしたレミケードの後釜もちゃんと育っていて強いです。薬剤師としては「将来も使うだろうな」という薬が多いので、将来有望な会社と考えています。

大手製薬の宿命で、普段割高ですが「大型医薬品の特許切れ(パンテトクリフ=特許の崖)」「医療訴訟(JNJならオピオイド訴訟喰らってる)」などのタイミングで凄く安くなる特徴があります。ニュースをチェックして買い時を待ちたい銘柄です。

参考サイト

データ元はこちら

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(JNJ)
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