【配当金好きはどうぞ】グラクソスミス(GSK)は二重課税なしの安定的高配当株

個別銘柄(ヘルスケア>製薬株)

投資をしたいけど迷う方。

ちゃすけ
投資家

高配当株がほしい。高配当でも二重課税がない、受け取れる額の少しでも多い株がいいな。それでいて手堅い製薬業界。・・そんなワガママな株、あったらいいな。

そんな貴方には「グラクソスミス(GSK)」がオススメです。英国株ADR株なので二重課税はありません。近年伸び悩んで格安ゆえ、配当金はずっと据え置きで高いです。

だけど、折角大事なお金をつかって投資するなら、知っておきたいですよね?

●投資歴1年半で、コロナショックでも収益プラス
●投資スタイルは買ったら放置(2人子育てで忙しいから)
●放置したいので、安定株しか買わない・分析しない
●高収入じゃない分、生命保険・学資保険代りに資産が欲しい
●本職は病院薬剤師(抗がん剤管理担当)なので、最前線での薬・医療機器動向がわかる

そんな僕が、解説いたします。

【そもそもどんな銘柄?】

「コンタックの会社」と、ロゴマークをみればピンとくるのではないでしょうか。

規模を把握したいので、同業種の売上も比較してみましょう。

・・・医薬品業界の時価総額はベスト10に入りません。ですが、医療用医薬品の売りあげは第5位です(2019年当時)。どちらかと言うと伸び悩み気味で、他社が伸びているから順位を落とし続けてきた会社です。ですが、堅実なポートフォリオを持っています。

今度は売上の内訳をみてみます。

・・・全部の売上のうち、2割はワクチン、3割は消費者向け健康グッズ、そして残り5割は医療用医薬品が占めています。医療用医薬品に100%特化した会社が多い中、この会社はヘルスケア全体で満遍なく売っている会社です。タイプとしてはJNJに似ています。

セクター(=業種)11分類でいうと「Health Care(=ヘルスケア)」ですね。当然景気敏感・ディフェンシブでいえば、ディフェンシブ株にあたります。

<英国株ADRに該当>
★配当金は 現地課税0%+日本課税20.375% の二重課税
★売買差益は 日本課税20.375% の単独課税のみ

●配当金が日本課税だけなので、高配当の場合は株主に嬉しい特徴です。

本当に安定しているの?

とても安定しています。理由はこうです。

①売上地域が分散してるから
②不景気でも止めない物だから
③実際に配当金が、守られているから
④長期リターンのいい「Health Care」業種だから
 

伸び盛りの会社ではありません(2回目)。ですが安定性はあります。それらをひとつひとつ解説していきます。

具体的な理由

①売上地域が分散してるから

これをご覧ください。

売上が世界中に分散していますよね。分散すると、安定するんです。

なぜなら、一カ国で不祥事・被害があって売上低下しても、他の国と地域が補ってくれるからです。

投資家では有名な格言で、「卵を一つのカゴにのせるな。(沢山のカゴに分散させろ)」というのもあります。

ですから「売上分散」というのは、おおきなメリットなんです。

ちなみに、地域別の売上の伸びをみると、この通りです。この4年だけみるとどの地域でも伸び盛りに映りますが、実際は10年前を回復しただけです。

②不景気でも止めない物だから

グラクソスミスの売上は、不景気でもあまりダメージを受けません。

なぜなら勝負する「医療用医薬品」「ワクチン」「一般向け医薬品(OTC)」はお金がないときにケチる対象ではないからです。

具体的に考えましょう。お金がないから喘息治療やめる、アドエアやアノーロの吸入をやめます・・・とはならないですよね。喘息やCOPDがひどくなってしまいますから。お金がないなら他の外食費・交際費・レジャー費を削るはずです。それどころか医薬品は、高額医療救済制度で支払い上限があったり(各国ともあります)、生活保護でタダになったりと救済措置も沢山あります。

ですから、不景気になってもグラクソスミスの実績は、心配いりません。

③実際に配当金が、守られているから

これをご覧ください。配当金は死守しています。(このグラフはUSD建てでデコボコですが、実際は1株あたり80GBPの配当金は固定化されています)

1株利益が近年低かったことがわかります。これは買収による「のれん償却費」や「研究開発費の大幅投資」が挙げられます。1株利益よりはるかにおおい配当額を、銀行に借金してでも株主に提供しつづけていて、株主を死守する会社です。すぐに減配・無配にする日本(日産自動車やペッパーフードサービス・住友商事・丸紅など、株主を裏切って減配しています)では考えられませんが、外国の株式会社では常識です。

利益率はやっと20%に戻しました。製薬業界としては低めです。この数年の利益率の低さは明確なテコ入れだったからです。

④長期リターンのいい「Health Care」業種だから

業種的にも、オススメです。

なぜならHealth Care(ヘルスケア)の業種は、歴史的にも伸びの良かったからです。

具体的な数字をあげます。これは株式分析の権威:ジェレミー・シーゲル博士の統計からわかった、業種別の長期伸び率です。

セクター平均リターン(年%)
ヘルスケアHealth Care14.19
生活必需品Consumer Staples13.36
情報技術Information Technology11.39
エネルギーEnergy11.32
一般消費財Consumer Discretionary11.09
金融Finacials10.58
資本財Industrials10.22
電気通信Communcation Services9.63
公共事業Utilities9.52
素材Materials8.18
業種平均Average10.85

どうでしょうか?業種平均より大幅にいい14.19%の伸び率をだしています。業種的にも、伸びやすいといえます。伸びるということは、それだけ安定的だという事です。

詳しい売上内容

この会社の売上ポートフォリオの伸びはこうです。

みての通り近年、「一般向け」と「ワクチン」の開発に力を入れています。

医療用医薬品の売上と伸びはこうです。

Anoro®:アノーロエリプタ吸入用

バイオ医薬品・低分子薬でいえば低分子薬です。治療病名でいえば慢性閉塞性肺疾患(COPD)です。2成分配合の吸入薬で、1日1回の吸入投与で、吸入後はうがいをする薬です。COPDは大気汚染の深刻な地域(中国、インド、南米など)では急増していて、この薬もそれにこたえています。単価は安いのですが患者数が多く、また「治すでなく症状を抑え続ける薬」なので使用数は増えてきています。

セレタイド(日本名:アドエア)の特許切れで多く望めないので、この薬が穴を埋めようとしています。。

Tivicay®:テビケイ錠50㎎

分子標的・低分子薬でいえば低分子薬です。治療病名でいえばHIVです。HIVといえば世界中に患者数が多く、疾病負荷の大きい疾患です。治すのではなく、症状を抑え続けるタイプの薬です。しかしHIV薬は2015年あたりから特許切れラッシュで、薬価暴落して売上がだしにくくなりました。(HIV患者や感染率の高い国にとっては朗報です)その中で大幅に売上伸ばしているのは素晴らしいです。

ギリアドサイエンシズ(GILD)が3剤配合の1日1回HIV薬を作っているので、その影響が気になるところです。

Triumeq®:トリーメク配合錠

バイオ医薬品・低分子薬でいえば低分子薬です。治療病名でいえばHIVです。1日1回タイプで、3剤配合というお手軽な薬です。しかも食事の有無で効果は変わらないので、免疫低下➡食欲無しとなっても治療継続できるのです。

やはりギリアドが、同じコンセプトの薬を発売しているので競合しています。有効性でこちらが上回れば、シェアをかなり喰えるのですが・・・。

グラクソ製品にいえる事

1虚血性心疾患20,370.07.62,730
2脳卒中13,794.15.21,849
3下気道感染症12,969.04.91,738
4早産の合併症10,139.73.81,359
5交通事故8,253.83.11,106
6下痢性疾患8,174.33.11,095
7COPD7,251.22.7972
8糖尿病6,566.62.5880
9出生時仮死出生外傷6,392.82.4857
10先天異常6,298.02.4844
11HIV / AIDS5,995.12.2803
12結核5,164.31.9692
13背中と首の痛み4,751.51.8637
14成人発症性の難聴4,735.21.8635
15肝硬変4,528.71.7607
疾病負荷wikipediaより引用

低分子薬ばかりで、これからの薬である「バイオ医薬品(特に分子標的医薬品)」には弱いです。ですがこの表の通り、疾病負荷の大きい疾患に力をいれて、使いやすい剤型の薬を量産しています。単価は高くないですが、患者数多い薬を使いやすい剤型にして発売しており、「薄利多売」的な薬の売り方といえます。

次に、ワクチンの売上と伸びはこうです。

Shingrix®:シングリックス筋注用ワクチン

2018年半ばにに発売した、なんと帯状疱疹ウイルスのワクチンです。帯状疱疹のあの激痛を、かなり緩和させる薬です。いままで帯状疱疹といえば体力を維持してウイルスが活発化しないように予防、としかできませんでした。もしこれで治るとなると、たとえばファイザーのドル箱・リリカなどは喰ってしまいます。帯状疱疹は高齢者で際立って増えるうえ、症状はあの激痛を伴った水疱です。痛くて眠れないからなんとかして、と言う人がこぞって求めてきており、いまグラクソスミスはこのワクチンが好調なのです。

ワクチン=そう、コロナウイルスのワクチンももちろん開発中です。いま外国メーカーは「ファイザー・サノフィ」「ギリアド」「グラクソスミス」がコロナワクチン作りでし烈な競争を繰り広げています。僕としては全部の会社の株を、均等に買う事にしています。どこが勝つかなんてわからないですし、万一作れなくても他にドル箱商品が有る会社ばかりですからね。

反論への理解

分子標的薬剤が全くないじゃないか、と言われますね。分子標的に弱いのは、近年の製薬大手として弱点です。伸びしろが小さいようにいわれます。

ですがこの会社、「呼吸器疾患」にはとても強いのです。おなじく英国株のアストラゼネカも、呼吸器疾患に強いライバルです。そして呼吸器疾患は、世界の大気汚染進行・砂漠化による砂塵増加で確実に伸びている分野です。

医療用医薬品に弱いじゃないかと言われます。伸び悩みは確かです。ですがワクチン・一般向け医薬品に力を入れていて、それも同じくらい世界から必要とされています。コロナワクチンを作っているのもそうです。コロナウイルス=呼吸器疾患なので、呼吸器薬(ステロイドの入っていないもの)の売上で確実に貢献できます。

伸び悩みのイメージほどには悪くなく、高配当はまだまだ保障されつづけるのでは、とふんでいます。

結論:グラクソスミス(GSK)は持続的な高配当狙いにうってつけ

これがいえます。この15年でほとんど株価は伸びていません。ですがその間ずっと、高配当といえる利回り5%前後の配当金を、出し続けてきました。

ロシュやノバルティスが「配当金ではなく、株価の伸びを期待して買う株」なら、グラクソやアッヴィは「高利回りの配当金を、安定的に貰い続ける株」なんです。おなじ製薬株でも性格は全然違います。

トータルリターンはロシュ・ノバルティスのほうが上なのでしょうが、僕個人としては高配当金を受け取り続けるのも好きなので、大量保持しています。ワクチン部門が思ったより好調なのと、むしろ上位メーカーと競合せず住み分けていていいなと考えています。

2019年3月に39USD×150株を購入し、変わらぬ株価と高配当を受け取り続けています。

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