【生活必需品】ADMアーチャーダニエルズミッドランド個別株分析(22年03月)

個別銘柄(生活必需品)

世界2位の穀物メジャー(=穀物流通大手)、米国企業のアーチャーダニエルズミッドランド(銘柄ティッカー:ADM)について。

会社公式HPより引用

●株(ファンド)の概要~そもそも何してるところ?

 >セクター11分類・細かな業種・ディフェンシブor中間or景気敏感

セクター(業種11分類)でいえば生活必需品(Consumer taples)にあたります。生活必需品セクターといえば11セクターの内で、長期成長率が2位で、かつ不景気時でも値段下落が小さく安定的なことが解っています。(1位は医薬品セクターですが不景気耐性は低め、3位はエネルギーセクターで他業種の逆の値動きすることが多い)

社名を聞いてもピンとこないでしょう。というのが業種が「穀物の貯蔵・流通・減量の提供」などで一般人があまり触らない物だからです。いわゆるB toBサービス(ビジネス➡ビジネス。つまり一般顧客に提供せず、その職種の人間だけで完結するサービス)なのです。

そんな風に一般知名度は無いですが、無くてはならない会社です。この会社は「5大穀物メジャー」の第2位でして、その5大穀物メジャーだけで世界流通量の80%を占めるからです。ちなみに穀物メジャーのしくみはこうです。

世界の穀物流通に不可欠な存在
Nikkei4946サイトより引用

穀物を生産せず、穀物を買い付けて貯蔵し、必要時に流通させる仕組みです。これがメインの収益です(他の収益源もあります)。考えればわかりますが、これだけだと「誰でも真似できるビジネスモデル」なので、当然収益率は低くなります。

【穀物メジャーの収益源】
●穀物の生産ではなく、流通により収益をあげる
●規模が圧倒的なため、コストを下げることで収益確保している
 ※同一商品は沢山作った方が単価が安くなる、マーケットリーダーの理論
●倉庫・トラック・船などは殆ど保持してて、新たに他社が参入することは難しい
●収穫期の違う地域・国々での穀物を流通させられ、価格・数量とも安定的に供給できる
 ※小麦の収穫できない冬の日本で小麦粉が使えるのは穀物メジャーのお陰

 >その売上の内訳は?内訳別の将来性は?

地域別の売上は、資料が見つからないため(発表していない可能性高い)載せていません。

今度は地域別ではなく、製品別の売上をみます。穀物メジャーらしくやっぱりメインは「農業サービス」ですが、業種拡大を続けていてその他でも売上伸ばしています。グラフにある5年単位ではどこも伸びていますが10年でみると、じつは伸び悩んでいます(農業サービスの縮小のため)。内容が結構分厚いので、こちらクリックして下さい。

詳細スペック
★製品部門ごとの詳しい説明★

●The Ag Services and Oilseeds segment (農業系の総合サービスと、油脂原料種の部門)

この部門(Segment)には作物の生産、商品化、輸送、農業原料の貯蔵、大豆や軟質種子といった油糧種子(綿の実、ひまわり種子、カノーラ、菜種、亜麻仁)の粉砕と加工をさす。

つまり先ほどの図にでてきた、輸送ネットワークや港のでっかい貯蔵タンク、天候の情報網なんかはここ(Ag Services=農業的サービス)にふくまれるのです。ここが収益の柱となります。また油糧種子の加工や商品化(大豆油やひまわり油、キャノーラ油、菜種油、豆乳への加工など)もふくんでいます。

 〇Ag Services=作物の生産・運搬・商品化・輸送・貯蔵の総合サービス。

 〇Refined Products&Others=油糧種子をもとにした、完成品の販売。具体的にはサラダオイル・ドレッシングや豆乳など。さらに加工して「マーガリン」「ショートニング」、「バイオディーゼル燃料」、化学工場などへの「グリコール」へと加工されて販売する。

●The Carbohydrate Solutions segment(炭化水素の部門)

トウモロコシ・小麦の湿式or乾式粉砕事業と、その加工品作成をさす。

炭化水素=ようするに栄養でいう炭水化物・でんぷん系の作物の事ですね。小麦やトウモロコシを食品や飲料に加工する部門です。

 〇Starches & Sweeteners=デンプンやシロップ、転化糖などへの加工です。

 〇Vantage Corn Processors=高度なトウモロコシ加工です。

●Nutrition segment(栄養剤部門)

 〇Human Nutrition=人間の栄養剤。食品・飲料・栄養補助食品などの売上。

 〇Animal Nutrition=動物の栄養剤。家畜えさ・養殖えさ・ペットフードなどの売上。

> 保有する会社の割合

最大株主のバンガード社が10%を占めています。バンガード社といえば投資家御用達のバンガードファンドを取り扱う会社ですね。世界2位(1位はブラックロック社)のファンド会社で、運用資金は7.1兆ドル(2020年1月時点)で、日本の国家予算の10倍(!)を動かす会社となります。

●株主への還元姿勢

 >配当金・一株利益の推移は?


現地源泉税率
国別源泉税率税引後受取率
米国株10%71.72%
英国株0%79.69%
オーストラリア株0%79.69%
インド株0%79.69%
メキシコ株0%79.69%
カナダ株15%67.73%
ロシア株15%67.73%
アイルランド株20%63.75%
台湾株21%62.95%
デンマーク株27%58.17%
ベルギー株30%55.78%
スイス株35%51.80%

 

配当は余裕そのもので、配当性向50%を超えたことがありません。そしてその配当金も50年以上連続増配している「配当王」となります。

>株数推移は(自社株買いによる減)

ではその自社株買いと、会社全体の利益をみてみます。利益額はおおむね微増です。発行済み株式数は長期で見ると右肩下がりで、ここでも自社株買いでの株主還元をしてくれています。

●将来性

 >売上成長率は?

先ほど利益額は微増とおつたえしたのですが、売上額は横ばい~やや減少くらい。利益増加は利益率向上のためだったのです。

利益率は2%➡3%にのびただけですが、それでも1.5倍ですので十分凄い伸び方です。利益率の低さは前述の通り、業種が競合が入りやすい「穀物の流通」だからです。製薬会社が20~40%、生活必需品会社が20%、たばこ会社が45%とか出してるのみるとずいぶん低いように感じますが、薄利多売ビジネスだからです。ただ競合入りやすいといっても、流通のほとんど全てをADM(を含む5大穀物メジャー)が抑えていて、彼らに関わらないとかなり効率悪い状態が出来上がっています。

 > 近年のトータルリターンは?(2001~2022年)

まずは近年10年の伸び率。市場平均に大差勝ちです(=S&P500指数うよりも儲かっていた)

じゃあ今度は、2000年からの22年間を比較をします。ものすごいスピードでADMが伸びています。22年間で、8倍に増加(!)したことになります。この間に「ITバブル崩壊」「リーマンショック」「コロナショック」を経験して中々ハードな期間だったのですが、株価下落の度に(下落した安い値段でADMを再投資できるので)株数がのび、この差がついてしまいました。そして注意してほしいのは、ADMは新興企業ではなく100年以上まえから存在するかいしゃで、2000年当時ですらも業界2位の穀物メジャーだったということです。もちろん穀物流通以外にも売上販路をふやしていますが、それ以上に業界の成長性によってのものです。

IF:10年間、配当金を再投資しなかった(すべて現金のまま)場合

配当金を再投資した場合(青グラフ)、配当金を使わず貯金した場合(緑グラフ)、株価20%下落したら売却する場合(黄色グラフ)を比較しました。

最良リターンはやはりといいますか、再投資した場合の青グラフでした。そして損切した黄色グラフはやっぱり最悪のリターンでした。よく雑誌で「20%下落したら損切ルール発動。これ以上損害を拡げない為に勇気を出して売る」などと書いてありますが誤りです。

というか「損切」された方は、資産が10年間で1404USDにしかなりませんでした。そのまま愚直に再投資した方は最良の、3808USDを手にしていました。

 >財政健全性は?

※一番右下にみえるのが最新版のDEレシオです。

負債を全然抱えていません。

流動比率1.4というのは米国企業としては高めです。総支払額1.4年分を直ちにポンと支払える状態です。PERも目下18倍で、現在(2022年3月)S&P500指数のPERが24倍なのを考えると、割安といえます。

 >割安性は?現在の株価は?

●総括(一般投資家の目線で)

好材料がいっぱい、大変魅力的な投資先といえそうです。

●配当王(連続増配50年超)=長期的に高リターンと解っています。

●参入障壁の高さ=穀物メジャー5社の一角で、世界の穀物流通量80%を占めていて他が入ってこれません。

●割安性=PER18倍(=株価÷一株利益EPS)と割安です。つまり高値掴みする心配もありません。

こんなに好材料が揃っています。近年22年間で延びまくった会社ではありますが、今でも十分投資先として良いように思います。管理人は実際ADMではないのですが、穀物メジャーを傘下に持つ「丸紅」を200株持っています。でもADM単独買いしてもいいと思っています。

〇参考にしたサイト

https://s1.q4cdn.com/365366812/files/doc_financials/2021/ar/2022-Letter-to-Stockholders-and-Proxy.pdf

投資可能な証券会社

SBI証券楽天証券マネックス
証券
DMM.com
証券
アーチャーダニエルズ
・ミッドランド
(ADM)

今から投資開始なら、口座をこう使い分けます

管理人は現在メイン証券は楽天証券です(愛用しています)。が、今から投資スタートするならSBI証券×マネックス証券の2口座使いします。(ちなみに管理人は3社とも口座所持し、全部に金融商品もっています。SBIはシーゲル理論知る前の状態なのでボロボロですが)

SBI証券

NISA,つみたてNISA枠はSBI証券を使って投資します。

【SBI証券の良いところ】
①S&P500連動の投資信託の管理手数料が、日本最安値。
 ※SBI・V・S&P500という商品で、年0.0938%は最安値です。
②S&P500を上回る投資信託の管理手数料が、断トツの日本最安値
 ※SBI・V・米国高配当株式という商品で、年0.12%はダントツの安さです。

マネックス証券

NISA・つみたてNISA以外の部分はこのマネックス証券で投資します。今回のNISA・つみたてNISAの話からは脱線ですね。

【マネックス証券のいいところ】
●米国株の取扱数が、ネット証券最多の4100超え(2021年6月現在)
 ARCCなどの超高リターンファンドも購入可能(SBIでは不可)
●ネット証券で唯一可能な「配当金自動再投資:通称DRIP」は長期投資になるほど高リターン。
●ネット証券ではSBI・マネックスしかできない「米国株定額定期買付」。やはり高リターン銘柄を自動で買える。
●投資信託は、保有期間中ずっとマネックスポイント0.03%(ひと月ごと)が付き続ける。100万円もってたら300ポイントが毎月、入り続ける計算。

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