※かなり初心者向け。病院経験者などで「そんなもん知ってるよ」という方は見ないでください。
化学療法
がん中期によく行います。化学療法は全身に効果が有る為、全身に転移したがん細胞にも有効だからです。
中期だと転移している可能性があるため、万一手術で原発巣を切っても(転移を)取り切れていなかった場合、有効だからです。
実際にstage2~3のがんで、「手術のみ」vs「手術+化学療法(術後補助療法とも呼びます)」でははっきりと、化学療法を併用したほうが生命予後が良いのです。
末期近くでも行います。末期近くだと手術は無意味です。理由は全身転移しているため、手術で切っても転移巣がどんどん増殖するため。手術で消耗する体力>>がんを切る事でのびる寿命 なので、手術しないわけです。
ですが全身転移=化学療法であれば全身を巡るので有効です。
そしてstage4(多臓器へ転移あり)であっても稀に、抗がん剤で転移巣が死滅して手術できるようになる場合もあります。大腸がんのstage4の5年生存率は現在(2020年)23%程度ですが、この23%にこれが含まれています。
最末期の場合は、化学療法を行いません。化学療法は体力をすごく消耗するため、体力のない最末期に行うとがん弱らせる前に亡くなってしまいます。
化学療法については、こちらのサイトが詳しいです。
疼痛コントロール
がん性疼痛は特殊です。使う薬は「医療用麻薬」「NSAIDs鎮痛剤」「神経性鎮痛剤」などがあります。
全体像はコチラです。
・・・医療法麻薬は強オピオイドの事です。また図を見ての通り、初期=NSAIDsのみ、末期=強オピオイドのみ、ではありません。実際は末期には医療用麻薬+NSAIDs併用することが殆どです。初期でも酷い場合は強オピオイド単独をやったりします。
医療用麻薬について
【がん性疼痛の特徴】
●疼痛が持続的・がん進行と共にだんだん強くなる
●(仮説)持続的な痛みで、オピオイド受容体のバランスが崩れ、ひどい疼痛を引き起こす。
➡このバランスを(医療用麻薬の投与で)整える事で、疼痛に関してはかなり緩和できる。
麻薬使用時の問題点として、以下があります。これらの解決も、病院薬剤師の仕事です。
●麻薬依存が怖い 場合への指導➡上記図を説明する。
●副作用が強い 副作用対策の指導➡抗がん剤のメリットを説く。
●管理が難しい(本人管理はNG) 管理体制の指導
【オピオイドローテーション】
同一成分の麻薬続けていると、効果が薄れてきます。また経口摂取が難しくなってフェンタニルテープに変えたいなんて時もあります。
そんな時は麻薬(オピオイド)を変更します。これをオピオイドローテーションとよびます。
等量換算表(目安)をつくりましたので参照ください。
定期オピオイド(㎎/日) | 頓服 オピオイド (㎎/回) | |||
モルヒネ (内服) | オキシコドン | モルヒネ (注射) | フェンタニル テープ | オキシコドン |
10 | 0.5 | 2.5 | ||
20 | 15 | 10 | 0.5 | 2.5 |
30 | 20 | 15 | 1 | 2.5 |
40 | 30 | 20 | 1 | 5 |
60 | 40 | 30 | 2 | 5 |
90 | 60 | 45 | 3 | 10 |
120 | 80 | 60 | 4 | 15 |
180 | 120 | 90 | 6 | 20 |
240 | 160 | 120 | 8 | 30 |
※オピオイド 等量換算表
【オピオイドローテーションの例】上記表をもとに換算する。
<例1>オキシコンチンTR10×2回継続中で、効果落ちてきた・・
➡フェンタニルテープ1㎎へ変更
<例2>オキシコンチンTR40×2回だが、飲み込めなくなった
➡フェンタニルテープ4㎎又はモルヒネ注射60㎎/日へ
鎮静(セデーション)
鎮静は最末期に行います。麻薬による疼痛コントロールで「痛み」はとれても、「苦しさ」は取れません。
最末期にもなると痛みよりも、苦しさが問題になります。「身の置き所のない苦しさ」です。
苦しさを取るのは・・・鎮静剤です。簡単にいうと眠らせる事で、苦しさを忘れさせます。その効果は、例えば起きている時は苦しがっていた方でも、鎮静かけた途端にスーっと安らかに寝入る位です。
代表的なものに、「ミダゾラム(ドルミカム®)」の持続点滴があります。