【製薬株】メルク&カンパニー(MRK)個別株分析(21年03月)

個別銘柄(ヘルスケア>製薬株)

世界第4位の製薬会社・メルク&カンパニー(銘柄ティッカー:MRK)について。

創業は古く1891年で、130年の歴史を持ちます。S&P500採用銘柄で1957年の発足時から採用銘柄でありつづけています。

●株(ファンド)の概要~そもそも何してるところ?

 >セクター11分類・細かな業種・ディフェンシブor中間or景気敏感

メルク(MRK)はGICSのセクター11分類でいえば「ヘルスケア」にあたり、その中でも「製薬企業(Pharmaceuticals)」にあたります。製薬企業らしく、景気の影響を受けにくいディフェンシブ株といえます(後述の2005~2020年の株価・利益グラフをみれば納得するはずです)。

この会社は歴史こそ古いですが、日本ではワクチンや医療用医薬品しか扱わない会社(=プロしか知らない、いわゆるBtoBの会社)なので一般の方にはなじみが薄いと思います。そしてプロのはずの薬剤師には、MRKではなくMSDと言った方が通じるかもしれません(2021年現在日本では、MSDで通しているため)

 >その売上の内訳は?内訳別の将来性は?

この様に米国で半数売上ていますが、第4位の売上だけあって世界中で分散して売っています。

その推移もこの通りです。ほぼどの地域でも右肩上がりの売上をもっています。

今度は地域別ではなく領域別でみていきます。

その大半は医療用医薬品(★マーク無部分)が占めていますが、ワクチン部分も無視できない規模です。内訳推移は以下です。

★ワクチンは拡大傾向ですね。そして抗がん剤が凄い拡大です。これはある1剤のお陰でして、その1剤に30%も売上依存しています。ワクチンとその「ある1剤」が、メルク(MRK)を語る上で重要だと思います。

 >主要な個別製品の説明

●キイトルーダ®

医療用医薬品で、バイオ医薬品(その中でも分子標的薬剤)に属します。抗がん剤で、あの超高額医薬品・オプジーポ®(小野薬品とブリストルマイヤーズの:BMYの商品)と同効の改良型です。急激な適応拡大でぐんぐん伸びて、2020年の世界医薬品別売上ではヒュミラ®(アッヴィ:ABBV)につぐ第2位になってしまいました。ただし現在のメルク(MRK)の好調ぶりは、あまりにも成功しすぎたキイトルーダ®に依存してしまています。

【キイトルーダ®依存について】
●2020年のメルク(MRK)全体の売上:47,994Million USD、
●2020年のキイトルーダ®の売上:14,380Million USD➡29.996%を占める
●キイトルーダ®の危険性について
 1)超高額医薬品である:医療費圧迫の原因になりうる=薬価の緊急切り下げの可能性あり。
 ※オプジーポ®を持つ小野薬品工業は、薬価緊急切り下げを何度もうけてそのたびに株価急落した。
 2)研究結果で「生命予後改善に有意差無」など不都合なニュースがあった時、使用量が急落する危険性もあり。
 ※いったん発売した医薬品でも市販後再研究で有効性なしとされ、発売中止となった薬はいくらでもある(ダーゼン®、レフトーゼ®、ノスカール®など)

管理人がパッと思いつくだけでこんなリスクです。超高額医薬品への1剤依存って怖いんです。ですがそのリスクよりも、将来性の方が勝ると管理人は考えております。

●ガーダシル®

医薬品ではなくワクチンに分類されます。子宮頸がんのウイルス(ヒトパピローマウイルス)ワクチンでして、10代の女の子がおもな接種対象となります。

【ウイルスで癌になるの?】
●なります。いくつかのがんはウイルスが主因とわかってきました
 肝臓がん:B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス
 子宮頸がん:ヒトパピローマウイルス
 成人T細胞白血病:HTLV-1
●ウイルスではないが細菌が主因のがん
 胃がん:ヘリコバクター・ピロリ菌

●ニューモバックス®

医薬品ではなくワクチンに分類されます。肺炎球菌ワクチンですね。肺炎球菌の引き起こす肺炎は高齢者の主な死因ですので、自治体が補助金だしてでも接種推奨しているくらい、積極的に使われてきています。もちろん地球全体の高齢人口増で、接種回数は増えてきています。ワクチンのいいところは、特許切れしても後発品に置換わりにくいことです。

●あとは糖尿病薬で「ジャヌビア」「ジャヌメット」を所持していて結構売上が大きいです。ジャヌビアは世界初のDPP4阻害剤でして、発売当初は夢の薬なんて言われていました。しかし医師・薬剤師からは「投与量と血中濃度が比例しない」「腎機能低下患者に使いにくい」と嫌煙されつつあり、特許切れも間近。特許切れ前から売上も下がってきているので、メルクの主力とはいえなくなりました。

※ぼく自身が病院内科医に『患者Aさんに、DPP4阻害剤を追加するなら何にする?』ときかれて、ジャヌビア®を挙げたためしはありません。たいてい他社製品の「エクア®」「トラゼンタ®」のどちらかしか勧めませんね。同効で、はるかに使いやすいからです。

●株主への還元姿勢

 >配当金・一株利益の推移は?

連続増配に関しては1970年から続けていて、配当王(連続増配50年以上のS&P500採用銘柄の事)とよべる状態です。サイトによっては連続増配9年としていたりしますが、配当金はじっさいには右肩上がりで下げておらず、配当王とみなせます。

米国株なので配当税率は29%で、100ドルの配当金は71ドルしか入ってきません。それでも古い企業らしく配当利回りは低くなく、常時3%を超えています。株主還元には積極的な会社といえそうです。


現地源泉税率
国別源泉税率税引後受取率
米国株10%71.72%
英国株0%79.69%
オーストラリア株0%79.69%
インド株0%79.69%
メキシコ株0%79.69%
カナダ株15%67.73%
ロシア株15%67.73%
アイルランド株20%63.75%
台湾株21%62.95%
デンマーク株27%58.17%
ベルギー株30%55.78%
スイス株35%51.80%

 >株数推移は(自社株買いによる減)

こちらも申し分なしで、10年連続で毎年3%ずつくらい自社株買いしてくれています。右肩下がりなのは安心ですね。自社株買いの泉源といえる利益が2020年に下がりましたが、これは第4四半期に赤字だったからです。

●将来性

 >売上成長率は?

この通りです。株価の伸び方は配当金なしでもS&P500平均と互角、なかなかの好成績でした。利益が最近落ち目なのが気になりますね。株価程に伸びていないので、割高化したという事ですからね。

メルク(MRK)が製薬企業らしい値動きしているのはリーマンショックのダメージあった2007➡2008年。株価下落したのに利益がむしろ上昇、つまり大幅に割安化したという事。みんな「株はもう終わりだ、株と名の付くものは売ろう」としてメルク(MRK)も一緒に売られたのですが業績はむしろ好調だったという事です。業績好調は、医薬品業界はどんなに不景気でもほとんど経済活動が止まらないからなんです。医薬品業界が「景気悪化から護られた銘柄、ディフェンシブ株」とされるゆえんです。

 > トータルリターンは?(2001~2020年)

ところが、期間を2001年からにすると話が違います。2003~2006年に一旦大きく下げたため、配当金込みのトータルリターンが下回る結果になりました。これはシェリングプラウ社の買収による財政悪化を懸念されて、低下しているのです。伸び方もじつは横ばいでして、それで平均をやや下回るリターンとなりました。

 >利益率は?

このとおり。利益率は近年25%弱くらいです。2021年はバンディオンを更に買収して利益悪化(のれん代計上)が予想されますが、幸い会社規模の大きさもあって、利益の1/5程度で済んでいるので問題ないかなと思います。。また前述のとおり「キイトルーダ依存」が怖いので、それ以外で利益の取り易い免疫疾患系の分子標的薬を取得できたのは大きいと思います。バンディオンから取得した部分が素晴らしいと感じるのなら、将来有望だと思います。

※近年免疫疾患分子標的の製薬会社が、高額プレミアつけて買収する例が目立ってきています。免疫疾患の分子標的薬は2020年世界一のヒュミラ®(アッヴィ:ABBV)をはじめとして売上規模がとても大きいですからね。ただこの優秀なヒュミラでさえも特許切れしたので、これまで通りに売れるとは思えませんが・・・

【近年の主な買収・売却】
●2009年、シェリングプラウ社を買収。
●2014年、独バイエル社に市販薬部門を売却。
●2021年3月、米国パンディオン社を1株60USDで買収。1,850Million USDで。免疫疾患薬の研究部門を取得
(元々1株27USD➡133%上乗せの1株60USDで)

 >財政健全性は?

 >割安性は?現在の株価は?

実は買収発表の2021年3月1日のチャートがへこんでいます。財政悪化を懸念されて落ちたのです。

●総括(薬剤師の目線で)

メルク(MRK)は現在はキイトルーダ依存の会社ですが、そのキイトルーダはまだまだ特許長く、適応拡大をみても伸びしろはまだまだありますので、そこは心配ないでしょう。他にも新薬開発はわりとうまく行っていて、しかも売上の大きな「免疫疾患の分子標的薬剤」も取得できていて、売り上げの大幅増は間違いないと踏んでいます。懸念するのはDEレシオの高さ、怖いなと思います。財政不安を打ち消せるくらい、保有薬が魅力的だと感じるのならアリだと思います。

管理人は「永続性のある裏切らない企業」と考えていて、実際に保有しています。こういう伸びしろも財政不安もある企業は、似たような企業を分散で何社も持つ事でリスク軽減しています。管理人の場合はBMY、LLY、JNJ、AMGN、NVO(これのみ手堅い優等生ですが)なども所持しています。

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