【製薬株】ノボノルディスク(NVO)分析(21年03月)

個別銘柄(ヘルスケア>製薬株)

世界第6位の製薬会社・ノボ・ノルディスク(銘柄ティッカー:NVO)について。

●株(ファンド)の概要~そもそも何してるところ?

 >セクター11分類・細かな業種・ディフェンシブor中間or景気敏感

セクター11分類でいえば「ヘルスケア」です。ヘルスケア内の細かな業種でいえば、製薬株です。ヘルスケア業界全体が、抜群の安定性を持つディフェンシブ株とよばれるものですね。

もちろんノボ社(NVO)は、ヘルスケア業種らしい安定性と、素晴らしい成長性を持っています。このへんの事は後ほど、成長性の項で触れます。

 >その売上の内訳は?内訳別の将来性は?(参考:アニュアルレポート20202019)

世界での売上内訳はこう。さすがトップ10に入る会社だけあって、しっかり世界中に展開できています。しかもその売上は、見ての通り伸び続けています。しかもどの地域でも。

EMEA=Europe,Meddle East,Africaの略です。本国デンマークを含むヨーロッパ全土、中東地域、アフリカの売上です。

Rest of the World=その他地域です。中国を除くアジア(日本はココ!)、オセアニア、南米ですね。

地域をとわず激増しています。

 >では製品分野別の内訳推移は、どうでしょうか?

凄い糖尿病依存ですね。しかもほとんどが、インスリン注射です。

インスリン依存=一見すごくリスキーです。だってインスリンがこけたら大部分がパーですからね。じゃあそのインスリンがこける可能性は??

・・・おそらくあまり無いですよ。

【インスリン業界が崩れにくい理由】
●インスリン業界は寡占状態で他社が参入してこない(してもうま味が無い)
 > ノボ社(NVO)、イーライリリー(LLY)、サノフィ(SNY)の三社で寡占
 > 値崩れしない。
 > 特許ぎれしても、真似されないので売上おちない(ノボラピッド・レベミルの項参照)
●インスリン市場は開拓途上で、人口増以上のスピードで売上のびている

 >主要な個別製品の説明

売上額がすべてデンマーククローネ(DKK)で失礼します。これリアルタイムのDKK/USDチャートですので参考にください。2021年現在は1DKK=0.16USDですね。

 ※ノボラピッド(Novo Rapid)注射の売上は9976Million DKKですので、USDに直すと1596Million USD(1DKK=0.16USDとして換算)となります。これもかなりの額で、当然売上TOP30に入ります。

主力薬の4年間の売上推移です。左6つはインスリン製剤ですが、その中ではばらけています。

 ●トレシーバ注射

医薬品で、バイオ医薬品(その中でもインスリン製剤)に属します。インスリンは超短時間型・24時間持続型とありますが24時間持続のほうです。ただの24時間持続ではなく、48時間前後も安定してインスリン効果が続くように改良された薬です。この改良の良いところは、毎日20時に注射する人が22時になって注射忘れに気が付いても、22時に注射してもOKということ。安全なんですね。米国特許は2029年までと長いですが、かりに切れてもインスリンですので落ちにくいでしょう。

 ●レベミル注射

医薬品で、バイオ医薬品(その中でもインスリン製剤)に属します。これは24時間持続型ですが、トレシーバと違うのは24時間しか効かないこと。打ち忘れたときが怖いです。そのため改良されたのが、トレシーバとなります。2021年現在は特許ぎれしていますが、バイオシミラーが台頭する気配はなく、売上の落ち方もゆるやかです(というかトレシーバにとって代わられている)

 ●ノボラピッド注射

医薬品で、バイオ医薬品(その中でもインスリン製剤)に属します。こちらは超短時間型製剤なので、食事の度に注射します。こちらもとっくに特許ぎれしています(他社がまねしていい状態)が、売上は逆にぐんぐん伸びています。インスリン業界が寡占状態だから、真似されないのです。

 ●ビクトーザ注射

医薬品で、バイオ医薬品(その中でもホルモン製剤)に属します。ホルモンの名前はGLP-1というもので、インスリンの最適分泌を促すためのホルモンです。やっぱり糖尿病につよい会社なんですね。ホルモン製剤なので寡占状態ではありませんし、特許も2023年までと短いです。ですがそこはノボ、既にとんでもない手を打っています。世界で初めて、GLP-1の経口薬を発売してしまいました。やっぱり盤石といえます。

ノボ ノルディスク 初の経口GLP-1受容体作動薬リベルサスを発売 | ニュース | ミクスOnline

 ●ノボセブン注射

医薬品で、バイオ医薬品(その中でもホルモン製剤)に属します。私たちは切り傷、打撲などで出血した時時間がたてば血が止まりますが、それは血液凝固のおかげ。血液凝固になくてはならない(普通の人はもっている)血液凝固因子がないと、いつまでも出血していまいます。この因子の内で第7因子が欠けてる人を「1型血友病」とよび、当然治療薬は第7因子の注射=ノボセブンです。このノボセブン、人の輸血由来ではない(=特定生物由来製剤ではない)ところがすごいところです。

会社の歴史・永続性

1923年ノルディスク社設立
インスリン製剤「レオ®」を発売
※リリーの「アイレチン®」
 (世界初のインスリン製剤)の1年遅れ
1955年日本でのノルディスク社製品の流通開始
1982年世界初のヒトインスリン製剤を発売
※イーライリリーと同時
1985年世界初のペン型インスリン注射を発売
1989年ノボ社と合併し、ノボノルディスクへ社名変更
1996年アナログ型インスリンを発売
参照元:会社公式サイトより

●株主への還元姿勢

 >配当金・一株利益の推移は?


現地源泉税率
国別源泉税率税引後受取率
米国株10%71.72%
英国株0%79.69%
オーストラリア株0%79.69%
インド株0%79.69%
メキシコ株0%79.69%
カナダ株15%67.73%
ロシア株15%67.73%
アイルランド株20%63.75%
台湾株21%62.95%
デンマーク株27%58.17%
ベルギー株30%55.78%
スイス株35%51.80%

ハッキリいって配当金は期待できません。デンマーク株なので、現地課税でまず27%➡日本の課税で20%とかなりもっていかれるからです。しかしもともと高配当ではありませんし、ノボ社(NVO)もそれを知っているので「配当金よりも自社株買い」で株主還元してくれています。

 

>株数推移は(自社株買いによる減)

・・・発行株式数と営業利益で、美しいクロスができています。そのため一株利益額(EPS)は加速的に伸びています。なぜなら分子となる営業利益は増えてるのに、分母となる発行株式数は減っているためです。

●将来性

 >売上成長率は?

製薬株=ディフェンシブ株の一種なのですが、ここまで凄まじいショック耐性・安定性をもつ製薬株もないです。何せリーマンショックで全く株価がおちず(しかも利益は激増)、コロナショックでは株価が激増しています。成長性は市場平均を軽く上回って、売上は15年で12倍になってしまいました。こういう「ショック耐性が強く・市場平均を大きく上回るお宝銘柄・ETF」というのは、ヘルスケア業種にはゴロゴロありますよ。

そして薬剤師はお宝たくさんのヘルスケア業種で、生で情報を仕入れられる立場なのです。

 > トータルリターンは?

とんでもないお宝銘柄であることが解ります。私は19年間のトータルリターン17.35%という数字は、他にPMの50年リターンくらいでしか見かけていません。この金額の伸びはほぼ、株価の伸びによるものですので、再投資をさぼり続けても少し少ない位ですよ。19年で金額が21倍(!!)に伸びています。

 >利益率は?

利益率はなんと40%を超えてしまいました。一般業種なら10%超えれば合格で、製薬会社なら25%あれば普通とされるので、いかに高いかお分かりでしょうか。当然売上も右肩上がりです。

 >財政健全性は?

Deレシオは低めで1.2前後です。これはノボ社(NVO)の経営姿勢が関係していて、4Wayに特化して他分野にはあまり手をださない=よけいな研究開発費をださず得意分野で勝負していく、という姿勢の結果です。いきなり破綻する可能性も低いでしょう。

 >現在の株価は?

●総括(薬剤師の目線で)

これからも伸びる要素が盛沢山。ノボ社(NVO)の大部分を占めるインスリン注射の数は確実に世界中で伸びるし、そのインスリンでマーケットリーダーなので安定しています。しかもインスリン業界は(ノボ社:NVO・イーライリリー:LLY・サノフィ:SNYの3社での)実質的な寡占状態(カルテル)が続いていて、参入障壁がより高いので落ちる要素もあまり見当たりません。

株主還元は(43%も税金で持ってかれてしまう)配当金よりも、超積極的な自社株買いで行ってくれています(配当のほうも連続増配ですが・・・)。配当金を再投資しようとしたらたとえ英国株でも80%しか使えませんが、自社株買いなら100%再投資できているのと同じです。つまり最大のリターンを目指すには最適です。

おまけに得意分野の強化に専念しているので、むやみな設備投資はせず財政的にも安定しています。

管理人は69.5USDで、90株を購入しています。現役病院薬剤師の管理人としては、ぜひ買い増ししたい銘柄となっております。

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