米国株をお考えの方へ。
いま割安だけど、将来性のある会社が欲しい。もちろん不景気でも売上落ちないところ。高配当も欲しいな。そんな所ないか・・・
あります。「ブリストルマイヤーズ・スクイブ(BMY)」は今割安で、高配当でオススメです。
だけど、折角大事なお金をつかって投資するなら、知っておきたいですよね?
●投資スタイルは買ったら放置(2人子育てで忙しいから)
●放置したいので、安定株しか買わない・分析しない
●高収入じゃない分、生命保険・学資保険代りに資産が欲しい
●本職は病院薬剤師で、高額医薬品の管理担当なので肌でわかる
そんな僕が、解説いたします。
【そもそもどんな銘柄?】
一般知名度はないでしょう。医師・薬剤師なら聞いたことあるな、くらいの知名度でしょう。規模を把握したいので、同業種の売上も比較してみましょう。
・・バイオベンチャー企業の括りでいけば、トップレベルの時価総額です。もう少し大きな括りで「メガファーマ」の括りとすると、だいたい15位くらいの時価総額です。
医薬品売上はTOP10に入るか入らないかくらいです。
今度は売上の内訳をみてみます。
・・・医療用医薬品が売上100%です。その医療用医薬品のなかでの内訳はこうです。おおむね分散しています。
売上はおおむね分散しています。実は「血液疾患薬」を2019年から売り始めて、ますます分散がきくようになりました。もともとのこの会社のメインは「分子標的」「抗がん剤」です。
セクター(=業種)11分類でいうと「Health Care(=ヘルスケア)」ですね。当然景気敏感・ディフェンシブでいえば、ディフェンシブ株にあたります。
本当に夢があるの?
夢があります。理由はこうです。
②新型コロナウイルスの治験も実施中(伸びしろ有)
②不景気でも止めない物だから(安定感も有)
③実際に配当金が、増え続けているから(安定感が有)
④長期リターンのいい「Health Care」業種だから(安定感が有)
いっぱいありますね。ひとつひとつ解説していきます。
具体的な理由
①売上地域を米国➡世界へ拡大中
これをご覧ください。
売上は60%程度が米国です。米国依存といえばそうですね。
ですが、売上推移はこうです。
この3年間で、米国の売上は1.5倍です。世界の売上は1.3倍くらい。米国率こそ上がっていますが、世界中での売り上げ増ができているので、問題ないと思います。
そして製薬TOPではなく、ベスト10からもれる位の規模です。逆に、伸びしろが沢山あるともいえます。
③不景気でも止めない物だから(安定感)
ブリストルマイヤーズ製品は、たとえ不景気でも売上は落ちにくいです。
なぜなら勝負する製品はみんな医療用医薬品で、お金がないからやめるような物ではないからです。
具体例として、主力の分子標的抗がん剤(オプジーポ、ヤーボイなど)はお金なくてもやめません。止める=(ブリストルの)優れた抗がん剤治療を止める、と言う事ですからね、お金と引き換えに命を差し出すことはまずないでしょう。
また分子標的薬剤は超高額ですが、各国とも「高額医療費助成制度」はあります。この制度では自己負担は月〇〇万円までなどとセーブされるので、患者負担まで高額にはなりません。ますます不景気での売り上げ減は防がれます。
ですから、不景気といえども心配はいりません。
④実際に配当金が、増え続けているから
これをご覧ください。年々、配当金が増え続けている事が解ります。
2020年は配当がまだ2回しかないので悪いようにみえます。緑の配当金は、まだ10年程度ですが年々増えてきています。配当金増え続けていますが、1株利益も伸び続けているので心配ありません。
会社全体の利益(↓グラフの赤い棒)は昨年、落ち込んでいます。心配しますけど・・・
この利益落ち込みは、セルジーン社の買収によるものです。のれん償却費という、負債があるからです。のれんなんて一時的な物ですから、来年は利益UPすると考えてよいでしょう。
⑤長期リターンのいい「Health Care」業種だから
業種的にも、オススメです。
なぜならHealth Care(ヘルスケア)の業種は、歴史的にも伸びの良かったからです。
具体的な数字をあげます。これは株式分析の権威:ジェレミー・シーゲル博士の統計からわかった、業種別の長期伸び率です。
セクター | 平均リターン(年%) | |
★ヘルスケア | Health Care | 14.19 |
★生活必需品 | Consumer Staples | 13.36 |
情報技術 | Information Technology | 11.39 |
△エネルギー | Energy | 11.32 |
△一般消費財 | Consumer Discretionary | 11.09 |
△金融 | Finacials | 10.58 |
資本財 | Industrials | 10.22 |
★電気通信 | Communcation Services | 9.63 |
★公共事業 | Utilities | 9.52 |
△素材 | Materials | 8.18 |
業種平均 | Average | 10.85 |
どうでしょうか?業種平均より大幅にいい14.19%の伸び率をだしています。業種的にも、伸びやすいといえます。伸びるということは、それだけ安定的だという事です。
詳しい売上内容
主要医薬品の売上と伸びはこうです。
Revlimid®:レブラミドカプセル5㎎
バイオ医薬品・低分子薬でいえばバイオ医薬品(バイオの中でも分子標的薬剤に該当)。治療病名でいえば多発性骨髄腫の治療薬です。2019年11月ににセルジーン社から買収した権利の一つです。来年はこの売上が通年で貢献してくれるので、結構期待できそうです。飲み方は1日1回5Cp ×21日服用、7日休薬と複雑ですが。薬的にも新しく、また後発品もしばらく売られないので安心です。
Eliquis®:エリキュース錠2.5㎎
バイオ医薬品・低分子薬でいえばバイオ医薬品(バイオの中でも分子標的薬剤に該当)。治療病名でいえば心房細動の血栓予防です。1回1~2錠を1日2回のむ薬です。2回というのはネックですが、効果が良いためこの系統の薬でトップの売上です。低分子なのと、特許短めなのが懸念事項です。でも心房細動は後期高齢者で激増する疾患ですし、「治すのではなく症状を抑え続ける薬」であるので、処方頻度今後も増え続けるはずです。
Orencia®:オレンシア点滴静注用
分子標的・低分子でいえば分子標的薬剤。治療病名でいえば関節リウマチです。4週間に一度、30分間の点滴を打つために通院する必要があります。病院に縛られることになるし、競合する「分子標的のリウマチ薬」は数が多いのですが、じつは「オレンシアが一番効くタイプのリウマチ」が存在するので、思ったほど脅威ではありません。
Opdivo®:オプジーボ点滴静注用
バイオ医薬品・低分子薬でいえばバイオ医薬品(バイオの中でも分子標的薬剤に該当)。治療病名でいえばがん(悪性中皮腫、肺癌など)です。2週間に一度、点滴を打ちます。効果が大変すばらしくて、肺がんの一年余命を24%➡42%に向上させた薬なんです。また京都大学の本庶佑さんが、ノーベル賞を受賞するきっかけの薬ですし、日本初の作用機序の薬なんです。日本の小野薬品と一緒に販売しています。
Yervoy®:ヤーボイ点滴静注用
バイオ医薬品・低分子薬でいえばバイオ医薬品(バイオの中でも分子標的薬剤に該当)。治療病名でいえばがん(悪性黒色腫)です。3週間ごとに4回点滴します。使う回数と病名が限られるので売上もそこまでですが、じつは適応拡大で大化けする可能性も秘めています。
・・・この様に「分子標的薬剤」に強いです。しかもその分子標的も今後も伸びてくれるだろう分野(がん、リウマチ)で強く、期待できそうです。
反論への理解
懸念事項として、エリキュース依存が結構アブナイ様にみえますよね。
またのれん償却費が重たく、利益悪化しているじゃないかといわれます。
ですがエリキュース依存は思ったほど深刻じゃありません。確かに(真似しやすい)低分子で特許も短いのですが、対象患者が後期高齢者メインだからです。後期高齢者は地球全体で爆発的にのびるからですね。
のれん償却費は確かに重いですが、セルジーン社の売上いい薬(レブラミド、イムラビド等)を取得できたのは大きいでしょう。
それに分子標的抗がん剤のオプジーポ、ヤーボイといった薬が適応拡大すれば爆発的に伸びますよ。
懸念事項はあまり大きくないと、踏んでいます。
結論:ブリストルマイヤーズ(BMY)は安定感も夢も有る買い物
これがいえます。特許ぎれが少しコワイのですが、1薬品に依存ということはなく、売れ筋の薬の特許もまだまだあります。
この通り、配当金なしの株価だけで、市場平均と互角です。
配当利回りも4%前後で、高めです。期待されている業種であることを考えると、結構驚異的にいい数字だと思います。それでいて化ける要素もたくさん、財政もよし(自己資本比率40%、流動比率160%は製薬トップクラス)、売上の分散された製薬企業は、これでキマリですね。
僕は59.37USD×30株を、2020年7月~8月に購入済です。もちろん買って放置しています。買って放置するのがどうしていいのか、こちらを参照下さい。
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