せっかく大事なお金を使うわけです。僕も結構笑えない額を使っているので、投資するなら株主を大事にしてくれるところ、と考えています。
僕の主観を書いても意味はないので、データと事実だけならべさせていただきます。参考にしてください。
連続増配に拘る理由は
長期リターンが明らかに良い、と解っているからです。長期リターンを
連続増配株の平均・市場平均(S&P500指数)・無配株の平均・減配株の平均
の群にわけて計算すると、
となっているのです。減配株に至っては、長期リターンはマイナスです。
株主還元してくれる国はどこ?
国ごとに、配当チャンピオン(累進配当25年以上)の数を調べます。
※なお配当貴族は「連続増配25年以上」であり、毎年増配していることが条件なので少し違います。
アメリカ株の配当チャンピオン数
(2020年5月時点、U.S. Dividend Championsより)
Averages by Sector | 全業種 | 139 |
Communication Services | 情報通信 | 3 |
Consumer Discretionary | 外食など | 9 |
Consumer Staples | 生活必需品 | 17 |
Energy | エネルギー | 3 |
Financials | 銀行・保険等 | 35 |
Health Care | ヘルスケア | 5 |
Industrials | 工業 | 28 |
Information Technology | 情報技術 | 5 |
Materials | 素材系 | 12 |
Real Estate | 不動産業 | 7 |
Utilities | その他 | 15 |
機械的に検出できるものだけでこれだけ。軽く100を超えています。
実際はこれ以外にも沢山ありますよ。
●アッヴィ(ABBV):2013年にABTから分社化した。ABT時代含めると約40年の累進配当を誇る
●メルク(MRK):2003年ものすごい記念配を出したが、それ除外すると1970年以来の累進配当をしている
アメリカは減配すると、経営陣が即クビになります。退職金も出なかったりします。それくらい大事なので、めったに減配しません。自動的に「累進配当○○年」「連続増配○○年」となります。
英国の配当チャンピオン数
(2020年4月30日時点、U.K.Dividend Champions)
Averages by Sector | 業種 | 22 |
Communication Services | 情報通信 | 0 |
Consumer Discretionary | 外食など | 1 |
Consumer Staples | 生活必需品 | 6 |
Energy | エネルギー | 0 |
Financials | 銀行・保険等 | 3 |
Health Care | ヘルスケア | 0 |
Industrials | 工業 | 6 |
Information Technology | 情報技術 | 3 |
Materials | 素材系 | 1 |
Real Estate | 不動産 | 2 |
Utilities | その他 | 0 |
英国ともなると少なくなります。米国・英国でそりゃ人口も経済規模も違いますがね。
Consumer Staplesには世界企業のユニリーバなどが含まれています。
日本の配当チャンピオン数
(2020年5月時点、筆者独自調べ)
Averages by Sector | 業種 | 1 |
Communication Services | 情報通信 | 0 |
Consumer Discretionary | 外食など | 0 |
Consumer Staples | 生活必需品 | 1 |
Energy | エネルギー | 0 |
Financials | 銀行・保険等 | 0 |
Health Care | ヘルスケア | 0 |
Industrials | 工業系 | 0 |
Information Technology | 情報技術 | 0 |
Materials | 素材系 | 0 |
Real Estate | 不動産 | 0 |
Utilities | その他 | 0 |
同じ表を、日本株に当てはめてみます。とても計算しやすいですね(笑)ただ一社というのは花王です。連続増配31年を誇ります。
1 | 花王 | 4452 | 31年 |
2 | SPK | 7466 | 22年 |
3 | 三菱UFJリース | 8593 | 21年 |
4 | 小林製薬 | 4967 | 20年 |
5 | ユー・エス・エス | 4732 | 20年 |
せっかくなのでベスト5です。日本の上場企業数を考えると、あまりに少ないように感じます。もはや投資する気になれません。
国ごとにどうして違うのか?
お国柄です。国によって、会社に対する考え方が違うからです。
米国で減配した例(クラフトハインツ)・・・
減配した例「クラフトハインツ」経営陣は一新されています。
2019年2月に、2018年4半期決算を発表しました。あの36%大減配をしてしまった決算です。で、株価はこの通り。
配当金が36%下げたので、投資家は失望して売り。27%もさげてしまいました。
経営陣は失格の烙印を押され、当然総退陣しています。このサイトで確認すると、経営人のかおぶれの一新が解ります。
このブログ冒頭のカテゴリでいえば「減配企業」にあたります。その後のリターンはみるまでもなく、やっぱり下げています。
減配➡株価暴落➡「まとめ買いのチャンス到来!」・・・ではありませんね。減配企業は業績悪いから行うのです。
減配➡株価暴落は各国共通ですが、その後「責任取って経営陣総退陣」は米国ならではです。それは米国企業の大株主は、「物言う株主」だからです。株主は大事なお金を出資しているのだから、物をいって当たり前。俺たちに還元できないのならお前ら辞めろ!と言えるわけです。自分がクビになるので怖くて、企業はがんばって利益だす仕組みです。
※同じ例は野球のクラブチームなんかにも言えます。クラブチームの参加者が株主、監督が経営陣だと考えてもいいです。「お金払ってチーム参加しているのだから、試合出させないのなら金返せ!監督やめちまえ!」と言われます。だから試合に出る為の練習など存在しません。お金払ったのだから対価をよこせ、という金を払うからものをいう文化です。
米国で減配の例(ファイザー)
2009年に業績不振で減配しています。2010年も減配です。これによってCEOは交代しています。※僕のファイザー分析の記事を参照下さい
やっぱり米国の減配はおおごとです。自分が株主総会で弾劾裁判のように叩かれ、辞めさせられるからです。首がかかるから本気で稼ごうとするし、連続増配となるのです。その結果は、米国が世界最大の経済大国となり、世界金融の半分が米国に集まることとなっております。
日本で減配は・・・
あっさり起こります。日本企業というのは
と明確に考えています。それもそのはず、日本企業の大株主は同業他社だったりして、「株の持ち合い」をしています。だからあまり口出ししてきません。よく旧・村上ファンドなどが「物言う株主」だなんて言われていますよね。珍しいから「物言う株主」だなんて言われているのです。
リーマンショック・コロナショックであっさり減配した企業が多い事から解るように、日本には配当チャンピオンは1社(花王)しか存在しません。
配当指針に「株主への利益還元を、重要な経営指針として位置付けています」などともっともらしく、でも何も中身のないことを書いていたりします。(中身とは、連続増配を守ります、毎年○○%以上の増配をしますなどの具体的な文言です)
【日本で累進配当の会社はあるの?】
では中身のある配当指針「累進配当or 連続増配を守ります」とかかれた会社や、数々の危機(2001年ITバブル崩壊、2008年リーマンショック、2020年コロナショック等)でも減配しなかった会社はどこがあるのでしょうか?
先ほどの5位の会社までは、数々の危機を乗り越えているので良しとします。
三井住友FG |
三菱商事 |
伊藤忠商事 |
いちご |
JXTG |
村田製作所 |
日本電信電話(NTT) |
これらの会社は2020年6月現在、「累進配当政策」をコミットしています。どのくらい株主を守るのかというと、何とコロナショックでも増配を発表し「大丈夫か?」と心配すらされています。
僕も日本株探す時はこういう「アメリカ並みに株主を大事にする会社」から探しています。日本電信電話と三井住友は所持しております。個人的にはディフェンシブ株で独占的な、日本電信電話が大好きです。コロナの3月に大量購入しております。あとは三菱商事なんかを、個人的には狙っています。
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