ブルーベリーを元気に栽培する為に守りたい「時期」

※商品紹介ページあります。ほぼ全て管理人が実際に愛用するものばかりです。

悩む人
悩む人

ブルーベリー栽培の初心者です。なんか、ブルーベリーの成長が遅い気がして、元気がないんだけど、色々間違ってたのかな・・。そもそもブルーベリーっていつ植え付けるの?肥料が要るとか言われるけどいつ何を入れるの?あと収穫時期を長く伸ばせないかな。

・・・ブルーベリー栽培していると、『育てやすい・放置で大丈夫』の宣伝文句と裏腹に、結構繊細な植物だと解ると思います(数々の果樹を育てる私も繊細だと思っています)。ただ育てる・大きくする・生存させるだけなら簡単ですが、間違った育て方では実がつかず、成長は遅いと思います。そういう意味で繊細なんです。

【この記事を書いた人】
●30歳代、妻有、5歳と3歳の子供あり
●日中はフルタイムで薬剤師(あまり時間ない)
●果樹を沢山育てている(栗・梅3本・みかん2品種・キウイ2品種・ざくろ・ブルーベリー3品種・いちご)
●在住地の気候は夏40℃近くなり、冬は氷点下になる。
●果樹栽培始めて13年くらい 
●ベランダの鉢植えでも・庭植えのどちらでも果樹を育てている
 

【もくじ】
●ブルーベリーの植付時期は3月がベスト・暖冬地なら10~11月も可能
●(土で栽培の場合は)ブルーベリーの肥料は3の倍数の時期に与える
●ブルーベリーの剪定時期について
●ブルーベリーの元気がない理由と対処法リスト(執筆中)
●ブルーベリーの品種ごとの収穫時期
 
 

<ブルーベリーの作業と時期一覧>

スケジュール表                                                         
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
収穫 NH収穫RE収穫RE収穫
植付 植付
植付
植付
植付
植付
植付
施肥 元肥元肥 追肥1追肥1 追肥2追肥2
剪定冬季剪定冬季剪定 夏季剪定夏季剪定
害虫 害虫 害虫 害虫 害虫 害虫 害虫 害虫

【ブルーベリーの植付時期は3月がベスト】

ブルーベリーの植付時期は、3月がベスト。ただし暖冬地なら10~11月も可能です。

なんで時期が決まっているのかというと、これ以外の時期に植えるとブルーベリーが弱り、下手したら枯れます。こうなる理由は、ブルーベリーの活動時期と関係があります。

【ブルーベリーの植付が3月(暖地なら10~11月)の理由】
●植物の植え替えは基本的に「根っこが活動してない時期」がベストだからです。
➡じゃあ落葉していて成長しない12~3月ならどこでも良いのでは?となるが・・
➡12~2月は今度は低温と雪の重みでダメージ。植え替えたてのブルーベリーの根っこには過酷。
➡寒さのダメージが少ないのに、根っこはまだ活動してない3月がベストです。
※暖冬地であれば寒さのダメージがそこまで無いので、活動の大分おちる10~11月でもOKなんです。
※寒さのダメージ?ブルーベリーって寒さに強いって聞いたけど??
 ➡それは成木になってからの話。苗の状態で、植え替えのストレスが掛かっている時はそこまで強くないです。
●もし活発な9月に植え付けた場合は?
 ➡根っこがかなり活動している=乾燥し易い状態なのでダメージが大きい。もしやるなら出来るだけ水でぬらして手早くやること。
 ※ホームセンターには9月から苗が出回るので、うっかり9月に植え付けないように

というわけで、植付時期は3月(暖地なら10~11月も可能)となっています。

ちなみに「暖冬地」というのは、基準はありませんが「関東以西」とよく記載みかけます。北海道・東北地方は殆ど3月植付と案内されると思います。例えば滋賀県長浜市や鳥取県若桜町、広島県北広島町、熊本県山都町、宮崎県五ヶ瀬町などは「関東以西」ですが、冬は結構な豪雪地で雪の重みでやられますのでいちがいに言えません。もちろんこういう関東以西の豪雪地は3月植付の一択です。ですので、迷ったら3月植付が良いと思います。

また時期とはずれる話となりますがブルーベリー栽培では、植え付ける時の準備が一番大事です。「植付時は根っこを乾燥させない」「土はピートモス+鹿沼土とする(保水力・水はけ・酸性の土すべてを兼ね備える)」「土を使わなくばアクアフォームを使う」「マルチングする(コガネムシ対策・乾燥対策)」など、最低限の注意が色々あります。これについては別記事にまとめましたので参考にして下さい。

【ブルーベリーの肥料やりは3の倍数月が目安】

ブルーベリーの肥料やりは、3の倍数の一桁の月(つまり3・6・9月)が目安です。

というのは、ブルーベリーは「原肥」「追肥」「礼肥」が必要だからです。

【ブルーベリー栽培の肥料の時期】
●3月=原肥。これから成長する時期=栄養を沢山使う時期になるので、与えること。長く効いてほしいので、緩効性とされる有機肥料を与える。例えるなら春の木は成長期の子供のような状態だから、エネルギーが沢山必要。。
●6月=追肥。実(植物にとって自分の子供)をつける時はエネルギーを沢山使うので、支えてあげる事。例えるなら人間も妊娠中は食欲がふえて沢山食べるが、植物も同じ。すぐに効かないといけないので即効性のある化学肥料を与える。
●9月=礼肥。実らせて弱った木に栄養を与える事。例えるなら人間も出産後に弱って産褥期になるのでいたわってあげると思う。弱った木をすぐ助けてあげる為に即効性のある化学肥料を与える。大変な思いをして実らせてくれたお礼をする意味で「礼肥」。

こんな理由があるので、3の倍数月に肥料が必要となります。ブルーベリーってめんどくさい果樹だなと思いそうですが、ブルーベリー以外のほとんどの果樹も原肥・追肥・例肥があった方が生育は良いので、ブルーベリーだけに必要な手間ではありません。(あの管理殆どいらない事で有名なミカンの木でさえも、ちゃんと追肥するだけで収穫できる年が早まりますよ!!)

<ブルーベリーを養液栽培する場合>

毎日の潅水に液肥をとかして、やり続ける方法があります。潅水はポンプ+タイマーで自動でできるので「毎日の水やり」「3の倍数月の肥料やり」を気にしなくてもよくなり、かなり省力化できて効率的です。管理人は養液栽培で自動水やり装置を組んだので、この方法を使っています。下記に個人が最小単位で作る時の最適解と思われる作り方を載せました。

【準備編】ブルーベリー養液栽培(個人・ベランダ可)
ブルーベリーの養液栽培(土を使わない方法)が流行っていて、アンマズハウスさんのかんたん栽培キットを考えてる方多いと思います。でもブルーベリーかんたん栽培キットが買えない、アンマズハウスさんから返事が来ない、そもそももっと安くできないのと思わ...

【ブルーベリー栽培の剪定時期について】

ブルーベリーの剪定時期:1~2月(冬季剪定)、8~9月(夏季剪定)

ブルーベリー栽培する上で、元気に早く育てる為には「剪定」も必要です。

というのは剪定しないと、弊害色々でてくるからです。

例えば剪定せず枝が増えすぎると、込み合った枝の中では夏場は蒸し暑くなり、カラッとした冷涼地育ち(アメリカ・カナダ国境地帯の泥炭地が原産で自生しています)のブルーベリーには酷になります。しかも害虫の風よけ兼隠れ場所を提供することになるので、虫が付きやすくなります。いくら虫に強いといわれるブルーベリーでも、よくない事は分かると思います。(アブラムシやコガネムシやカイガラムシの被害でますよ)

別の例でいくと、花を減らすことで木へのダメージをへらす効果もあります。ブルーベリーは実をつけすぎると木が栄養不足で弱って、下手したら枯れてしまいます。沢山の実に栄養が分散して、あまりおいしくない実が沢山ついてしまうことにもなります。そもそも植物が花をつけ実をつけるという事は人間でいえば出産するようなものですから、花が少ない方がダメージは小さいのです。

また直前の夏に実った枝からは、もう来年は実りません。来年以降はムダな枝になってしまうので、切り落とす必要があります。これは「夏季剪定(8~9月)」で、実らせ終わったら用が済んだと思って切り落としましょう。

以上の事から、元気で沢山実らせるためには、ブルーベリーの剪定も重要だといえます。

剪定の道具として:剪定ばさみを使いましょう

剪定ばさみはホームセンターにも売っています。普通のハサミは使いにくく、しかも枝をギザギザに切ってしまって病気が入り込みやすくなります(ブルーベリー枝枯れ病の原因の一つが剪定)。切れ味のいい剪定ばさみを購入し、都度消毒して下さい。

・・・このモデルは「安価」「バネで開けるので自分で開ける手間なし」「綺麗に切断できるのでブルーベリーに優しい」「ロック付きなので収納時に閉じておけて安全」と特徴があります。私はこの色違いを使っています。

【ブルーベリーの品種ごとの収穫時期】

ブルーベリーの収穫時期は「夏」ですが、とはいっても品種ごとに全然時期が違います。

これを利用して、収穫時期の違う品種を幾つか植えることで、収穫時期を長くのばす方法があります。例えばこんな感じですね。おすすめは「ブルーレカ」+「ラヒ」+「ブライトウエル」で、これだと6月初旬~8月末まで実に3か月の収穫期間を楽しめます。

系統品種名6月7月8月総評
NH系ブルーレカNH系では耐暑性高め。豊産生。
しかも頑健で枯れにくい。
実は中粒・酸味強め。自然落果がちょっと多いのがネック。
NH系ヌイNH系では耐暑性高め。
実は大型で500円玉サイズ弱もあり。
ただし味は酸味がなくボケた感じ。
NH系スイート
ハート
NH系では耐暑性高め。超豊産生。
NH系の割に低温要求時間も少ない。
実は大粒で100円玉より大。自然落果もすくない。
SH系ジュエル繊細なSH系なのに殆ど枯れず育てやすい。
収穫量は毎年ばらつき・平均して中程度。
実は大粒で、甘み強い。
SH系ピンクレモネード頑健で育てやすい。
収穫量は不安定で数粒の年も。平均して中程度。
実はピンク色でレモネードのような味。
RE系ブライトウエル頑健で育てやすい。猛暑・雨とも強い。
豊産生系統のRE系の中でも多め。
実は中粒で甘味・酸味のバランスよい。
RE系ラヒ頑健で育てやすい。猛暑・雨ともに強い。
実は大き目で生クリームの様な甘さ。酸味はあまりない。
RE系フロリダローズ頑健で育てやすい。
豊産性で毎年安定する。
実はピンク色だが、ピンクレモネードとは違う普通に甘いブルーベリーの味。
RE系バルドウィン頑健で育てやすい。雨に弱い。
実は大粒で、みずみずしく甘い。
ただし柔らかく保存に向かない。
超豊産性だが、花芽が多すぎて剪定が大変。
これのみ直立性でなく横に広がる。

※上記品種の特徴:直立性なので、支柱が基本いらず横の剪定も少なく済む(バルドウィンを除く)。それでいて本州の猛暑に耐え、虫にも強い頑健性がある。

※おすすめブルーベリー苗:ブルーレカ

※おすすめブルーベリー苗:ブライトウエル

※おすすめブルーベリー品種:レカ

【そもそもブルーベリーに適した条件は?】

ブルーベリーの時期などを気にする前に、まずはブルーベリーの事を知っておかないといけません。とくに大事なのは「原産地:どんな気候・土で育ってきたのか」ということです。

ブルーベリーの原産地:アメリカ・カナダの国境地帯の、泥炭地です。気候でいうとだいたい、(大雨・大雪がなく夏も冷涼・冬は厳冬な)日本の東北海道くらいの気候です。

【ブルーベリーの原産地を知る】
●NH系(ノーザンハイブッシュ系) ➡アメリカ・カナダ国境地帯の泥炭地。気候は冬はとにかく寒く、夏は比較的冷涼。
 ※アメリカ北部のメイン州・ノースタゴタ州といった寒冷地の湿地帯(泥炭地)に自生しているものが起源。
●SH系(サザンハイブッシュ系) ➡原産地はない。NH系を暑さに強くなるよう改良したもの。その分寒さに弱くなっている。土はやっぱりピートモスを好む。
 ※NH系を南部州でも作るために作り出されたもの。ノーザンハイブッシュ系にダローアイ(南部州に自生する、ブルーベリーににた常緑樹)を交配して誕生。
●RE系(ラビットアイ系) ➡アメリカ南東部のフロリダ州など。気候は冬は雪が降らず、夏は40℃を超す猛暑。SH系と適正地はほぼ同じ。土はやっぱりピートモスを好む。
 ※アメリカ南部のジョージア州・フロリダ州の湿地帯や大きな川沿いに自生していたものが起源。その為40℃をこす暑さも平気。

<ブルーベリー栽培に適した土について>

泥炭地=日本でいうと釧路湿原なんかに分布している土ですね。ですがいつも水浸しの湿原イメージとは違い、この泥炭(peat)は水はけがよく、空気を沢山含んでいるという特徴があります。湿原の土中というのは水はいつもありますが、空気もまたいつもある場所なのです。

泥炭=peatです。peatを精製したものがpeat mossです。ブルーベリーの栽培土は半分ピートモス・半分は鹿沼土といわれていますよね。この独特の土の特徴は「強い酸性(植物がだす有機酸が代謝されず残っている)」「通気性が良い(代謝されず残った植物繊維が空気を通す)」「保水性がよい(代謝されず残った植物繊維が水を含む)」といったところです。よくブルーベリー栽培で枯れる原因に多いのが「根っこを乾燥させた(みずを切らした)」なんですが、これは(保水性に富むため水がいつもあるピートモスだらけの)湿原や泥炭地ではあまり無い状況だから、ブルーベリーが慣れていないんです。

そして日本にはそんな条件の土は、高冷地の湿原以外には殆どありません(例えば釧路湿原・霧多布湿原・尾瀬が原湿原・ひるがの湿原・乗鞍高原といった一部の高冷地です)。そうでない日本の殆どの土は粘土質で、水を張って閉じ込めるのに適した水田の土なので、水はけ全然ないんです。関東の土は(関東ローム層とよばれる火山灰土なので)水はけはいいですが、保水性がないので水やり頻回にする必要あります。

水はけのいい土 団粒構造があり隙間を水と空気が通るが、保水力はなくすぐ乾く。
水はけの悪い土 団粒構造がつぶれ隙間がない粘土になってる。水を逃さないので水田むき。
ピートモス。隙間に水が入り留まる(=乾きにくい)。空気も留まる(=通気性良い)。ブルーベリーに最適

※「アクアフォーム」がいま話題でブルーベリー栽培土に使われる理由。それは「通気性が抜群に良い」「保水性も抜群に良く滅多に乾かない」からです。残る「酸性」はこれ自身にありませんが、定期的に酸性の液体肥料を流し続けることで再現できます。そしてアクアフォーム培地の決定的な長所は、寿命が15年以上あることです(ピートモスは長くて4年・短くて1年)。

アクアフォームのイメージ。粒の中にも間にも隙間が多く、水と空気をたっぷり保持し続けられる。

これだけメリットが多い為、最近のブルーベリー農家さんは殆どアクアフォーム栽培になっているのです。ゆえに管理人も最初から「ブルーベリーの土」「ピートモス」ではなく、「アクアフォーム培地」を使っています。(粉粒ミックスでなく)粒状アクアフォーム培地の方を使うのはより空気と水を含んでくれるからです。こちらに載せたこれを使っています。

<ブルーベリー栽培に適した気候について>

ココは特別な注意不要かと思います。というのはブルーベリーは四季のハッキリした気候が好きだからです。そして日本の気候はおなじく四季がはっきりしているので大丈夫です。じゃあなぜ四季が必要なのかというと、(ブルーベリー栽培の気候のページにも書きましたが)ブルーベリーは冬の寒さがないと(寒さによる休眠打破が起こらない為)花をつけてくれないからです。それと反対に夏の程よい暑さと日差しが無いと、今度は光合成が間に合わず花の数は減ります。一言でいえば冬は寒く、夏は程よい暑さと日差しがないと、ブルーベリーは実りません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました