【製薬会社】GSKグラクソスミスクライン個別株分析(22年03月)

投資

世界有数の総合医薬品メーカー、英国企業のグラクソスミスクライン(銘柄ティッカー:GSK)について。

GSKのロゴ(公式HPより引用)

●株(ファンド)の概要~そもそも何してるところ?

 >セクター11分類・細かな業種・ディフェンシブor中間or景気敏感

セクター(業種11分類)でいえば医薬品(Medical)にあたります。医薬品セクターといえば11セクターの内で、長期成長率がもっともよいことが解っています。(2位は生活必需品、3位はエネルギーです)

グラクソスミスクラインといえば、2000年の医療用医薬品は世界一でした。そして現在は常時5%を超す高配当で、かつ英国企業ゆえ高配当を80%も受け取る事ができます。

一般の方だと社名きいてピンとこないでしょう。ですが、シュミテクト®やポリデント®、コンタック®などはご存じかと思います。

楽天市場より引用
楽天市場より引用
楽天市場より引用
楽天市場より引用
楽天市場より引用

よく見るとオレンジの「GSK」ロゴがみえます。実は結構浸透している会社です。

 >その売上の内訳は?内訳別の将来性は?

地域別の売上は以下です。

本部は英国ですが、世界中で満遍なく売れています。その為たとえば2022年2月~3月のような戦争があっても、リスク分散できています。

今度は地域別ではなく、製品別の売上をみます。

売上は微増程度です。OTCとワクチンは長期的には伸びていますね。でもOTCといえば競合が多いため、利益率は低くなります。はんたいに伸び悩む医薬品系は、競合が少なく利益率が高くなります。その医薬品の中でも高利益率なのが「分子標的薬剤の先行バイオ品」ですが、ここが弱いことがGSKの弱点です。

売上の大半をしめ高利益率である医薬品の内訳については、後日加筆させていただきます。

●ワクチン売上の内訳●

主力は何といっても2020年1月日本発売の「シングリックス®」です。いままで殆ど手の打てなかった帯状疱疹専門のワクチンでした(効果は弱いが弱毒水痘ワクチン転用利用も2016年には解禁されています)。しかし発売したタイミングが悪く、ご存じコロナパンデミックで接種控えが進んで、発売間もないのに2021年は売上13%減となっております。逆に、コロナが収まれば売上の拡大が見込める分野なのです。そして2022年3月というのは、コロナワクチン接種が世界中で進んでいて、ノーマスク・集会制限解除の国もでてきています。そうなると接種する余裕もでてきます。

ノーマスク化している証拠はこの画像です。2022年3月のロシアで行われた、反戦デモの様子です。

ロシア国内でも反戦デモ、数えきれない人々が抗議の声を上げる – Switch News(スウィッチ・ニュース)
Switch Newsより引用

これだけ密になるのもスゴイですが、マスクせず叫ぶ方が多いですよね。海外だけでなく、日本にいても「最近入店時、消毒をしなくなった」という方もみえると思います。私は病院薬剤師で消毒液を管理していますが、明らかに消毒液やせっけんの減りが遅くなった。つまりコロナへの警戒心がとれ、日常にもどりつつあると判断してよさそうです。そうすると、今まで控えていたシングリックス®の接種しようかな、という余裕もでてくるわけです。

●市販薬(OTC)の内訳●

どの分野も停滞しています。OTC薬部門は本当は2022年中にユニリーバ社(UL)に売却予定でしたが、売却提示額が安く断念しています。(そのユニリーバは、積み上げた資金の一部を株主還元=自社株買いに転用しています)

> 保有する会社の割合

最大株主はDodge&Coxですが、それでも4%しか占めていません。この会社は一応米国サンフランシスコに存在するヘッジファンドです。

●株主への還元姿勢

 >配当金・一株利益の推移は?


現地源泉税率
国別源泉税率税引後受取率
米国株10%71.72%
英国株0%79.69%
オーストラリア株0%79.69%
インド株0%79.69%
メキシコ株0%79.69%
カナダ株15%67.73%
ロシア株15%67.73%
アイルランド株20%63.75%
台湾株21%62.95%
デンマーク株27%58.17%
ベルギー株30%55.78%
スイス株35%51.80%

 

米ドル建てでみると、配当金は減配し続けているようにみえます。ですがこれはユーロ安の影響でして、ユーロ建て配当金でみると横ばいです。一株利益が成長できてないのが残念です。一株利益は企業全体利益が横ばいでも、自社株買いで株数を減らしてくれれば上がるのですがね。

>株数推移は(自社株買いによる減)

ではその自社株買いと、会社全体の利益をみてみます。発行済み株式数(Outstanding)が右肩上がりなので、自社株買いで減らすことが出来ていません。会社全体の利益(Income)もコロナショックの2021年はもろに下がっています。これは主力シングリックス®ワクチンの接種が、コロナで思いきり滞ったのが大きな理由です。みんな中長期的な帯状疱疹ワクチンよりも、目の前のコロナワクチン予防に走ってしまったからです。

●将来性

 >売上成長率は?

売上は横ばいだったのですが、2021年はコロナショックでダメージ受けています。そして製薬業界の2020年~2021年といえば、どこもコロナ治療薬を急遽開発しだした年です。研究開発費がかさんで、利益なんて出せません。

 > 近年のトータルリターンは?(2001~2022年)

まずは近年10年の伸び率。市場平均に負けています(=S&P500指数買った方が儲かっていた)

じゃあ今度は、2000年からの22年間を比較をします。でもやっぱり、市場平均には負けました。面白いのは2012年までの12年間は、市場平均と互角だったという事です(あまりにシンクロするので計算間違いを疑いましたが、間違ってませんでした)

製薬会社はたしかにリターンの最もいい「ヘルスケアセクター」ですが、全部が全部当りではないのです。ですがGSKのいいところは、その5%超えの配当利回りと、その8割が受け取れること(英国株ゆえのメリット)。利回りの良い預金替わりに、買われる方も多いのではないでしょうか。

IF:10年間、配当金を再投資しなかった(すべて現金のまま)場合

配当金を再投資した場合(青グラフ)、配当金を使わず貯金した場合(緑グラフ)、株価20%下落したら売却する場合(黄色グラフ)を比較しました。

最良リターンはやはりといいますか、再投資した場合の青グラフでした。そして損切した黄色グラフはやっぱり最悪のリターンでした。よく雑誌で「20%下落したら損切ルール発動。これ以上損害を拡げない為に勇気を出して売る」などと書いてありますが誤りです。

そしてGSKは10年間株価が伸びていない銘柄です。それなのに再投資パターンが最良なのは、再投資でふえた株分だけ配当金がのび、その分の差がついているのです。

私が各所で云っている「損切禁止」「配当金は即再投資」というのは、これがGSKに限らずほぼすべての銘柄でいえるからなのです。

 >財政健全性は?

※一番右下にみえるのが最新版のDEレシオです。

負債を全然抱えていません。ふつう製薬会社というのは開発費用がかさんで財政悪い事があるのですが、この会社はどちらかというと「守りの経営」をしていて開発費用は少な目、負債少な目です。財政の心配は小さいでしょう。

 >割安性は?現在の株価は?

●総括(病院薬剤師の目線で)

近年の成長力のなさ、リターンの少なさは褒められたものじゃないです。22年前の世界一企業で、現在は売上10位くらいと低迷したイメージがあります。実際に分子標的薬剤の開発できていなく、利ザヤも小さい企業です。

ですが株主還元に熱心で、ポンド建てでは殆ど減配せずに来ています。常時5%超の高配当ですし、PERも安く17程度です。それと今後をみると、シングリックス®などの伸びを期待できる商品もある。なによりPER17という割安さが魅力です。

安定的に、高配当を受け取りたい方にはピッタリの企業でしょう。

〇参考にしたサイト

https://www.gsk.com/media/7462/annual-report-2021.pdf

投資可能な証券会社

SBI証券楽天証券マネックス
証券
DMM.com
証券
グラクソスミスクライン
(GSK)

今から投資開始なら、口座をこう使い分けます

管理人は現在メイン証券は楽天証券です(愛用しています)。が、今から投資スタートするならSBI証券×マネックス証券の2口座使いします。(ちなみに管理人は3社とも口座所持し、全部に金融商品もっています。SBIはシーゲル理論知る前の状態なのでボロボロですが)

SBI証券

NISA,つみたてNISA枠はSBI証券を使って投資します。

【SBI証券の良いところ】
①S&P500連動の投資信託の管理手数料が、日本最安値。
 ※SBI・V・S&P500という商品で、年0.0938%は最安値です。
②S&P500を上回る投資信託の管理手数料が、断トツの日本最安値
 ※SBI・V・米国高配当株式という商品で、年0.12%はダントツの安さです。

マネックス証券

NISA・つみたてNISA以外の部分はこのマネックス証券で投資します。今回のNISA・つみたてNISAの話からは脱線ですね。

【マネックス証券のいいところ】
●米国株の取扱数が、ネット証券最多の4100超え(2021年6月現在)
 ARCCなどの超高リターンファンドも購入可能(SBIでは不可)
●ネット証券で唯一可能な「配当金自動再投資:通称DRIP」は長期投資になるほど高リターン。
●ネット証券ではSBI・マネックスしかできない「米国株定額定期買付」。やはり高リターン銘柄を自動で買える。
●投資信託は、保有期間中ずっとマネックスポイント0.03%(ひと月ごと)が付き続ける。100万円もってたら300ポイントが毎月、入り続ける計算。

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