世界_第2位のたばこ会社・ブリティッシュアメリカン・タバコ(銘柄ティッカー:BTI)について。
●株(ファンド)の概要~そもそも何してるところ?
>セクター11分類・細かな業種・ディフェンシブor中間or景気敏感
GICSのセクター11分類でいえば「生活必需品」、その中でも特殊なタバコ産業にあたります。もちろん不景気に左右されにくい、ディフェンシブ株といえます。
>その売上の内訳は?内訳別の将来性は?
地域別の売上推移です。
ブリティシュアメリカン・タバコ(BTI)本社は英国ロンドンなのですが、半分アメリカで売っていたり、世界中で分散していたりと国際的な会社です。参入困難で寡占の激しいたばこ業界だからです。
売上自体は横ばい、といったところでしょう。
領域別の売上推移です。
BTIの売上は「紙巻きたばこ」「ベイパー製品」「加熱式タバコ」「現代型オーラル」「従来型オーラル」に分類されています。いわゆる「タバコ」といえばもちろん紙巻たばこです。
※注:あまりにも割合大きい燃焼式タバコのみ、圧縮表示しています。
その内訳推移です。(利率の大きい)加熱式たばこの売上は重視したいはずですが、他社に喰われているのか売り上げを落としています。
> 製品の個別説明
●燃焼式たばこ:Combustibles
・・ほとんど紙巻きたばこです。特別なきっと不要でライター1本で使える手軽さのため、最も普及しています。しかし健康への悪影響も最も大きいです。
●ベイパー製品:Vapor
いわゆる「電子タバコ」とよばれるものです。高温で熱するのではなく、グリセリンの蒸気を発生➡タバコ香料カプセルをとかして、香りを吸う。という方式です。
なお日本ではBTI社のベイパーは売っていません。日本では「ニコチン含有したベイパー製品は、医薬品指定を受けないと売れない」とされているためです。
なお他社からはニコチンを含まない電子タバコが販売されていて、電子タバコに切り替え=禁煙を意味します。ニコチンがないので、たばこ税もかかっていません。
●加熱式たばこ:THP
タバコの葉を燃焼させるのではなく、数百度で加熱し、発生したエアロゾルを吸うタイプの製品です。BTIのgloはとくに加熱温度が高いので風味が燃焼式に近いとされています。
また利益率も従来の紙巻きたばこより高いです。
たばこ製品というのは、いうまでもなく体に悪い物です。しかしいっぽうで、危険な依存性薬物に走る一定数の人間を、たばこがつなぎとめるという役割もあります。いわば「必要悪」の側面があるといっていいです。
●株主への還元姿勢
>配当金・一株利益の推移は?
BTIは連続増配が長いです。一株利益も右肩上がりの上、配当性向80%とまだ余裕を残しています。
そして現在のたばこ株全体を特徴付けるのが「超高配当」です。このBTIも2020年の配当利回りは7%を超えています。これはたばこ業界以外ではお目にかかれません。
しかもBTIは英国・ロンドンが本社です。ということは現地課税がありません。
現地源泉税率 | 国別源泉税率 | 税引後受取率 |
米国株 | 10% | 71.72% |
英国株 | 0% | 79.69% |
オーストラリア株 | 0% | 79.69% |
インド株 | 0% | 79.69% |
メキシコ株 | 0% | 79.69% |
カナダ株 | 15% | 67.73% |
ロシア株 | 15% | 67.73% |
アイルランド株 | 20% | 63.75% |
台湾株 | 21% | 62.95% |
デンマーク株 | 27% | 58.17% |
ベルギー株 | 30% | 55.78% |
スイス株 | 35% | 51.80% |
日本株と同じで、配当金の80%も受け取れます。超高配当なので非常におおきなメリットです。
>株数推移は(自社株買いによる減)
ただし自社株買いには消極的です。あの一株利益の成長は純粋に、営業利益額の伸びに比例していることになります。
●一株利益EPS(Earnings Per Share) について
=営業利益額÷発行株式数 で算出している。
>> 分母の発行株式数が減らない以上、分子の営業利益額がふえないとEPSは伸びない。
●将来性
>売上成長率は?
投資家としてはとても面白い特徴がありますよね。それは2018年~3年間、株価は落ちているのに、営業利益額は大きく伸びている事です。これは「2018年11月のメンソールタバコ禁止」です。このニュースでたばこ株は業界ごと株価大暴落しました。※先日「損切」の話で紹介したフィリップモリスも、同じ理由で落としています。
メンソールタバコの危険な点は「吸いにくさを軽減している」「依存性が高い(血中ニコチン濃度を上げると云われる)ため、禁煙しにくい」「脳卒中リスクを上げる」とされています。
タバコ売上はメンソールタバコのお陰と思われていた為、悲観売がはいったのです。
・・・しかし現実は違いました。たばこ会社は売上減を見越して値上げ(つまり収益率UP)、しかもメンソール禁止によるタバコ売上減などなかった(2018➡2019で売り上げ減してないのが証拠)。つまり売上は変わらないけど、利益率UPしたため利益額はのびた。という事になります。
またリーマンショックの2008➡2009年で株価は落ちましたが、利益額はむしろ伸びました。つまり不景気でもタバコはかわらず売れるよ、ということです。それは管理人の「医療従事者の視点」から、感じています。
【余談:医療従事者の視点で】
●管理人は病院薬剤師です。病棟指導していると「無職」や「生活保護者」の方で、金欠なのにたばこ1日20本吸う方も見かけます。もちろん病気にいいわけがないので、私の口からも禁煙しろと言います。
●中には無職で糖尿病末期の若い無職の方もみえました。もうすぐ糖尿病性網膜剥離で、両目ともつぶれそうだというのにそれでも禁煙できない方(1日40本を15本に減らした、と豪語していましたが・・)。
●さも依存性が強いんだな、貧乏でも止められないんだなと感じたものです。
※タバコの成分は血管を傷つけるので、糖尿病合併症を加速させます。
> 近年のトータルリターンは?(2001~2020年)
BTIは、悲観されるほど悪くないリターンでした。株価は26.56USD➡37.4USDと1.5倍弱しか伸びていませんが、リターンは2.24倍と良いのです。もし「20%下落で損切ルール」の有る方は2018年11月の株価暴落で売ってしまうところでしょうが、そうすると大損していたこともわかります。損切ルールが長期投資に向かない事は、超高配当のたばこ株でもいえることです。
>利益率は?
利益率も右肩上がりです。そのため利益額は右肩上がりになっていて、さっきのEPS右肩上がりの説明はつきます。ですので、連続増配できるわけです。
>財政健全性は?
DEレシオの低さが目につきます。これはたばこ会社は昔からのブランドを売り続ければいい訳なので、開発費用を低く抑えられるからです。
※一番右下にみえるのが最新版のDEレシオです。
PER11もかなり低いです。現在(執筆時)のS&P500平均が22なので半分となります。期待されていないけど、高収益なのです。
>割安性は?現在の株価は?
●総括(長期投資家の目線で)
経営は盤石そのもの。高利益率・負債の少なさ・(新規参入困難による)寡占性があるので。
シーゲル理論を適用すると「低PERである」「高配当である」「連続増配15年を超える」「生活必需品セクターである(しかも同じタバコ業のPMは、リターンNo1だった!)」など、リターンよくする要素はいっぱいです。シーゲル理論を機械的にあてはめれば、この上なく魅力ある銘柄となります。私は医療従事者でたばこをやめる指導する側なのですが、いっぽうで長期投資家でもありシーゲル理論にこれだけあてはまる以上、大量保持しています(現在252株保持)。将来がどうとか個人的な感覚がどうとかではなく、「機械的にシーゲル理論にあてはまるかどうか」で株を購入する人間ですので。
それに将来性だって「ニコチンを含まないベイパー製品」がもっと売れて、ガムのような位置づけになれれば将来は十分にあると思います。十分ひとにオススメできる銘柄です。
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