・・・いくら「高配当株はリターンがよかった」といっても、自分で検証したわけではないです。「何も考えずに高配当株を買えば当たるんだ!」と言えればいいので、シーゲル博士の実証していない最近9年間(2011年末~2020年末)を切り取って、追跡可能であるダウコア10種を使って、検証してみることにしました。
以下はその手順です。
10年前の年初ダウ30銘柄を調べる
こちらから調べました。
2011年初時点のダウコア10種を調べる
次にこの30種のうちから、シーゲル博士のいう「ダウコア10種」の定義を満たすものを選べばいいわけです。
【ダウコア10種の定義】
●ダウ30種の中で
●「連続増配15年以上」の銘柄のうちで、「配当利回り上位10種」
これを満たすダウコア10種は、以下となります。
連続増配 年 | 配当利回 % | ティッカー | 企業名 | 11業種 |
27 | 5.62 | T | AT&T Inc. | Communication Services |
48 | 3.65 | JNJ | Johnson & Johnson Inc. | Health Care |
34 | 3.21 | MCD | McDonald’s Corp. | Consumer Discretionary |
54 | 3.13 | PG | Procter & Gamble Co. | Consumer Staples |
49 | 2.83 | KO | The Coca-Cola Co. | Consumer Staples |
37 | 2.80 | WMT | Wal-Mart Stores Inc. | Consumer Staples |
23 | 2.68 | CVX | Chevron Corp. | Energy |
53 | 2.35 | MMM | 3M Company | Industrials |
28 | 2.09 | XOM | Exxon Mobil Corporation | Energy |
15 | 1.59 | IBM | International Business Machines Corp. | Information Technology |
次にこれら一つ一つのリターンを、追跡します。10位にいたユナイテッドテクノロジーズは会社が合併とスピンオフで追跡できず、11位のIBMを代りに追跡しました。
コア10種のリターン追跡
リターンの追跡方法の詳細は、こちらを参照下さい。
結果(2011年末~2020年末の9年間でのリターン)
このようになりました。
連続増配 年数 | 配当利回% | シンボル | 企業名 | 11業種 | 合計金額 | リターン% |
27 | 5.62 | T | AT&T Inc. | Communication Services | 1356.23 | 3.44% |
48 | 3.65 | JNJ | Johnson & Johnson Inc. | Health Care | 2862.21 | 12.39% |
34 | 3.21 | MCD | McDonald’s Corp. | Consumer Discretionary | 2559.03 | 11.00% |
54 | 3.13 | PG | Procter & Gamble Co. | Consumer Staples | 2512.41 | 10.78% |
49 | 2.83 | KO | The Coca-Cola Co. | Consumer Staples | 1903.50 | 7.41% |
37 | 2.80 | WMT | Wal-Mart Stores Inc. | Consumer Staples | 2794.88 | 12.10% |
23 | 2.68 | CVX | Chevron Corp. | Energy | 1025.72 | 0.28% |
53 | 2.35 | MMM | 3M Company | Industrials | 2522.05 | 10.83% |
28 | 2.09 | XOM | Exxon Mobil Corporation | Energy | 630.22 | -5.00% |
15 | 1.59 | IBM | International Business Machines Corp. | Information Technology | 862.58 | -1.63% |
ー | ー | ダウ コア10 | 1808.31 | 5.45% |
・・・なんと、ダウコア10はダウ30平均に負けてしまいました。じゃあシーゲル博士のいう「大規模銘柄で配当の高い銘柄は、リターンが良い」というのはウソなのでしょうか?
・・・シーゲル理論に従わなかった理由①:集計期間が9年しかない為に起こったことです。シーゲル博士は1957~2003年の46年ものロングスパンで、しかも銘柄数も10ではないです(逐次集計しています)。今回の管理人の集計はたった9年で、銘柄数も10だけです。「長期投資においてどうなるか」というのがシーゲル博士の主張なので、9年では長期とはいえません。
・・・シーゲル理論に従わなかった理由②:2011年のダウ30銘柄が、コロナでダメ―ジおおきい銘柄だった。エネルギーのエクソンやシェブロンはひどいもんでした。コア10以外の銘柄もボーイング、JPモルガン、アメックスもダメージの大きい銘柄でした。現在これらは採用を外れているものが多いです(=足手まといは居なくなった)。代りにコロナ禍で売り上げを伸ばした企業ばかりが採用されています(=伸びしろが増えた)。
またダウコアはたったの10銘柄ですが、リターンに大きな格差がありますよね。これ、はっきりした傾向があるのですが、グラフにすると解りやすかったのでグラフ化いたしました。
グラフ1:配当利回りとリターンの関係
配当利回りが高いと、リターンがよくなる傾向が何となく分かります。というか下位グループのIBM、XOMあたりは利回り2%前後で、はっきりいって高配当とは言えません。ある意味シーゲル博士のいう「高配当ほどリターンが高い」ということは、証明されているわけです。(ダウコア10に定義される10企業の平均は負けてしまいましたが・・・)
グラフ2:連続増配年数とリターンの関係
たった10企業しかありませんが、連続増配が長い=高リターンとなってきた事がよく判ります。シーゲル博士が「連続増配15年以上」でスクリーニングした理由がよくわかる気がします。ギリギリ15年だったIBMはひどいリターンですからね。
【まとめ】
●高配当銘柄ほど、リターンが高くなる
※但し9年などの短期スパンでは、今回の様に市場平均に負ける可能性がある
●連続増配が長い銘柄ほど、リターンが高くなる
※その為シーゲル博士は「ダウコア10」のコア条件に、連続増配15年を付けている
●セクター別でみても「ヘルスケア」「生活必需品」はやっぱり強い。
(付録)細かな10種のリターン
信憑性を高める為、こちらにデータグラフを公開いたします。10銘柄全てです。
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