病院薬剤師の豆知識#1

薬学実習生、保険薬局薬剤師、病院薬剤師の方向けの少し専門的な豆知識をかきます。一般の方向けではないです。

【薬にも強弱があるの?】

薬学部では習わない(薬剤師国家試験では出ない)のに、病院では使う知識。薬の強弱ですね。

薬学部では「鎮痛剤の薬理・作用機序」は勉強しますが、実際に「どのくらい効く・どの痛みに向いている」かは勉強しませんよね。第一こんな問題、薬剤師国家試験で出題されません。

問223・224 次の鎮痛剤を、つぎの順番に並べよ。

a セレコキシブ
b アセトアミノフェン
c ロキソプロフェン
d トラマドール
e プレガバリン

問223 関節痛への鎮痛効果順
  1  a>b>c>d>e
  2  c>d>e>b>a
  3  c=a>d>e>a
  4  d=e>a>b>c

問224 薬剤性消化性潰瘍のリスク順
  1  a>b>d>c>e
  2  c>a>b=d=e
  3  d=e>a>b>c
  4  b>e>d>a=c              

 
 

鎮痛効果順なんてやると、「僕の患者では、○○よりも△△のほうがよく効いているぞ!」なんて言われかねないから。だから国師問題に出来ませんが、一般的には順番あると思っています。

鎮痛剤の鎮痛効果は?

問223➡3が正解 と思っています。

やっぱりNSAIDsは鎮痛効果高いです。腎障害に使えないとか、アスピリン喘息が怖いとか、消化性潰瘍起こすとか、薬疹が多いとか、リスクも色々ありますが。よく効いて、これじゃないと救えない人も多いです。

強さ;NSAIDs系>アセトアミノフェン・トラマドール・プレガバリン

ただしNSAIDs系と、その他を両方使ってもOKです。また神経痛にはプレガバリンが一番です。

消化性潰瘍のリスク

問224➡2が正解 と思っています。

セレコックスは、皆さんの思っている以上に消化性潰瘍のリスクです。それは次項で解説します。

【鎮痛剤と胃薬】

鎮痛剤を使うと、胃が荒れる。だから鎮痛剤には胃薬がセットででる。

これは有名かと思います。では、

①鎮痛剤で、胃が荒れにくい物は何があるでしょうか?

①➡ロキソプロフェン、セレコキシブ(セレコックス®)、アセトアミノフェン、トラマドール(トラマール®)、プレガバリン(リリカ®)、ノイロトロピン®

②胃薬で、胃によく効く物はどれでしょうか?

②➡ミソプロストール(サイトテック®)、ランソプラゾール、ボノプラザン(タケキャブ®)、レバミピド

①ですが、前2つは胃が荒れます。具体的には、これが原因で消化性潰瘍をひきおこします。ロキソプロフェンはみるからに胃が荒れそうですよね。でも・・

医師
薬剤師

セレコックスはCOX-2しか阻害しない。胃粘膜はCOX-1から合成するから、消化性潰瘍は少ない!

という勘違いを見かけますが、それは理論上の話。実際の話、セレコックス胃潰瘍の患者様を結構見かけます。薬剤性胃潰瘍は胃カメラでも特徴的で、「小さなクレーターがいくつも空いて出血」となります。

それで、実際添付文書でも、「薬剤性消化性潰瘍には禁忌」とあります。

ちなみにアセトアミノフェン、トラマドール、プレガバリンは消化性潰瘍を起こしません。胃を荒らしません。ただし他の副作用に注意しましょう。

①鎮痛剤で、胃が荒れにくいもの

●荒れる=NSAIDs;ジクロフェナク>ロキソプロフェン>セレコキシブ

●荒れない=NSAIDs以外;アセトアミノフェン、トラマドール、プレガバリン、ノイロトロピン®

※但しアセトアミノフェン・ノイロトロピン®は弱い、トラマドールは吐き気有、プレガバリンは神経性の痛みにしか効かない。

※NSAIDsにトッピングしてもOK

 
 
 
 

②ですが、大学ではこう習いませんか?

ちゃすけ
ヒヨッコ
薬剤師

レバミピドは弱い薬だ。でもミソプロストールは薬剤性消化性潰瘍の専門の薬だ、だからコレのめばバッチリだ!

・・・実際は違います。実は「セレコキシブ錠+ミソプロストール錠」を続けている人が、何人も薬剤性消化性潰瘍で運ばれてきています。ミソプロストール、効いてないじゃないか!

 じゃあどの何飲めばいいのか?・・・PPIです!

②胃薬の強さ;薬剤性消化性潰瘍を防げるか

●あまり防げず;ミソプロストール>レバミピド

●防げる=PPI;ランソプラゾール(殆ど無)、ボノプラザン(ほぼ100%です)

※ネック:ボノプラザンは高価(195円/日)。ランソは安い(23円/日)。

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