世界有数の製薬会社・ブリストルマイヤーズ・スクイブ(銘柄ティッカー:BMY)について。
●株(ファンド)の概要~そもそも何してるところ?
>セクター11分類・細かな業種・ディフェンシブor中間or景気敏感
製薬企業ということで、GICSのセクター11分類では「ヘルスケア業種」にあたります。
もちろん、不景気に強いディフェンシブ株といえます。
ですが不景気に強いというだけで、不景気「以外」で崩れる危険性もはらんでいます。それは後述する財政面の懸念です。
医療用医薬品しか売っていないので、一般の方にはなじみ無く、薬剤師も一部しか知らない会社名かと思います。
>その売上の内訳は?内訳別の将来性は?
地域別の売上です。BMYはあまり細かな国別では売り上げを公表していません。sの為以下グラフはBMYのアニュアルレポートではなく、Statistaサイトの売上推移から抜粋したものです。
これを年次で追っていくと、こうなります。この4年間を切り取ると、ものすごい急成長しているように映ります。
見方を変えて、今度は製品の領域別で見ていきます。2020年の円グラフだけみると、血液疾患薬と抗がん剤がメインの会社だ・・と考えますよね。
その実態はこうです。「血液疾患薬」が2019年から出現しています。先ほどの「急成長」の大部分は、この血液疾患薬の追加のせいだと解ります。・・・でも不自然ですよね、いきなりゼロからこんなに売り上げるのなんて。
実はこの「血液疾患薬の急増」は、相次ぐ超大型買収のためです。買収により、財政が一時的に悪化もしています。
また会社自体が「抗がん剤」「心疾患薬」「血液疾患薬」の会社へと脱皮していることが解ります。前者2つは元々持っていた部分ですが買収で強化、後者は買収で手に入れた部分です。高齢化で著しくのびる分野で、薬価のとてもかかる分野ばかりでもあります。買収も会社の方向性も、以上から正しいように思います。
>主要な個別製品の説明
※前4つが2019年に買収したセルジーン社の薬です
●レブリミド®
医療用医薬品で、バイオ医薬品(その中でも分子標的薬剤)に該当します。セルジーン社から買収した薬でして、セルジーン社だった2018年の売上は9600million USDくらいでした。セルジーンの得意とした血液系癌の治療薬です。血液系癌は他のがん種に比べれば高齢化での売り上げ増は薄いのですが、それでも画期的な薬だったため、これからも見込めます。
●ポマリスト®
医療用医薬品で、バイオ医薬品(その中でも分子標的薬剤)に該当します。同じくセルジーン社から買収した血液系癌の薬です。レブリミドの改良型の薬で、もちろん売上も2018年の2000millio USDよりもかなり伸びています。特許も長いため、将来を見込めます。
●エリキュース®(アピキサバン)
医療用医薬品で、低分子医薬品に該当します。元々持っていた薬で、心房細動などの治療薬です。心房細動といえば高齢化で著しく増える疾患なので、これからも使用増が見込めます。ちなみにファイザー社(PFE)も提携しているので、ファイザーの看板でも売っています。2013年発売なので特許切れ間近です。
●オレンシア®(アバタセプト)
医療用医薬品で、バイオ医薬品(その中でも分子標的薬剤)に該当します。リウマチ治療薬で、数か月に一度の病院点滴でしか使えません。リウマチの分子標的ときくと数多いのですが、オレンシアの凄いところは他の分子標的と大きく違う唯一無二の作用機序で、他の薬がダメでもこれなら効くケースが多い事です。つまり一定数はこの薬しかダメなので、安定して売上が見込めます。また唯一無二ゆえ、特許切れ後もバイオシミラーが出にくいのではないかと考えています。
●オプジーポ®(ニボルマブ)
医療用医薬品で、バイオ医薬品(その中でも分子標的薬剤)に該当します。抗がん剤で、病院点滴でのみう使用可能です。日本人が携わった数少ない薬の一つでして、ノーベル医薬生理学賞を受賞した本庶佑先生が開発に貢献しています。超高額医薬品としても有名です。日本でこの薬を提携販売する小野薬品は、オプジーポの適応拡大で株価暴騰・オプジーポの薬価切り下げで株価暴落を繰り返しました。
オプジーポがなぜ超高額だったのか?
●240㎎バイアル(びん)1本で、413990円(2021年3月の薬価)
●治療頻度はだいたい2週に1回=年26回。
●投与量は1回240㎎で固定
➡413990円×26回=1076万3440円/1年薬価
※2014年の発売当初は、100㎎バイアルで73万円した。
当時の投与量は体重1Kgあたり3㎎だったので、66Kgの人は200㎎投与➡年間3800万円もかかっていた
●ヤーボイ®
医療用医薬品で、バイオ医薬品(その中でも分子標的薬剤)に該当します。抗がん剤で、これも病院点滴のみ。この薬はオプジーポと併用で、優位に非小細胞肺癌・悪性黒色腫の余命を改善します。これが売れる≒オプジーポも一緒に売れるということです。
●株主への還元姿勢
>配当金・一株利益の推移は?
配当金:2021年現在、11年の連続増配です。しかし
1株利益(EPS)は、大幅な赤字です。つまり2020年に関しては利益マイナスの中で、更に増配して配当金を支払ったことになります。もちろん会社の内部留保を切り崩す・又は銀行から借金して配当を支払っているので、こんな事続けられるわけがありません。
しかしこれは一時的なものだと考えられます。それは「大型買収」による一時的なのれん代計上だからです。
また配当金は、米国株なので71%しか手元に入ってきません。
現地源泉税率 | 国別源泉税率 | 税引後受取率 |
米国株 | 10% | 71.72% |
英国株 | 0% | 79.69% |
オーストラリア株 | 0% | 79.69% |
インド株 | 0% | 79.69% |
メキシコ株 | 0% | 79.69% |
カナダ株 | 15% | 67.73% |
ロシア株 | 15% | 67.73% |
アイルランド株 | 20% | 63.75% |
台湾株 | 21% | 62.95% |
デンマーク株 | 27% | 58.17% |
ベルギー株 | 30% | 55.78% |
スイス株 | 35% | 51.80% |
>株数推移は(自社株買いによる減)
何と2020年は、発行株式数を大幅に増やしてしまいました。株式数を減らしてくれれば、株主は一株価値が高まるのでうれしいものですが、その反対の事をされています。それは利益が大幅赤字になり、そのうえで連続増配を守るためさらに赤字になり、苦しかったためと想像がつきます。
●将来性
>売上成長率は?
前述のとおり、利益は大幅赤字になっています。一方で株価成長はS&P500平均にも勝ります。
リーマンショックのあった2008年は株価こそ落ちても、利益は大幅増でした。
> トータルリターン(2001~2020年)は?
・・・結構面白い事がいろいろと解ると思います。
まず①2001~2002年で株価が40%くらいに落ちたこと。これは「タキソール独占訴訟で125Million USDの罰金」「会計不正・過剰在庫押し付けの訴訟で150Million USDの罰金」と相次ぐスキャンダルに見舞われたこと。(決して管理人の株式分割の書き落としではないです)
②株価は2001年~2020年でほとんど不変なのに、金額が倍増している事。株価だけで見てはいけない・年末の再投資をすると結果が変わる事例です。
ブリストル(BMY)のような将来性・永続性のある(他社で代替商品が作れない・なくては困る)会社は、一時落としても株価回復の時、凄まじい値上がりをみせます。これは株価低迷時、再投資で格安なブリストル株(BMY)を沢山購入できたための現象です。株式再投資がいかに重要で、リスク軽減になるのかの事例です。
>利益率は?
特殊事情のあった2020年を除くと、ふだんの営業利益率は25%前後です。それにしても上下が激しいですが、これは研究開発が盛んで投資コストがかかったり、2019年・2020年の様に思い切った買収劇があったりするからです。
【近年の主な買収・売却】
●2019年11月:セルジーン社を買収。740億ドル(74Billion USD)
※血液疾患薬の会社です
●2020年10月:マイオカーディア社を買収。130億ドル(13Billion USD)
※心臓疾患薬の会社です
※上記2つを併せて83Billion USD。2019年の利益額の1.8倍位を支払っています!
>財政健全性は?
・・・実はDEレシオでみると、ちょっと高め程度の1.7でして、しかも2020年は前年よりも低下しています。身の丈に合った買収とでも言えるでしょうか。その買収した部門の薬は、かなり高成長しているので、これも問題ないように思います。
>割安性は?現在の株価は?
2021年3月現在は、PERが13.59%。PBRは2.50。ずいぶん割安になっています。
●総括(薬剤師の目線で)
抗がん剤の著効しやすい血液疾患薬で、決定的な治療薬を持っている事は高評価です。また元々持っていたオプジーポ®・オレンシア®・ヤーボイ®あたりも適応拡大で増収見込める分野ですし、オレンシア®は「他の分子標的がダメでも利く可能性がある、アプローチの違う治療薬」です。つまり無くせないですし、(アプローチが違う分研究しづらく)特許切れ後の競合薬もできにくいと考えられます。
あとは財政の強烈な赤字に目をつむって、黒字回復を信じられるのなら大いに有りだと思います。元々「ブリストルマイヤーズ(スクイブはつかない時代)」としては長い歴史を持っている会社なので、ここで簡単にコケる様には思いませんが。
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