※現在、国内証券からでは投資できません。あのマネックスからでも不可能です。ごめんなさい
投資をしたいけど迷う方。
製薬株は安定するから好きだけど、どれもPBRが高いから割高。割安で安定した株が欲しい!
でしたら、「サノフィ」か「ファイザー」はいかがでしょうか?これらは近年伸び悩む故に、割安ですよ。
この割安なサノフィのいいところ・悪いところ。それを
●投資スタイルは買ったら放置(2人子育てで忙しいから)
●放置したいので、安定株しか買わない・分析しない
●高収入じゃない分、生命保険・学資保険代りに資産が欲しい
●投資・金融が専門外なので、却って初心者の気持ちが解る
の僕が、解説いたします。
【そもそもどんな銘柄?】
一般の方にはあまり知られていませんよね。医師・薬剤師ならご存じかと思います。規模を把握したいので、同業種の売上も比較してみましょう。
・・・時価総額ランキングはTOP10に入るか入らないかくらいです。売上はもう少しあるんですがね。
今度は売上の内訳をみてみます。
・・・要するに17%はワクチン、14%は一般向け医薬品(ドラッグストア等で市販されるOTC薬)、ほか69%は医療用医薬品なんです。メインは医療用ですが、その医療用医薬品もかなり分散しています。
14%のOTCは、「エスエス製薬」といえば馴染みあるでしょうか?
じつはサノフィ、このOTC分野が近年好調なんです。
そしてワクチンも好調です。インフルエンザワクチンの売上は、10% の伸びを記録。コロナウイルスのワクチンも開発しています。(サノフィとギリアド、どちらが開発できるかは分かりませんが・・・)
セクター(=業種)11分類でいうと「Health Care(=ヘルスケア)」ですね。当然景気敏感・ディフェンシブでいえば、ディフェンシブ株にあたります。
サノフィのいいところは?
手放しで勧められるほどではありませんが、良いところも沢山あります。
②不景気でも止めない物だから
③長期リターンのいい「Health Care」業種だから
④割安で、財政がとてもいいから
いっぱいありますね。ひとつひとつ解説していきます。
いいところをもっと細かく
①売上地域が分散してるから
これをご覧ください。
売上が世界中に分散していますよね。分散すると、安定するんです。
なぜなら、一カ国で不祥事・被害があって売上低下しても、他の国と地域が補ってくれるからです。
投資家では有名な格言で、「卵を一つのカゴにのせるな。(沢山のカゴに分散させろ)」というのもあります。
ですから「売上分散」というのは、おおきなメリットなんです。
ちなみに、地域別の売上の伸びをみると、この通りです。
②不景気でも止めない物だから
サノフィ製品は、不景気でも売上が落ちにくいです。
なぜなら、主力どの製品もやめられないものばかりだからです。
具体例をあげます。主力である糖尿病薬は、かりに不景気でも止められません。お金がないからランタス注射を削除してくれ、なんていう患者さんはいません。
別の例を挙げます。糖尿病で三大合併症が怖いのに、お金がないからと通院治療を止めることもありません。かりに医療費が高くついても、「高額医療費助成制度」がどの国にも存在します。
さらに別の例としてワクチンを挙げると、お金がなくてもワクチン接種には関係ありません。どのワクチンも、たいてい国や自治体の負担で格安or無料で接種されます。それどころかワクチンは、アフリカなどでの接種啓蒙がすすんで使用率が伸びつつあります。
ですので、不景気で売上が落ちる事は考えにくい、不景気でも安定しやすい株だと言えます。
③長期リターンのいい「Health Care」業種だから
業種的にも、オススメです。
なぜならHealth Care(ヘルスケア)の業種は、歴史的にも伸びの良かったからです。
具体的な数字をあげます。これは株式分析の権威:ジェレミー・シーゲル博士の統計からわかった、業種別の長期伸び率です。
セクター | 平均リターン(年%) | |
★ヘルスケア | Health Care | 14.19 |
★生活必需品 | Consumer Staples | 13.36 |
情報技術 | Information Technology | 11.39 |
△エネルギー | Energy | 11.32 |
△一般消費財 | Consumer Discretionary | 11.09 |
△金融 | Finacials | 10.58 |
資本財 | Industrials | 10.22 |
★電気通信 | Communcation Services | 9.63 |
★公共事業 | Utilities | 9.52 |
△素材 | Materials | 8.18 |
業種平均 | Average | 10.85 |
どうでしょうか?業種平均より大幅にいい14.19%の伸び率をだしています。業種的にも、伸びやすいといえます。伸びるということは、それだけ安定的だという事です。
④割安だから
PBRが1.63倍で、大手製薬業界では断トツの低さです。これはサノフィが期待されておらず、売上の割にサノフィ株が買われていないことをさします。
期待されない理由は、ドル箱・ランタス注射の特許切れによる売り上げ低下のイメージでしょうね。かつて一時代を気付いた「アマリール錠」も特許切れ、糖尿病薬でこれといった後継がないからでしょう。
ですがそのイメージが強くとも、ひそかにOTC薬は売上右肩上がりです。
またひそかに、「自己資本比率60%」という好財政でもあります。大手製薬会社はたいてい30~40%程度で、次にいいノボノルディスクでも50%です。
そして「流動比率219%」という、支払い能力の余裕もあります。じつに2.19年分の支払金額を、すぐに用意できるって事です。これも大手製薬では断トツの数字です。
詳しい売上内容
医療用薬品のうちで、主力製品の売上推移はこの通りです。
Aubagio®:オーバジオ錠
低分子薬・バイオ医薬品でいえばバイオ医薬品(その中でも分子標的薬剤)。治療病名でいえば多発性硬化症の治療薬です。日本ではあまり見かけませんが、米国などでは多用されています。「完治させるのではなく、症状を抑え続ける」くすりなので連用しないとだめで、また高価な薬のため売上が大きくなっています。
患者数は日本で1.3万人、世界では250万人です。世界人口拡大と、治療薬の普及などで使用量は年々増加してきています。
Cerezyme®:セレザイム静注用(参考外部リンク)
低分子薬・バイオ医薬品でいえばバイオ医薬品(その中でも分子標的薬剤)。治療病名でいえばゴーシェ病という、日本に150人しかいない疾患の治療薬です。マーケットはとても小さいですが、他に治療薬はなく、ほぼ一定した売上となります。
ゴーシェ病は説明がとても難しいんですが、人体内になくてはならない酵素が、作れずに不都合をおこす病気です。だから治療方法はたりない酵素=セレザイムを注射で補充しつづける事なんです。この薬で症状を抑え続けるしかないんです。
Myozyme®:マイオザイム注射(参考外部リンク)
低分子薬・バイオ医薬品でいえばバイオ医薬品(その中でも分子標的薬剤)。「糖原病2型」という、たいへん珍しい病気の治療薬です。やっぱりマーケットがとても小さいですが、治療薬はこれしかありません。売上もほぼ一定しています。
糖原病2型は説明がとても難しいんですが、人体内になくてはならない酵素が、作れずに不都合をおこす病気です。だから治療方法はたりない酵素=マイオザイムを注射で補充しつづける事なんです。この薬で症状を抑え続けるしかないんです。
Fabrazyme®:ファブラザイム注射(参考外部リンク)
低分子薬・バイオ医薬品でいえばバイオ医薬品(その中でも分子標的薬剤)。「ファブリー病」という、たいへん珍しい病気の治療薬です。やっぱりマーケットがとても小さいですが、治療薬はこれしかありません。売上もほぼ一定しています。
ファブリー病は説明がとても難しいんですが、人体内になくてはならない酵素が、作れずに不都合をおこす病気です。だから治療方法はたりない酵素=ファブラザイムを注射で補充しつづける事なんです。この薬で症状を抑え続けるしかないんです。
Lantus®:ランタス注射
低分子薬・バイオ医薬品でいえばバイオ医薬品。糖尿病の治療薬です。2018年には薬品別売上ランキングで2位(1位はアッヴィ社のヒュミラ注射)でした。しかし特許切れでバイオ後続品(インスリングラルギン注射「リリー」など)に喰われ始めています。それでも糖尿病自体がマーケット大きいのと、生物学的製剤は合成が難しく競合が少ないことがプラスして、劇的には落ちていません。
なおインスリンをつくれる会社は実質3社しかなく、それだけでもオススメできます。
Apidora®:アピドラ注射
低分子薬・バイオ医薬品でいえばバイオ医薬品。糖尿病の治療薬です。ランタスが持続型なら、こちらは即効型のインスリンで食事の直前に打ちます。競合薬が「ノボラピッド®(NVO)」「ルムジェブ(LLY)」と手ごわく、あまり伸びていません。
逆にしっかりと他社に追従している、とも言えます。それにインスリンは「サノフィ(SNY)」「ノボノルディスク(NVO)」「イーライリリー(LLY)」くらいしか作っていません。つまり寡占化していて、安定的ともいえます。これは(生物学的製剤だから)作るのが難しいくせに単価が安く、薄利多売しないといけないからです。あとから参入してもうま味が少ないんです。
反論への理解
割安なのは訳アリだからでは、と言われますがその通りです。
実際に売上はのびなやんでいます。配当金も伸び悩み、営業利益も不安定です。じっさい主力だったランタスの特許切れで、売上が落ちています。
ですが平均化してみてださい。ほとんどの年で配当金<<1株利益です。まだ配当には余裕があります。配当利回りもご覧ください、4%を超える高配当株です!
伸び悩んだとはいっても、それはランタスの売り上げ減を打ち消せるくらい、ほかも伸びているって事なんです。
割安というのは、もともと期待されていないから買われていないため。かりに売上が落ちても、「やっぱりな・・」と思われるので大したダメージではありません。
結論:サノフィは割安で高配当な株
これがいえます。「スーパースターのランタスが落ちる、ほかにこれといった高額薬がないから業績悪化では?」と思われて嫌煙されており、割安化しています。
実際株価・営業利益とも15年でまったく成長せず、市場平均におおきく負けています。伸び盛りのはずの製薬会社らしくありません。でも考えてほしいです。
ジェレミー・シーゲル博士の言葉で「本当の利益をもたらすのは、会社の永続である」「(2000年代のアメリカたばこ株の様に)期待されないが、業績のいい株が良い」というもの。永続性は十分にあります。期待されずPBRが低いですが、イメージ程業績は悪くありません。
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