投資をしたいけど迷う方。
投資したいけど、どの銘柄にしよう?不景気でも伸びてくれたらいいな。
でしたら、「ノバルティスファーマ(NVS)」はいかがでしょうか?薬剤師で製薬銘柄マニアの僕ですが、「これは隠れた優等生なのでは?」と感じています。
だけど、折角大事なお金をつかって投資するなら、知っておきたいですよね?
●投資スタイルは買ったら放置(2人子育てで忙しいから)
●放置したいので、安定株しか買わない・分析しない
●高収入じゃない分、生命保険・学資保険代りに資産が欲しい
●投資・金融が専門外なので、却って初心者の気持ちが解る
の僕が、解説いたします。
【そもそもどんな銘柄?】
薬剤師さんなら、この名前知っていますよね?規模を把握したいので、同業種の売上も比較してみましょう。
・・医薬品業界ではベスト5の時価総額(医薬品売上はベスト3)です。
今度は売上の内訳をみてみます。
・・・医療用医薬品の売上がほとんどの会社なので、その医療用医薬品の内訳をのせます。この通り、各分野に分散しています。(※特許切れ薬は、眼科薬・免疫薬・呼吸器薬などほかの分野の薬で、特許がきれたものを指します)
セクター(=業種)11分類でいうと「Health Care(=ヘルスケア)」ですね。当然景気敏感・ディフェンシブでいえば、ディフェンシブ株にあたります。
★配当金は 現地課税35%+日本課税20.375% の二重課税
★売買差益は 日本課税20.375% の単独課税のみ
●配当金はあまりださず、株価で還元してくれた方が株主に嬉しいです。具体的には「自社株買い」です
本当に安定しているの?
とても安定しています。理由はこうです。
②売上内容も分散しているから
③不景気でも止めない物だから
④実際に配当金が、増え続けているから
⑤長期リターンのいい「Health Care」業種だから
いっぱいありますね。ひとつひとつ解説していきます。
具体的な理由
①売上地域が分散してるから
これをご覧ください。
売上が世界中に分散していますよね。分散すると、安定するんです。
なぜなら、一カ国で不祥事・被害があって売上低下しても、他の国と地域が補ってくれるからです。(実際2012年のディオバン事件で日本売上はダメージですが、世界ではあまり落ちていません)
投資家では有名な格言で、「卵を一つのカゴにのせるな。(沢山のカゴに分散させろ)」というのもあります。
ですから「売上分散」というのは、おおきなメリットなんです。
ちなみに、地域別の売上の伸びをみると、この通りです。フランス以外の地域はグンと伸びています。
②売上内容も分散しているから
先ほどの売上内訳をみての通り、売上は「特定分野に偏らず、あらゆる分野に分散」していることがわかります。
そして特筆すべきは「どの領域でも新薬を発売している」ということです。新薬でない売上はわざわざ、「特許切れ薬」として別にするくらいですしね。
③不景気でも止めない物だから
ノバルティス製品はほとんど医療用医薬品なので、不景気時でも無関係に売れます。
なぜなら不景気で財布のひもを締める時、医薬品は減らさない(減らせない)ものだからです。
具体例をあげます。ノバルティスといえば分子標的抗がん剤の会社です。お金がないとき、何を節約するのか?たとえば外食控える・旅行は近場にするか止める・服を買わない・遠出しない(ガソリン代を削る)、などではないでしょうか?ですが「お金がないから抗がん剤は止める」とは、なりにくいですよね。(おまけに各国とも、高額医療の補償が整っているのでますます止めない)
ですから、ノバルティスは不景気でも安定する会社です。
④実際に配当金が、増え続けているから
これをご覧ください。年々、配当金が増え続けている事が解ります。
2020年は配当がまだ2回しかないので悪いようにみえます。緑の配当金は途切れることなく、増え続けています。(スイスフラン建てチャートだともっと奇麗な右肩上がりです)
2012年に「ディオバン事件」で患者様・国民は裏切りましたが、株主は裏切りません。たとえ赤字でも増配をきっちり守り続けています。
そして、配当利回りも3%台と、製薬株としては高め水準です。これは割安性のためです。
利益率の20%強は、製薬業界としては平均的です。ですが、注目すべきはPBRです。
つねに4を下回ります。大手製薬企業で4を下回るのはファイザー・ノバルティス・アッヴィ位です。このうちファイザーは新薬がなく先行きに疑問符です。アッヴィはヒュミラリスクがあります(だから割安でPBRが4を切るんです)。しかしノバルティスは、そういった懸念は特に見当たりません。これは恐らく、スイスADR株で投資家があまり買わないからです。つまり、オトクになってる可能性があります。
※スイスADR株は現地課税35%+日本課税20.375%の二重課税なので、配当金は51%程度しか手に入りません。ですが株価差益は現地課税は無関係なので、日本課税の部分しかかからないです。
⑤長期リターンのいい「Health Care」業種だから
業種的にも、オススメです。
なぜならHealth Care(ヘルスケア)の業種は、歴史的にも伸びの良かったからです。
具体的な数字をあげます。これは株式分析の権威:ジェレミー・シーゲル博士の統計からわかった、業種別の長期伸び率です。
セクター | 平均リターン(年%) | |
★ヘルスケア | Health Care | 14.19 |
★生活必需品 | Consumer Staples | 13.36 |
情報技術 | Information Technology | 11.39 |
△エネルギー | Energy | 11.32 |
△一般消費財 | Consumer Discretionary | 11.09 |
△金融 | Finacials | 10.58 |
資本財 | Industrials | 10.22 |
★電気通信 | Communcation Services | 9.63 |
★公共事業 | Utilities | 9.52 |
△素材 | Materials | 8.18 |
業種平均 | Average | 10.85 |
どうでしょうか?業種平均より大幅にいい14.19%の伸び率をだしています。業種的にも、伸びやすいといえます。伸びるということは、それだけ安定的だという事です。
詳しい売上内容
主要医薬品の売上と伸びはこうです。
Consentyx®:コセンティクス注射
分子標的薬剤に該当。尋常性乾癬の注射薬です。4回連続で毎週注射、あとは4週ごとに注射です。
この薬の凄さは「気休め程度のVD軟膏よりも治療成績がよい」「免疫抑制剤とちがい感染リスクは小さい」ことでしょう。有効性・安全性を両立したスゴイ薬なんです。そして尋常性乾癬は、若い世代~老人まで満遍なくいます。
一生継続するタイプなので、売上的にはコンスタントです。
Gilenya®:ジレニアカプセル
分子標的薬剤ではなく、低分子医薬品です。多発性筋硬化症の薬の内服薬です。
1日1回服用と解りやすく、治療続けやすいです。筋硬化症の薬は、これといったものがなかったので期待されています。(リルゾールはありますが)
Lucentis®:ルセンティス硝子体注入薬
分子標的薬剤に該当。加齢黄斑変性症の治療薬です。
いままでこれといった治療薬がなく、対症療法でなんとかしていました。この薬は類似薬がありませんでした。黄斑変性症の治療成績がだいぶよくなり、失明を免れた人も数多いです。
そして黄斑変性症は、ニッチな疾患で競合薬が少ない上に、加齢でグンと増える疾患です。作りにくい薬なのでたとえ特許がきれても、落ち込みにくいでしょう。これからの時代にもマッチしています。
Tasiguna®:タシグナカプセル
分子標的薬剤に該当します。慢性骨髄性白血病の治療薬です。
慢性骨髄性白血病は、2001年(イマチニブ登場)までは造血幹細胞を移植するしか、治療方法がありませんでした。そして予後不良で生存期間5年とされていました。
イマチニブ以降、次々と治療薬がでて生存期間25年以上になりました。その次々とでた治療薬の筆頭が、タシグナだったんです。がんを「治してしまう」という、すごい薬なんです。
第2世代 | ニロチニブ(製品名:タシグナ) |
第2世代 | ダサチニブ(製品名:スプリセル) |
第3世代 | ボスチニブ(製品名:ボシュリフ) |
第3世代 | ポナチニブ(製品名:アイクルシグ) |
12時間ごとにのむ薬です。注射に比べて負担が少ないですよね。
Entresto®:エントレスト
分子標的薬剤+低分子薬の合剤です。慢性心不全の治療薬です。
まだ2019年8月に発売したてホヤホヤですが、海外論文で有効性が明らかになってきております。
また慢性心不全は「地球人口の高齢化で増える疾患」なんですが、とくに後期高齢者にグンと増える疾患です。後期高齢者人口の伸びはものすごいので、そこに狙い撃ちしてしかも特許が長いこの薬は、間違いなく将来のエースでしょう。
反論への理解
ディオバン事件を起こすような会社・不正の文化があるのではと言われます。たしかに2012年、日本の5大学の心臓系論文では不正を働きました(無罪判決ですが)。
ですが、それは日本法人でだけです。その日本でも信頼回復していますし、現にディオバンの有効性はだれもが認めることろです(でないと世界で10兆ドルも売り続けていない)。日本法人での売上は現に、過去最高を記録しています。
※日〇自動車のように、本業ガッタガタなのに上層部が超高額報酬、なんて事もありません。
信頼は十分回復していると考えます。
結論:ノバルティス(NVS)は隠れた優等生株
ノバルティスは「時価総額・売上とも世界一ではない」「米国・英国といった目立つ国の株ではない」「これといったスーパースターの薬がない」などと、目立たない会社名です。スイス株なので配当税率が高め、その為嫌煙される所もあります。
ですが売上は地域・疾患領域とも分散しきっています。新薬もどんどん投入しています。ちゃんと伸びる領域を狙って。
目立たない故に、じつは好業績なのにPBRが低め。オトクです。
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