2018年度改定より設定された「外来がん化学療法 連携充実加算」の、具体的な取り方を説明します。
なおこの算定は150床未満で化学療法月60件程度の小さな病院であっても、無理なく算定可能です。
外来がん化学療法連携充実加算 の要件
じゃあ具体的にどうやったら満たせるのか?(管理人の病院では満たせたのか?)それを解説いたします。
[算定要件]ー(1)を満たす方法例えば以下のような文章を渡せば、全て満たすことができます。
これで要件を満たすことはできます。④の副作用の発現状況ということで、白血球や血小板数の推移などもフリーハンドで追記します。
あと必要と思われるのが、患者名記載(患者さんの取り違いおきたら大変)、病院名と連絡先記載(問い合わせ元の病院が解らないといけない)といったところでしょう。
このサイトでは抗がん剤の投与量計算を載せていますが、「Ver2」のバージョン(タイトル末にVer2とかいたもの、カテゴリが化学療法連携充実加算になっています)では交付文書が自動で作れ(上記のその②の文書がだせます)、その印刷も「印刷➡2ページ目指定」で広告なしに交付文書が印刷できます。
[算定要件]ー(2)を満たす方法管理栄養士さんは「抗がん剤レジメン毎の、食べる系の副作用」が知りたいわけですね。管理人病院の例で行くと、レジメンごとの頻出副作用が解る様に、Excelで副作用チェックシートを作りました。管理人のチェックシートのExcelファイルです(完成度は高くない・xlsxなのでウイルスなどは仕込めません・管理人がゼロから作成しています)。
・・・いずれは薬剤名を入れると、自動で副作用リストと確率がでるように改良したいと考えております。
[施設基準]-(1)を満たす方法これはがん化学療法の委員会を立ち上げたうえで、管理栄養士が参加する必要があります。面倒かもしれませんが仕方ないです。もちろんレジメンを管理する立場である薬剤師も参加しないとダメです。
委員会なんて形だけで・・・と考えがちですが、レジメン改善につながる良い意見がいっぱい貰えますよ。「管理栄養士として食事指導してると、S-1飲んでる人は口内炎がひどいね。辛い物食べにくいんだってさ。この薬使ったらこういう食べ物に気を付けろ、ってあったら教えてほしい」「看護師として点滴していると、カペシタビン飲んでる人はみんな爪が黒くなってる。血球系が下がりやすい。薬剤師さん何かいい副作用止めないの?おきるタイミング教えてくれたら、そのタイミングで点滴してもいいよ」・・・などといった感じです(全て管理人が実際委員会中に頂いた声です)
算定満たす為でもあるけど、よりいいレジメンにして、より起こりやすい副作用に備える為の意見の場でもありますから。
[施設基準]ー(2)ア を満たす方法貴方の病院が実施しうるレジメンリストを、すべて病院のホームページ上で公開すればOKです。管理人の病院では、たとえばこんな感じで公開しています。このPDFページをレジメンの数だけ作っています。
[施設基準]ー(2)イ を満たす方法年間3回開催必須の「薬薬連携勉強会」のうち、一回をがん化学療法の勉強会にしてしまえば満たせます。管理人勤務先の病院では、こんな内容のことを20~30分くらい喋っています。
●当院で扱う「胃がん」「大腸がん」「胆道がん」「膵臓がん」「乳がん」から一つずつレジメン解説する
※具体的にはレジメンのがん種、治療薬名、投与スケジュールとサイクル、注意すべき副作用と予備投薬と見破り方、調剤薬局でやっていただきたいポイント(がん化学療法連携充実加算の薬科100点を算定するための文書も)
→CapeOX+B-MABというレジメンであれば、大腸がんの再発例に使用する。治療薬はベバシズマブを5㎎/体重Kg+オキサリプラチンを85㎎/体表面積㎡+ゼローダ内服を添付文書C法の量で使う。基本的には21日サイクル。化学療法前に点滴パロノセトロン+デキサート3管は抗がん剤に共通するだるさや吐気を軽減するため。副作用としてはやっぱり点滴当日の吐気と食欲不振・だるさ。点滴1~2週間後から「汎血球減少」によるだるさ発熱易感染性がやすい。ここは退院後の体調をテレフォンフォローアップして見つけ出してほしい。病院では「受診時という点」でしか追えず、病院をでたあと「日常生活という線」を追うのが調剤薬局さんでの仕事。フォローアップ結果を薬剤部までFAXしてもらえれば、100点算定要件を満たす。・・・といったことを、レジメンスケジュールや副作用の出る時期の図をみせながらしゃべっています。
※骨髄抑制や下痢が、点滴終了後1~2週間しないと出てこない事が解ります。ここを拾うのが調剤薬局さんの活躍の場でもあります。
[施設基準]ー(2)ウ を満たす方法・・・抗がん剤関連の疑義照会をしたいとき、指導を担当した薬剤師がでられる状態であればOKです。さすがにいつでも疑義照会にでるわけにはいかないので、当院では「午後にまとめて」疑義照会をもらっています(余程の緊急を除きますが、一度も緊急の抗がん剤疑義照会はありませんでした)。
[施設基準]ー(3) を満たす方法管理栄養士さんの人員条件です。「5年以上連勤していて」「3年以上、栄養指導を行った実績がある人」であれば大丈夫です。管理栄養士さんに伺ったのですが抗がん剤だからといって特別な指導があるわけではないとのことです。
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