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株式投資していますが、株の高値掴みはイヤです。割安で掴むためのコツはありますか?
【この記事を書く管理人について】
●現役の病院薬剤師。医薬品・医療機器を毎日触るのでヘルスケア分野の生きたニュースを知っている
●製薬株も200万円ほど所持
●現在金融資産を1300万円ほど所持、そのうち配当と含み益のプラスは180万円ほど
※投資開始した2018年6月~執筆時2021年3月での成績です
こんな管理人が、解説いたします。管理人自身がみつけた法則ではなく、すでにみつかってる法則を私なりに解釈して実践していたら、このようなリターンを得られました。
割安で掴むなら、指標PERは25以下で
割安で掴むなら、指標PERの低い銘柄(目安は25以下)で選ぶべきです。
補足:PERとは何??
●平均株価収益率の事です。「PER=時価総額÷純利益」で計算されます
●意味合い:PERが低い=会社の時価総額の割に、利益をたくさん出せている会社という事です。
会社の時価総額=株価×発行株式数 ですので、
みんなが欲しがる会社➡株価暴騰➡時価総額UPとなります。そうすると、当然PERは高くつきます。
反対に『この会社はオワコンだ・斜陽産業だ!』と思われるとみんながその株を売ります。すると時価総額DOWN➡PER低下
●基準として、PER20~30前後がだいたいの企業のレンジです。それより低いのが割安=バリュー株といえます。
その理由として低PER銘柄というのは平均的に、その後に高リターンとなってきているからです。
具体例を挙げましょう。1957年当時のS&P500採用銘柄を(約100銘柄ずつ)5グループにわけた平均リターンの追跡です。銘柄一つ上げて低PERだったでは説得力がないので、全部の銘柄の平均で調べたものです。(ジェレミーシーゲル著書:株式投資の未来 より引用)
グループ分け | 年次リターン | リスク |
PER最低 グループ平均 | 14.07% | 15.92% |
PER最高 グループ平均 | 9.17% | 19.39% |
S&P500平均 (=全体平均) | 11.18% | 17.02% |
・・・この表を見て気が付くと思いますが、PERが最低だったグループ(つまり期待されていない業種グループ)はリターンが最もいいのにリスクは最低だった、つまりローリスクハイリターンだったことが解りました。もっと言えば何も考えずに低PERだけで業種を選べば、当たる確率は上がっていたのです。
・・・年次リターン14.07%と言われてもピンとこないですよね。こういう事です!
グループ分け | 年次リターン | 2003年時点 の最終金額 (1957年に1000USD 投資と仮定し) |
PER最低 グループ平均 | 14.07% | 425,703USD |
PER最高 グループ平均 | 9.17% | 56,661USD |
S&P500平均 (=全体平均) | 11.18% | 130,768USD |
何と、何も考えずにPER最低グループに投資するだけで、46年後には平均の約3.5倍もの大金を手に入れていたのです。
※株式投資の未来 p47「S&P500のPER別累計リターン」より
●1957年当時の銘柄で良く伸びた上位20社は、PERが平均より高めじゃない?
> しかしそれは上位20社だけの話であり、全体平均でみると低PER=高成長の傾向がみてとれる。しかもこれら上位20社は「高配当・連続増配」という共通点(べつの割安性)があって、PER以外の部分では割安といえた。
※株式投資の未来 p50「運用成績上位20銘柄の主要データ」より
●PER30?平均PERは17.45だったでしょ?
> それは1957~2003年の場合の平均です。現在は投資額がもっと増えてきて、実体経済にくらべて多くなっているので全体的に上昇、2021年3月現在のS&P500のPERは35倍にもなっています。
ですので鉄則として、低PER株(=バリュー株)を選びましょう。2021年3月末の基準でいけば、PER25以下が目安です。
近代でも・・・PERとリターンは相関あり!
以上は1957~2003年という、いわゆる「ちょっと昔の話」でした。しかし2021年現在でも通用する理論です。この図をご覧ください。
米国株式(S&P500指数)をかった時点のPERと、その1年後のリターンです。ぼんやりと「PER低い時に掴んだ方が、リターン良くなる」とわかるはずです。これが5年後リターンとなるとあからさまです。
ここで質問:貴方は、PERがどのタイミングで米国株式を買いたいですか?
補足:上位20社について
上位20社➡1957年当初のS&P500採用銘柄500種のうちで、2003年まで生き残った企業のリターン上位20社の事です。
そのリストはこうです。
順位 | 2003年末の社名 | 年率 リターン | EPS 成長率 | 平均 PER | 配当 利回り |
1 | フィリップモリス(PM) | 19.75% | 14.75% | 13.13 | 4.07% |
2 | アボット・ラボラトリーズ (ABT) | 16.51% | 12.38% | 21.37 | 2.25% |
3 | ブリストルマイヤーズ ・スクイブ(BMY) | 16.36% | 11.59% | 23.52 | 2.87% |
4 | トッツィーロールズ | 16.11% | 10.44% | 16.80 | 2.44% |
5 | ファイザー(PFE) | 16.03% | 12.16% | 26.19 | 2.45% |
6 | コカ・コーラ(KO) | 16.02% | 11.22% | 27.42 | 2.81% |
7 | メルク(MRK) | 15.90% | 13.15% | 25.32 | 2.37% |
8 | ペプシコ・インク(PEP) | 15.54% | 11.23% | 20.42 | 2.53% |
9 | コルゲート・ パルモリーヴ(CP) | 15.22% | 9.03% | 21.60 | 3.39% |
10 | クレイン | 15.14% | 8.22% | 13.38 | 3.62% |
11 | ハインツ | ||||
12 | リグレー | ||||
13 | フォーチュンブランズ | ||||
14 | クローガー | ||||
15 | シェリングプラウ | ||||
16 | プロクター&ギャンブル (PG) | ||||
17 | ハーシーフーズ | ||||
18 | ワイス | ||||
19 | ロイヤルダッチ石油 | ||||
20 | ゼネラルミルズ (GIS) | ||||
トップ20社平均 | 15.26% | 9.70% | 19.17 | 3.40% | |
S&P500平均 | 10.85% | 6.08% | 17.45 | 3.27% |
この勝ち組企業のリストには以下の様に特徴があります。
●PERは平均やや上程度、最高でも27しかない。
●どれも平均より高配当で、平均3.4%の配当利回り。➡配当を再投資するとき、より沢山の株を買える。
●業種11分類でいうと「生活必需品」「ヘルスケア」ばかり。
●半世紀以上ずっと有名で在り続けたブランドを保持する。
全く同じ配合・製品を売り続けた会社すらある。コカ・コーラ、ペプシコ、リグレー、ハーシー、トッツィーなど。
●会社がブランド=安心感のある製品をもっている。
安心感の例1:見知らぬ土地で40セントのリグレーのガム、30セントのよく判らないブランドのガムが売っていた場合。たいていの人は10セントを惜しまずリグレーのガムを選ぶ。
安心感の例2:スーパーで食器洗剤を捜す時。よく判らないノーブランドの洗剤ではなく、よく知っているジョイ(P&Gのブランド)の洗剤を選ぶはず。たかだか数十円をケチったりはしないはず。
PERは平均やや高め、ずっと高配当だった、業種はGICSの11分類でいうと生活必需品やヘルスケア、ブランドを持っている。こんな共通点です。ちなみにヘルスケア・生活必需品は業種別成長率でいえばNo1.No2を占めています。
花形の会社ではなく、期待されていない古い会社を狙いましょう
個別株は、今後を期待されていない業種(バリュー株・割安株になってる)を狙うべきです。(成長性のイメージとリターンは全く別物だから!)
その理由は、期待された業種(グロース株)というのは最初から期待を織り込まれて割高となっているからです。すでに割高のものは業績を挙げても「まぁ期待通りだよね」となり、あまり株価上昇に寄与しませんからね。
具体的な例を挙げます。例えば1957年当初から存在する(期待された花形企業扱いだったグロース株の)IBMと(期待されない斜陽産業扱いだった)スタンダードオイル社を比較します。この間に成長した企業はもちろん、ハイテク株のIBMのほうでした。しかしリターン比較の結果は全く逆でして、期待されたIBMより、期待されないスタンダードオイルの方がリターンは24%も良かったのです。
・・・なぜIBMがのリターンが悪かったのでしょうか?・・・それはIBMはハイテク株で投資家から多大な期待をうけてみんなが買いに走った=すでに高PER、つまり割高だったのです。反対にスタンダードオイルは斜陽産業扱いを受けて期待されて無かったので、低PERとなり割安だったのです。
この摩訶不思議な現象の事をジェレミー・シーゲル博士は「成長の罠」と呼んでいます。そして別の箇所で「株主に利益をもたらすのは、会社の急成長ではなく永続である」とも述べています。
・・・口だけで言われてもピンとこないので、ここに実際の数字を挙げます。
指標 | IBM社 | スタンダード オイル社 | 優位 |
一株当たり 売上成長率 | 12.19% | 8.04% | IBM |
一株当たり 利益成長率 | 10.94% | 7.47% | IBM |
平均株価収益率 =PER | 26.76 | 12.97 | スタンダード オイル |
平均配当利回り | 2.18% | 5.19% | スタンダード オイル |
・・とこの通り、成長性を表す「売上成長率」「利益成長率」はIBMが上なのに、割安性(バリュエーション)をしめす「PER」「配当利回り」はスタンダードオイル社が上なのでした。じゃあ成長していくのはIBMだから、いくら今が割高でも未来のリターンは良くなるのでは、と考えがちですが、現実はこうなのでした。
IBM | スタンダード オイル | |
1957年 の投資額 | 1,000 | 1,000 |
2003年 の金額 | 960,000 | 1,260,000 |
こうなる理由ですが。スタンダードオイルの様に期待されていないと、当然株価は安いです。でも業績がよければ配当はしっかりでるので高配当化します。すると沢山ある配当金で、割安な株を沢山買えることになります。
沢山買えるから、沢山配当金を受け取れて保有数が激増するわけですね。そうすると業績を見直されて「やっぱスタンダードオイル社,すげぇ!」となったとき、株価は上がるため、資産が加速的に増えるわけです。
●IBMの方が高成長したのに、リターン悪いわけないでしょう!
> リターンに寄与するのは成長ではなく低PER・高配当だった。急成長のイメージ(例:IBMの方が実際に売上・営業利益とも伸びが良かった)と、実際の儲け・リターンは別物です。
ですので個別株は、今後を期待されていない業種を狙うべきです。
参考にした本
【この本で学べる事】
●上記のPERの法則について、詳しい根拠つけて載っています。読むことでより確信が深まって、自信をもって投資できるはずです。
●「株式・長期債券・短期国債・金・現金保持のなかで、株式が最善・最大リターンの投資法である」ことを証明する本です。
※株式の中での銘柄選びは「株式投資 第4章」のほうが詳しいです。
●この本の法則を知ることで、株式を狼狽売りして損するなどの事はへります。自信をもって長期保有できるようになります。一時の感情論・一般論ではなくありとあらゆる統計・比較によって導き出されています。
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