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配当金が好きなので、なるべく配当いっぱいくれる会社が欲しいです。でも高配当=危険で株安だから高配当化してるとききました。安全性はどうなのですか?
【この記事を書く管理人について】
●現役病院薬剤師。ヘルスケア株の生の情報を日常的に仕入れられる
●投資方法は現物の株のみ。それもバイ&ホールドのみ。
〇信用取引・FX・債券(ボンド)・貴金属には一切投資しない。損切せずただ機械的に買うのみのスタンス。
●投資歴10年(昔は貴金属のみやってた、株式は2019年~)、資産額1300万円程度、含み益+150万円程度
●2020年のリターンは+15%程度
こんな管理人が、解説いたします。
高配当だった銘柄はその後、好リターンになっている
高配当だった株のリターンは、高いです。
どうして言い切れるのかというとシーゲル博士の検証(1957~2003年)で、高配当グループは高リターンだったからです。
高配当グループが勝る例1として、ダウ30銘柄の追跡では「ダウ30銘柄平均よりも、ダウ10種(=ダウの犬)のほうが高リターン」となった事です。
【ダウ10種(=ダウの犬)】
●ダウ工業銘柄30銘柄のうちで、配当利回りが高い順10社の事。
●ダウの犬(英語のDogは負け犬の意味あり)とよばれる理由は、人気が落ちて株価低迷するなか、配当金は守られた結果高配当になっている為。
実証例として1957~2003年のリターン推移はこうでした。
【1957年~2003年のリターン推移】
●ダウ30種は12.00%、1000USDが183,460USDに
●S&P500は11.18%、1000USDが130,768USDに
●ダウ10種(ダウの犬戦略)は14.43%、1000USDが493,216USDに
➡市場平均の3倍近い額に。負け犬のくせにやけに強い
高配当グループが勝る例2として、S&P500銘柄の追跡では「500銘柄全て平均よりも、S&P10種が高リターン」となった。
【S&P10種】
●S&P500銘柄のうちで、①時価総額ベスト100の(=S&P100指数の採用銘柄)うちで、②配当利回りが上位10社の銘柄の事。
すると実証例として、やはり1957~2003年のリターン推移はこうでした。
【1957年~2003年のリターン推移】
●ダウ30種は12.00%、1000USDが183,460USDに
●S&P500は11.18%、1000USDが130,768USDに
●S&P10種は15.69%、1000USDが816,620USDに
➡ダウ10種より更に高い。
やはり高配当グループが、高いリターンをたたき出した事がわかります。
※しかしここで注意したいのは、「ある程度の企業規模が無いとダメ」という事です。企業規模というのはたとえば「ダウ30種に選ばれる位の大企業」「S&P500でも、規模上位100社(つまりS&P100銘柄である)」という事です。高配当でさえあればOK、というわけでもないです。
現在高配当株のリターンは、将来的に高くなると考えられるのでオススメできます。
近年の実例~高配当銘柄たちの成績
シーゲル博士が前述のとおり、「高配当株は市場平均に比べて好成績だ!」といわれたのは2003年です。じゃあその後も本当に好成績だったのか。今度は私が検証いたしました。
【高配当株たちの検証方法】
●高配当株のETFを使用
➡代表的な高配当ETFとして、SPYD、HDV、VMYを使用する
●高配当ETFについて、ETFが設定された時までさかのぼってリターン検証
※配当金は年末に、都度再投資する。本来買えない小数点の株数まで買ったものとする
まず、近年の好成績ぶりが目立つ高配当ETF・SPYDから。2015年開始なので、2015年~の6年リターン。
SPYDの圧勝ですね。このETFについて構成内容など詳しくはこちら参照。
次に、配当貴族や3セクターが多い高配当ETF・HDVの成績。2011年開始なので、2011年からの10年リターン。
HDVは惜しくも敗れました。が、コロナ前の2018年末までずっとHDVが勝っているのも興味深いですね。これは2020年末はグロース株(HDVに含まれない)が暴騰したからです。このETFについて構成内容詳しくは、こちら。
最後に、割安株が目立つ高配当ETF・VYM。2006年設定のため、15年リターンです。
期間が長いVYMは大圧勝です。これはリーマンショックでグロース株(グロース株は配当ぜんぜん出さないので、高配当ETFには含まれない)が大コケしたからです。このETFについて、構成内容くわしくはこちらを。
ちなみに全てのETFを2015年からにしても、VYM/SPYDは平均をはるかに超える伸び方していますよ。HDVはやっぱりちょい負けくらいですが。
以上を考えると、やっぱり近年も(前述のとおり昔も)高配当株の方が成長性がいい、と言い切れます。
それでも高配当株は危険なのでは?
私は高配当=設備投資や内部留保にまわすべきお金をみんな配当で配ってしまっている。成長性がないってことだ!と考える向きも多いですね。
一見するとなるほど筋の通った話だと考えがちです。しかもこれは素人考えではなく、米国の一流ファンドマネージャーでさえも述べています。
時価総額が100億ドル以上で、配当利回りの高い企業リストをざっと眺めてみるといい。アメリカの未来を垣間見た気分にはならないだろう。いつに変わらぬ日常風景というべきか、たとえば、デューク・エナジー(5.6%)、イーストマン・コダック(5%)、フォード(4.1%)、GM(5.4%)、JPモルガン・チェース(5.6%)、SBCコミュニケーションズ(3.9%)、ベライゾン(3.9%)などだ。
配当は投資家の眼をくらませ、借金漬けで伸び悩む会社、あるいは伸びきった会社の株を買わせる。こうした銘柄はやがて減配となり、下手をすると、投資銀行マンを兼任した調査アナリスト以上に、投資家にやけどをおわせかねない。
~(中略)~
落ち目の企業は配当で投資家を抱き込もうとしているだけだ。それよりも、将来性のある企業の事業投資を支援して、高リターンを狙うのが正解だ。配当が高ければいいだけの話なら・・・鉄道株を後世大事に持っていればいい。
~アンディ・ケスラー(元ヘッジファンドマネジャー)ーウォールストリートジャーナル誌へ記載のコラム『配当を憎む』より
このケスラーコラムだけ読むと『おおなるほど、高配当株は落ち目の会社ばかりだから危険だ』と思うはずです。そして研究開発費の高い会社こそ将来に急成長してリターンが良くなる・投資家に得させてくれるはずだ、と。
しかし・・・このケスラーコラムには重大な欠陥があり、それは憶測で書いたコラムで、検証をしていない事です。じゃあ、すべての銘柄を高配当・中配当・低配当グループにわけて検証したデータはどうだったのでしょう??
➡➡それこそ先ほどの項で書いた通り、高配当グループが最良のリターンをもっていました。
【ケスラーコラムの誤り】
●高配当株は落ち目の株・買うとやけどする➡➡実際は高配当株グループが最良のリターンで真逆
●将来性のある企業の事業投資➡➡将来性で選ばれるグロース株は高PER揃いで、高PERほどリターンが悪いと検証済みで真逆
※しかもリターンは「昔からある株>>新規採用された株」(リンク)だった
●鉄道株は高配当なだけ➡➡事業として落ち目・高配当だったのは正解。だがリターンはというと、落ち目どころか市場平均すら上回っていた
結構時間かかりましたが、管理人独自で7つすべてを追跡調査しました。それはこちら。中々面白い結果でした。
※この項は「ジェレミー・シーゲル著”株式投資の未来”の第3部第9章」を引用しています
研究開発費をつかうほど将来への投資になり、リターンは長期的によくなる・・・と考えそうですよね。実はそれも誤りでした。
どういう事かというと、リターンは 研究開発費の高い企業<<低い企業 だったという事です。
<検証1>これは1957~2003年のS&P500の全銘柄に対してもいえます。
S&P500銘柄を設備投資費:売上 の比率でグループ分けすると、こうなりました。
設備投資費 :売上 の比率 | リターン | 1957年の1000USD ➡2003年には |
最低グループ | 14.78% | 567,490USD |
最高グループ | 9.55% | 66,275USD |
S&P500全体 | 11.18% | 130,768USD |
・・・何と9倍もの金額差で、これだけあからさまに違うグループ分けはなかなかないです。
つまりこういう事です。設備投資費の比率がたかい=みんなは『将来への投資だ!これから伸びるぞ!!』と買いに走って割高化するわけです。しかし実際は、伸びるどころか、投資家に損をさせるという事です。
<検証2>これは同じ会社でも、研究開発比率の安い年・高い年でもあからさまに違います。
●プロクター&ギャンブル社は過去46年のうちで、比率最高だった6年間は2%と低迷。比率最高だった12年間では19.8%と躍進。
●カミソリ刃のジレット社(現在はP&Gの一部)は、比率最高だった7年間はマイナス。比率最低だった期間は26.4%と躍進した。
●ハーシー(チョコレート会社)、Kマート、CVS、ウールワース、・・その他も似たり寄ったりの結果だった。
だから副題に『資産を喰う豚』と書かれている訳です。資産を喰う豚とは、もちろんこの高すぎる研究開発費のことを無駄になるお金、豚に金を喰わせるような物だといっているわけです。
(余談)管理人は研究開発費率の低い会社ばかり投資しています。その中でも「ノボノルディスク(NVO)」という会社が好きでして、研究開発費が安くなるように昔からの商材で勝負し続け・糖尿病の悪化予防に特化している(他に無駄な研究をしない)からです。しかも11セクターでリターン最良であるヘルスケア業種に属しているからです。
※この項は「ジェレミー・シーゲル著”株式投資の未来”の第2部第7章」を引用しています。第7章はそのタイトルも「資産を喰う豚」でして、
では質問です。これだけの検証結果を踏まえたうえで、貴方はどんな株を選びますか?高配当・低配当で選ぶなら?研究開発比率の高い・安いで選ぶなら?
【余談】高配当&連続増配15年以上となると、さらに高リターンも夢でない
高配当&連続増配15年以上となると、さらに高リターンも狙えます
なぜなら、シーゲル博士の検証(1957~2003)すみです。
【コア10種と名づけられた理由】
●条件は「連続増配15年以上」です
●15年もあれば一度は暴落を経験しており、それに耐えて増配し続ける位経営基盤(コア)がしっかりしている、という意味です。
●S&Pコア10種の条件:「S&P500銘柄のうち、時価総額上位100社(=S&P100指数採用銘柄)」かつ「連続増配15年以上に限定した」上での「配当利回り上位10社」となります
そしてやはりその結果は、S&P10種とS&Pコア10種は互角、ダウ10種よりダウコア10種のリターンが高くなりました。
【1957年~2003年のリターン推移】
●ダウ30種は12.00%、1000USDが183,460USDに
●S&P500は11.18%、1000USDが130,768USDに
●ダウコア10種は14.90%、1000USDが548,750USDに
●S&Pコア10種は15.68%、1000USDが811,593USDに
「コアのつく10種」のほうが、平均的にリターンがさらに良くなりました。
※S&P10種のリタ―ン≒S&Pコア10種のリターンで若干コアが負けていますが、ダウのほうは有意差ありでリターンが良くなっている
以上を勘案すると市場平均以上の高リターンを狙うならいわゆる「コア10種」、つまり現在「高配当&連続増配15年超す銘柄」を狙うのがおすすめです。もちろん15年ではなく、連続増配25年以上の銘柄(配当貴族銘柄)にしたってかまいません。
最新の「高配当銘柄リスト」はこちら
最新の「ダウコア10種」「S&Pコア10種」一覧はこちら
この文章のくだり~参考にした本~
今回の「高配当戦略」も、勿論この”赤本”の中にあります(第3部第10章に記載)。
○○戦略というのはシーゲル博士の言葉(の日本語訳)でして、これは「市場平均に勝ってきた法則の数々」「国際的な資産分散」を指しています。この利益をもたらす「○○戦略」とは、ざっとこれだけあります。
【市場平均に勝つための○○戦略】
●高配当戦略(銘柄リスト):高配当株はおしなべて、リターンが市場平均より高い。
●バリュー戦略(銘柄リスト):バリュエーションの安い銘柄は、リターンが市場平均より高い
●セクター戦略(銘柄リスト):「ヘルスケア」「生活必需品」「エネルギー」業種は、リターンが市場平均より高い。この3種に分散投資することで、エネルギー高でのリターン減速をカバーできる
●国際分散戦略:米国株だけでなく、これから存在感を増すであろう(中国・インドなどの)途上国をポートフォリオに加える
➡全てこの”赤本”に載っています。このサイトで管理人自身も(バイアスをかけずに)検証し、近年も正しい事を検証してきました。
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