僕は名古屋から車で1時間半もかかる、山間部の田園地帯に住んでいます(トトロがでてきそうって言われます)。その為僕は大学友人と飲み会(2020年8月現在はコロナで無いですが)・長電話するとよく相談されます。
名古屋みたいな都会は疲れた。子育てひと段落したら、長野の安曇野みたいな田舎で、のんびり畑して暮らしたい。できるかな?
で、僕はいいます。
ほぼ失敗するから、やめたほうがいいよ。
とても残酷ですが、失敗例を沢山みてきたからです。友達を想って、あえて厳しい言葉でアドバイスしています。
●40歳になるまでに、名古屋・京都などで10年弱は都市生活を経験済
●現在は夫婦・子供2人で田舎暮らし
➡➡田舎と都会の違いは肌で解ります
そんなド田舎・都会の両方を知る僕が、辛口のアドバイスを致します。ちなみにアドバイスする僕の境遇は、詳しくはこうです。
主張:老後の田舎暮らしは危険です
老後の夢として名高い「田舎暮らし」ですが、この単語は田舎暮らしの人間からしたら、田舎をナメすぎです。
定年後のスローライフはいかがですか?老後の資産に、畑付きで広々とした田舎の一軒家ですよ~
だいたい誰が「田舎暮らしは老後で」という、危険なことを言い始めたのって思います。不動産屋さんがつくった言葉なのかな、と勝手に考えています。
老後は田舎でスローライフ。田舎も人口減少で苦しんでいるから、おれが行けば田舎のためだ!
違います、田舎はだれでもウエルカムではありません。何でこういう思い込みが有るんだろ?と思います。
・・・最近こそ「田舎暮らしで痛い目見た」という移住者の体験談が、ブログで見られるようになりました。ですがまだ情報が少ないですし、「受け入れ側の都合」はあまり見かけません。
ちなみによくされる誤解があります。「自分が煙たがられるのは田舎の古いしきたりのせいで、自分は縁故もない新参者だから」というもの。・・・違いますよ、これは移住者の思い込みです。本当の理由は、貴方の存在が受け入れ側にとってメリット<<デメリットだからです。
理由:受け入れる側のメリット・本人のスキルが無いから
受け入れる側もメリットがない。本人も田舎暮らしのスキルがない。それが老後の田舎暮らしがダメな理由です。
だいたい「老後に田舎でスローライフ」だなんて、移住者自分たちの都合です。
受け入れ側の都合・気持ちを考えたことありますか?と声を大にして言いたいです。
●定年後から覚えられるスキルなんて知れている
具体例:こんな経験あるはずです
老後=定年後で、65以降とかだと思います。体力は若いときほどありません。
田舎というのは仕事オフの日でも、「地域の役割」があります。そう、皆が助け合う場所なんです。これざっと思いつく役割の例です。
お墓の掃除 | 年6回、土曜早朝 |
道端の草刈り | 年3回、土曜早朝 |
地元の消防団 | 月1回、日曜午前 |
消防団の待機 | 火事発生時は夜中でも起きて消火活動 |
回覧板まわし | 年3回程度(最近は激減) |
町内会費の集金 | 年3回程度 |
祭りの準備 | 祭り前の冬~直前まで、毎週末 |
祭りの役回り | 祭りの4月第二土日とその翌日フルで |
定年すぎた都会育ちの老人が、神輿かつぐなんて無理でしょう。
週末に消防団の訓練もありますがどでかい消防車を運転して、重たいホースを担いで機敏に動かないといけません。ましてや火事発生で夜中に呼び出されたとき、起きないといけません。
僕、もう定年後の老人だから。動けないし、医者に無理するなと言われているし・・・
これでは話にならないのです。あの家は何もやってくれないから、俺らの負担が多い。あの移住じーさんの家燃えたら消火しないとだけど、あの家の人は消防も何もやってくれない。でもあの人の為に、おれらの税金が使われるんだ。
この様にメリット<<デメリットなのだから、疎まれても仕方ないです。
それでもどうしても「老後から田舎暮らしがいい」と言う方。こちらも参考にください。
田舎暮らしを成功させる為に:若い時から移住する
まず言っておきます。「老後の田舎暮らし」だなんてほとんど諦めてください。スキルと体力の衰えた老後スタートでこなせるほど、田舎は甘くありません。むしろ全く逆で、若くないとダメです。
いずれ田舎暮らしをしたいと思っている方、若くて体の動くうちから移住してください。成功の秘訣は、これに尽きます。
若い貴方であれば、受け入れる側にメリットは沢山あります。
お墓の掃除 | 体力あるから大丈夫 |
道端の草刈り | 足腰強ければ、足場悪い場所でもへっちゃら。 |
地元の消防団 | 大きな消防車・重たいホースの扱いもできる。 |
消防団の待機 | 若ければできます。 |
祭りの準備 | 神輿や山車のメンテナンスも足腰強ければ可能 |
祭りの役回り | 神輿かつぎも、山車曳きもできる |
もちろん移住者あなたにもメリットがあります。
「道端の草刈りで、みんなが疲れていてもやってくれた。足腰強いから、足場悪いところもやってくれた。この移住者いい人だな!」
「消火活動のときも真っ先にきてくれて、体よく動いてた。頼りになるな!」
「神輿担ぐときも頼りになったよ」
こうやって人望ができます。田舎はいい噂もすぐ拡散するので、貴方は人気者になれます。頼りにされて親同士が仲良くなれば、子供も自然と友達になってくれます。塾や水泳など習い事の時も、車を出し合えたりして親の負担が減ります。子供をダシにして、溶け込むのはとても簡単なので、子供に感謝すること請け合いです。それに子供の遊び場も外のフィールドには沢山あるんです。
●清流で川遊び、魚つり(わざわざ気合い入れて遊園地いく必要なし)
●低い山の登山(特に小学生は喜びます)
●空き地でかくれんぼ、鬼ごっこ
●車の通らない・少ない道でキャッチボールも可能
ちなみにこの成功例は、30歳で岐阜の田舎に家族で移住した友人の例です。
おわりに
僕は薬剤師なので「全国各地に友人・知り合い」がいますし、「田舎・都会暮らしをそれぞれ10年以上体験」した人間です。田舎相談がよく来るのですが、失敗談もよくききました。それで成功・失敗にははっきりとした法則(受け入れる側にメリットが必要)があって、あまり知られていないようなので敢えて書かせていただきました。
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