【バリュー株戦略】グロース株より昔からあるバリュー株を選ぶべき根拠(シーゲル理論)

株式投資をやっていると、こんあ悩みが出てくるはずです。

悩む人
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株式投資をしている(もしくはやる)のですが、なるべく利益をだしたいです。グロース株とバリュー株、どっちに投資するのがいいですか?

【この記事を書く管理人について】
●現役病院薬剤師。ヘルスケア株の生の情報を日常的に仕入れられる
●投資方法は現物の株のみ。それもバイ&ホールドのみ。
〇信用取引・FX・債券(ボンド)・貴金属には一切投資しない。損切せずただ買うのみのスタンス。
●投資歴10年、資産額1200万円程度
●2020年のリターンは+15%程度

こんな管理人が、解説いたします。

【シーゲル理論】グロース株は危険・バリュー株を選ぶのがおすすめ

一言でいえば投資するならグロース株よりバリュー株を選ぶべきです。

その理由はグロース株はすでに割高で、思ったより成長しない場合が多いと歴史上わかっているからです。

グロース株とバリュー株の比較として、シーゲル博士が同じような検証を行っています。その検証内容というのはS&P500指数の構成銘柄で、1957年当初の500銘柄と2003年までの追加900銘柄とのリターン比較です。一見すると、『追加900銘柄のほうがリターンがいい。急成長して世界一の米国経済をけん引してきた』と考えがちですよね。・・・でも、逆なんです。つまり最初の500銘柄のほうがリターンがよかったのです。この通り。

銘柄グループ年次リターン
1957年当初の
500銘柄
=『古い企業』
11.72%
1957年~2003年
に追加の900銘柄
=『新しい企業』
10.83%

この0.89%差は微々たるもののようですが、この50年間の運用で1.5倍もの差が付くので、決して無視できません。

・・・こんな風に、追加900銘柄が及ばなかった理由というのは色々あります。

●一つは、S&P500に追加された時点ですでに、割高だった
 > 「新しい企業」は「古い企業」に比べて急成長して期待が高まったから、鳴り物入りでS&P500指数に追加してもらえたわけです。つまり指数に追加された時点ですでに割高だったので、割高なものは伸びしろが少ないです。それに鳴り物入りで入ったものは、バブルがはじければ破綻します。具体例を2つ示します
●その具体例1:1980年代のエネルギー危機の際に追加されたグローバルマリン、ウエスタンカンパニーは、追加後まもなく破綻した(紙屑になった)。
●その具体例2:1999年・2000年に情報技術セクター銘柄が大量追加された(追加125社のうちじつに30%がこの年に!)が、ほとんどは破綻した(紙屑になった)。2000年の終わりと言えば、いうまでもなくドットコムバブル崩壊である。
●もちろん、「新しい企業」の900社の中にはリターンが、「古い企業」を上回るモノも少なくない。しかし全体でみれば上回った企業のほうが少なかった。

➡➡これらが重なり、「古い企業」のリターン>「新しい企業」のリターンとなった。この傾向は現在もつづく。

また同じ1957当初の銘柄の中でも、バリュー株とされたゼネラル・エレクトリック株(GE)>グロース株だったIBM株(IBM) となってました。GEは1957年当時の時価総額で第9位に入る大企業で、一般消費財・サービス業種に属します。当時からバリュー株とされていました。いっぽうのIBMは1957当時としては革新的な会社で、当然グロース株とされていました。現在に至るまでの両者のリターンですが、もうお分かりの通りGE>IBM となっています。IBMが負けたのはいうまでもなく、1957年当時から期待値されていて割高だったからです。

●現在のグロース株GAFAM、テスラは勢い凄いQQQの伸びは凄い。さすがに古い企業を上回るのではないか?
 > 確かにそれらを多く含むETF(VGT、QQQ)の伸び方は凄いです。しかしこれらの株ははやり期待値が高く、PERがかなり割高です。軒並み30を超えていて、Amazonやテスラに至っては130を超えてしまいました。
 PERの上がり方をみると、1999年のドットコムバブルの状態に似てきているのです(この時鳴り物入りで追加された銘柄も軒並みPER100超えでした)。
 > 現在のグロース株は バブル崩壊リスク>>成長性 と考えるのが自然です。 

【1957年当時の会社で紙屑になった会社あるじゃん・・】
 > ゼネラルモータース・コダックなどがそうですね。「(1957年当時からの)古い企業」全部が今日まで生き残ったわけではないですから。しかし「古い企業」全て平均すると、紙屑になった会社<成長した会社となっています。
 > つぶれた会社の事だけに目をむけると、木を見て森を見ず。本質を見失いますよ。

ちなみにS&P500銘柄の業種11分類別で、「古い企業」と「新しい企業」でリターン見ていくと、こうでした。

ヘルスケア業種古い企業の勝ち
生活必需品業種古い企業の勝ち
情報技術業種古い企業の勝ち
一般消費財
・サービス業種
新しい企業の勝ち
金融業種古い企業の勝ち
資本財
・サービス業種
古い企業の勝ち
素材業種古い企業の勝ち
エネルギー業種古い企業の勝ち
電気通信業種古い企業の勝ち
公共事業業種古い企業の勝ち

業種別にみても、新しい企業>古い企業となったのは一般消費財サービスのみ。ここは後からS&P500に追加加入した米国のビッグ3(GM、フォード、クライスラー)や自動車部品メーカー(ファイアストーン、グッドイヤー)がけん引することで、古い企業の平均に勝てたのでした。

【まとめ~古い企業vs新しい企業】
●S&P500採用銘柄で、1957年当初の500銘柄=古い企業、1957年以降追加採用の1000銘柄=新しい企業
●リターンを全体平均でみると、古い企業11.72%>新しい企業10.83% で古い企業の勝ち
●GICSのセクター11分類でみると、一般消費財セクター以外はすべて古い企業の勝ち
●グロース株=当然ほとんど新しい株に属すので、リターンが劣る可能性あり

これだけの検証を踏まえると、新しい企業より古い企業、つまりグロース株よりバリュー株を選ぶ方が、確率的にはリターンが改善するということです。

バリュー株とされる銘柄群

一言でいえば「古い企業」で、昔から存在するブランドを持ちます。クラシカル株、とでもいうのでしょうかね(管理人はクラシカル株と勝手に呼んでいます)。クラシック曲のように大昔から存在していて、現代でも変わらず当たり前の様に存在し、楽しませ続けているところがそっくりですよね。たとえばこんな銘柄です。

※買って放置したら安心の銘柄、というわけではありません。古い企業の一例として挙げました。

【ジョンソンエンドジョンソン(JNJ)】
●1973年からS&P500採用銘柄です。当初から目新しさはありませんでした。
●当時から一般消費財・一般向け医薬品・医療用医薬品・医療機器を売っていました。
●1963年から連続増配をつづけ、配当王となっています。

【コカ・コーラ(KO)】
●1957年当時のS&P500採用銘柄です。やはり当初から目新しくなく、バリュー株とされていました。
●コカ・コーラはロゴデザインひとつ変えることなく当時から存在していて、世界中で展開していました。
●古いブランド執着でなく健康系飲料・原液シロップ販売(フリードリンク設備など)を強化できています。

【AT&T(T)】
●1957年当時のS&P500採用銘柄です。しかも世界一の時価総額を誇っていました。(現在は採用銘柄でないです)
●電話・電報のインフラ会社でして、日本でいえばNTTと同じ立ち位置の会社です(民営化されたとこまでソックリ)
●電話を発明したグラハムベルさんの会社ですが、当時すでに電話は一般的な物だったのでバリュー株でした。
●分社化繰り返しましたが、この50年間リターンは11%で、市場平均10.85%を上回っていました。

【ペプシコーラ(PEP)】
●1957年当時のS&P500採用銘柄です。
●ペプシコーラは勿論のこと、食品系の売上を強化・モデルチェンジに成功しています。

【P&G(PG)】
●1957年当時のS&P500採用銘柄です。
●洗濯洗剤のアリエール、ヘアケアのパンテーン、カミソリのジレット、ブレンダーのBRAUNあたりは当初から存在するクラシカルなものです。

【コルゲート・パルモリーブ(CL)】
●1957年当時のS&P500採用銘柄です。
●日本ではなじみ無いですが、歯磨き粉や歯ブラシ・オーラルケアでは世界一です。昔から存在しつづけています。

【イーライリリー(LLY)】
●1970年からS&P500採用銘柄です。
●1922年に世界初めてのインスリン製剤を発売しました。その後100年間、「インスリンのリリー」であり続けています。
●2015年あたりから分子標的抗がん剤にも進出。順調に伸びてきています。

【メルク&カンパニー(MRK)】
●1957年当時のS&P500採用銘柄です。50年間ずっと連続増配の配当王銘柄です。
●超高額なキイトルーダ®(分子標的抗がん剤)、抜群の安全性と確かな催眠作用のベルソムラ®などが、近年の主力商品です。
●創業当時からずっと主力という商品はありませんが、次々と時代最先端の薬をだしつづけていて「医療用医薬品のメルク」はずっと変わらずです。

【エクソン・モービル(XOM)】
●1957年当時のS&P500採用銘柄です。
●エネルギーの7シスターズは崩壊してしまいましたが、2003年時点でも世界一の時価総額を誇っていた民間企業です。
●近年はエネルギー商社へと脱皮をはかり、クリーンエネルギーを推し進めて成功してきています。
●時代遅れにみえるエネルギー業種ですが、実はエネルギー業種というのは市場平均を上回るリターンを持っています。

【アボット・ラボラトリーズ(ABT)】
●1963年からS&P500採用銘柄です。
●会社としての歴史は1888年創業です。2013年にアッヴィ(ABBV) を分社化しています。
●連続増配45年です。
●薬物溶出ステント、血球数検査機といった崩れにくい売上分野を持っています。薬剤師たちには栄養剤エンシュアが有名です。

これらは1957年当時から今でも当たり前のように存在するブランド・会社名ばかりです。こういう株は真新しさがないので割高になりにくく、でも昔から存在する安心性から売れ続けていき、結果的にリターンが良くなるのです。

参考にした本(引用元)

【この本で学べる事】
●「株式の中で、最大限のリターンを出す法則」がこれでもかと書かれています。
●この本の法則を知れば本当に投資すべき会社・分野がわかります。一時の感情論・一般論ではなくありとあらゆる統計・比較によって導き出されています。
●どうして今をときめくハイテク株に投資すべきではないか。逆に昔から存在する株を長期保有するとどれだけ素晴らしいのか。意外な事実もわかります。そこは「株の割高性」から説明されています。
●経済の切り口から、思わぬ雑学も身につきます。紙の発明と文明水準。紙を失って衰退した中国と紙を得て発展したヨーロッパの話。

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