【一般消費財】テスラ(TSLA)個別株分析(21年04月)

その他個別株

世界1の時価総額をほこる自動車会社・テスラ(銘柄ティッカー:TSLA)について。

トヨタですら時価総額は200Billion USDですのでその3.5倍です。しかし売上高・営業利益がトヨタの3.5倍かというと、そうではないんです。

●株(ファンド)の概要~そもそも何してるところ?

 >セクター11分類・細かな業種・ディフェンシブor中間or景気敏感

GICSのセクター11分類でいえば「一般消費財」とされています。ふつう一般消費財といえば景気敏感株(=シクリカル株)ですが、テスラは特殊です。現在の位置づけはハイテク企業のような扱いで、値動きもハイテク企業みたいです。

 >主要な個別製品の説明

・・・と行きたいところですが、テスラは個々の商品よりも「電気自動車情勢とテスラ(TELA)の立ち位置」を説明した方が本質的に理解できると思います。

順位メーカー名拠点国販売台数2019年順位順位変化
1テスラアメリカ3527921
2フォルクスワーゲンドイツ1382906
3比亜迪自動車販売(BYD)中国1262432
4BMWドイツ1169635
5メルセデス・ベンツドイツ8962425
6上汽通用五菱汽車(SGMW)中国85692初登場
7ルノーフランス8310113
8ボルボスウェーデン8015916
9アウディドイツ7943021
10現代韓国729699
11起亜韓国6912111
12上海汽車集団(SAIC)中国674264
13プジョーフランス51495初登場
14日産日本471107
15広州汽車集団(GAC)中国4698715
16トヨタ日本3820010
17ポルシェドイツ3318530
18長城汽車(GW)中国3298917
19上海蔚来汽車(NIO)中国3155328
20フォードアメリカ3118833
EV SMARTより引用

電気自動車ではたしかにトップです。

企業名売上高(Million USD)利益(Million USD)
フォルクスワーゲンドイツ222,90010,600
トヨタ日本277,12923,654
GM米国122,4856,634
現代自動車韓国93,2942,151
フォード米国127,144ー1,116
ホンダ日本142,2227,722
テスラ米国31,5401,994

さぞかし売上凄いんだろう・・・と思いきや、この通りトヨタの実の1/9です。あの時価総額は、全ては期待値のなせる業です。

●株主への還元姿勢

 >配当金・一株利益の推移は?

無配企業です。グロース株によくある事です。

利益がほとんど出ていません。現在無配を貫いていて、還元せず事業拡大・開発費に使っている状態です。これはグロース株にはありがちな事でして、AmazonやGoogleも現在無配、appleも配当しはじめたのはこの数年でしかも利回り低いです。


現地源泉税率
国別源泉税率税引後受取率
米国株10%71.72%
英国株0%79.69%
オーストラリア株0%79.69%
インド株0%79.69%
メキシコ株0%79.69%
カナダ株15%67.73%
ロシア株15%67.73%
アイルランド株20%63.75%
台湾株21%62.95%
デンマーク株27%58.17%
ベルギー株30%55.78%
スイス株35%51.80%

テスラ(TSLA)に配当期待するかたはいないと思いますが、念のため配当税率を載せます。

 >株数推移は(自社株買いによる減)

配当金は無配でしたが、自社株買いもゼロです。株主還元とは無縁の会社のようです。

●将来性

 >売上成長率は?

実は株価暴騰は2020年に起こったことだと解ります。営業利益がそれほど伸びていないこともわかるはずです。株価はみんなが欲しがれば上がるモノですからね。

テスラ(TSLA)株価 

このチャートみて解る事は、S&P500への採用で株価高騰したことです。2020年11月に採用決定となり、株価はその後ぐんぐん伸びていきました。採用初日である12月21日には、株価700でスタートし、1日で株価を7%も下げました。

じつはココにもシーゲル博士の理論で説明がつきます。

【シーゲル理論で説明するテスラ株の乱高下】
●S&P500に新規採用された株は、採用決定で期待値が高まって高騰する➡2020年11月の高騰を説明できる
●S&P500に採用された初日に、創業家が高値で売り抜けることも少なくない➡2020年12月21日の6%下落を説明できる
※「株式投資の未来(ジェレミーシーゲル著)」の第2部「過大評価される成長株」より

 > 近年のトータルリターンは?(2001~2020年)

The・テンバガー株。とても夢の有る買い物だったとわかります。このリターンの伸びはすべてが株価上昇によるものなのです。運よく掴んでおけば130倍リターンを手に出来ていたのですが、狙ってできる事ではありません。

 >利益率は?

売上にくらべて利益がほとんど出ていない事がわかります。売り上げの伸び方はたしかに凄いですがね。その利益率も政府の用意した補助金に頼っていて、補助金がないと赤字という状態です。

 >財政健全性は?

財政のほうは案外よくて、DEレシオ0.5強です。流動比率も180%と高く、支払いできずいきなり倒産、という事は少なそうですね。

※一番右下にみえるのが最新版のDEレシオです。

 >割安性は?現在の株価は?

●総括(投資家の目線で)

私が決して投資しない銘柄の代表例です。

電気自動車というビジネスモデルはこれからの時代に即しているし、自動操縦技術もカッコイイと感じさせるものです。でもイメージと期待値が先行しすぎていて、それがあの冗談みたいに高いPER917をつけています。私個人的にはPER30超えの時点でどんな銘柄でも切ってしまうし、セクターも3セクター(ヘルスケア・生活必需品・エネルギー)に属していない時点でも投資対象にしません。高配当でもないので、「高配当戦略(ダウの犬戦略)」で拾う事もありません。

それだけではなく電気自動車というのが案外参入障壁低いモデルなので、危険に感じます。世界では日産(ヨーロッパで)・フォード(アメリカで)が強いし、あのトヨタも盤石にして電気自動車に参入してきます。販売規模が一桁以上劣るこの会社に太刀打ちできるのでしょうか。

〇参考にしたサイト

https://tesla-cdn.thron.com/static/9QDEHY_2019-tesla-inc-press-release-annual-report_JGVR0P.pdf

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