【高値掴み注意】S&P５００指数、割高の犯人とそれを避ける買い方は？

現在(２０２１年５月１日時点)あまりにも高騰しているS&P500指数です。どこまで高騰しているのか、色々調べてみましょう。

S&P５００指数が割高？？

S&P500指数の上がり方を見ると、あまりにも伸び方が急だと思いませんか？これまで右肩上がりだったＳ＆Ｐ５００ですが、２０２０年になり更に急に伸びています。コロナの底だった２２２８ＵＳＤと比べても、倍近い数値になってしまいました、たったの１年で！

でも経済が実際に成長しているのなら、割高じゃないって事になります。経済成長を見る為に、こんどは割高性を見ましょう。

割高性の指標として、PERに注目しましょう。現在２０２１年５月１日の実績PER３９．７６倍は、あまりに高い水準です。かなり割高になっています。

PERは株価÷一株利益なので、利益がでていないのに株価ばかり吊り上がると、PERは跳ね上がる事になります。現在は過去１０年に有り得ない位の高水準、それが実績PER３９．７６倍なのです。

実績PERでなく、予想PERの推移です。下記の通り、この１０年の平均は１６、５年平均は１８でしたからね。これは予想PERなのですが。

どうして現在の市場平均自体が割高なのか？

でも疑問が湧きますよね。どうして現在のＳ＆Ｐ５００指数が割高すぎるのか？

それは一部の大企業が割高となっていて、それらが割高になっている可能性があります。

そもそもS&P５００指数というのは、だいたい米国の時価総額上位５００社です(実際は時価総額ベスト５００くらいで、基準をみたしたものだけです)。そして選ばれし５００銘柄(現在は５０５銘柄)の、時価総額に比例して合計されています。

例えばはTOPはもちろん時価総額世界一のＡｐｐｌｅで、じつに６％を占めます。GAFAMを合計すると２１％をも占めています。もしもこれらGAFAMが割高だったなら、それだけでかなりS&P５００の割高性を跳ね上げてしまいます。

※なぜGAFAMだけで２１%越なのか、下記の構成割合を参照下さい。

現在のS&P500指数の構成割合(２０２１年５月現在)

こちらが全てとなります。

【下記構成割合データの元】
●構成銘柄リスト・割合➡➡Slickcharts
●構成銘柄のセクター➡➡英語版Wikipedia
から取得しました(上記リンクに、２０２１年5月１日アクセスしたときのデータ)

上位企業の割高性は・・？

上位企業であるGAFAM・テスラはPERが凄く高まっています。

#	Company	Symbol	Weight	Price	Sector	PER
1	Apple Inc.	AAPL	5.910605	131.52	Information Technology	29.55
2	Microsoft Corporation	MSFT	5.34397	252.20	Information Technology	34.37
3	Amazon.com Inc.	AMZN	4.169166	3,467.48	Consumer Discretionary	65.97
4	Facebook Inc. Class A	FB	2.224082	324.65	Communication Services	27.84
5	Alphabet Inc. Class A	GOOGL	2.01915	2,355.00	Communication Services	31.36
6	Alphabet Inc. Class C	GOOG	1.965323	2,412.75	Communication Services	32.12
7	Berkshire Hathaway Inc. Class B	BRK.B	1.485208	274.95	Financials	15.47
8	Tesla Inc	TSLA	1.458706	710.00	Consumer Discretionary	710.86
9	JPMorgan Chase & Co.	JPM	1.328814	153.59	Financials	12.20
10	Johnson & Johnson	JNJ	1.21115	163.00	Health Care	28.75

PERがどれも凄い事になってます。管理人が「割高の犯人」と疑っていたGAFAM/TESLAですがどれもPER２７超えです。とくにテスラ(TSLA)は目を疑う７１０です！明らかにS&P500平均の２２は、これらが押し上げていると考えられます。

PERが高い＝将来の売上成長を見越してすでに株価が高くなっているという事です。つまり売上成長が相応にないといけませんよね。とくにテスラは他の主要自動車メーカの合計より高い時価総額になっていて、実際PER710と超高水準でして、相当将来への期待が織り込まれています。PERがかりに２０だとすると、今の株価は１/３５とならないといけません。若しくは利益額が３５倍にふえないといけない。でも利益３５倍なんて、それだけ競合他社からシェアを奪っても達成できるとは思えません(他の自動車メーカーの合計利益よりも高くなるからです)。いくら太陽光パネル販売でも成功してると言っても、競合も多いのでこのまま伸びる保証はありません。

GAFAMやテスラなどのグロース株はPER高くてもいいのでは？
　＞　よくありません。シーゲル博士が検証したデータだと、グロース株と目され急成長してきたIBMは、低成長だったがPER割安だったスタンダードオイル社にリターンで負けています。そのほかにもPERの高さでリターン比較すると、低PER株＞市場平均＞高PER株だったことも解っています。
　＞　グロース株といえども、PERは高くてもいいわけではないです。

GAFAM・テスラのようなグロース株が非常識に割高(高PER)で、しかも高PER株はグロース株といえどもリターンをもたらさない。そうすると、GAFAM・テスラのようなグロース株を含まない買い方をした方がいい、という事になります。じゃあGAFAM・テスラを含まない指数やETFはあるのか・・・沢山ありますよ！

【高値掴みしない】GAFAM・テスラを含まないETF商品

GAFAM・テスラというのは「低配当か無配」「連続増配が短く１０年未満(マイクロソフトのみ１９年)」「セクターがヘルスケア・生活必需品・エネルギーに存在しない」という特徴があります。こういう特徴をもつETF銘柄をリストアップします。これだと比較的、高値掴みしにくいのではないでしょうか？

HDV：米国の高配当株指数に連動したETF

・・・高配当でないGAFAM・テスラは入れない。セクターも将来有望とされるエネルギー・生活必需品・ヘルスケアのウエイトがかなり大きくなる。エクソン・AT&T、シェブロンはPERが出ていないが赤字だった為。株価はかなり低迷していて、でも５％超えの高配当なのでかなりの割安株となっているのです。

#	Company	Symbol	Weight	Price	Sector	PER
1	Exxon Mobil Corp	XOM	11.82%	57.24	Energy	–
2	AT&T Inc	T	8.31%	31.44	Communication Services	–
3	Johnson & Johnson	JNJ	6.96%	162.73	Health Care	28.75
4	Chevron Corp	CVX	6.95%	103.07	Energy	–
5	Verizon Communications Inc	VZ	5.91%	57.79	Communication Services	12.67
6	Procter & Gamble Co	PG	4.51%	133.42	Consumer Staples	24.53
7	Pfizer Inc	PFE	4.28%	38.65	Health Care	22.64
8	Cisco Systems Inc	CSCO	3.87%	50.91	Information Technology	21.3
9	Coca-Cola Co	KO	3.68%	53.98	Consumer Staples	32.32
10	Merck & Co Inc	MRK	3.40%	74.5	Health Care	26.91

VIG：米国株で連続増配１０年以上の株式に連動したETF

・・・連続増配の短いGAFA・テスラは入れない(マイクロソフトのみ１９年なので入る)。GAFA/テスラ抜きでもPERは高めで、現在は割高で手出し無用と思います。

#	Company	Symbol	Weight	Price	Sector	PER
1	JPMorgan Chase & Co	JPM	3.92%	153.81	Financials	12.2
2	Johnson & Johnson	JNJ	3.86%	162.73	Health Care	28.75
3	Microsoft Corp	MSFT	3.84%	252.18	Information Technology	34.37
4	Walmart Inc	WMT	3.43%	139.91	Consumer Staples	29.45
5	UnitedHealth Group Inc	UNH	3.15%	398.8	Health Care	22.67
6	Visa Inc Class A	V	3.07%	233.56	Information Technology	48.28
7	Procter & Gamble Co	PG	2.98%	133.42	Consumer Staples	24.53
8	The Home Depot Inc	HD	2.94%	323.67	Consumer Discretionary	27.11
9	Comcast Corp Class A	CMCSA	2.21%	56.15	Communication Services	22.19
10	Coca-Cola Co	KO	2.03%	53.98	Consumer Staples	32.32

VHT：ヘルスケア指数に連動したETF

・・・ヘルスケアセクターにGAFAM・テスラは存在しない。でも他の銘柄もことごとく割高化しています。いくらリターン最良のヘルスケアセクタといえども、高すぎます。今買うにはオススメしません。

#	Company	Symbol	Weight	Price	Sector	PER
1	Johnson & Johnson	JNJ	8.01%	162.73	Health Care	28.75
2	UnitedHealth Group Inc	UNH	6.54%	398.8	Health Care	22.67
3	Abbott Laboratories	ABT	3.93%	120.08	Health Care	37.62
4	Pfizer Inc	PFE	3.73%	38.65	Health Care	22.64
5	Merck & Co Inc	MRK	3.61%	74.5	Health Care	26.91
6	AbbVie Inc	ABBV	3.54%	111.5	Health Care	38.28
7	Thermo Fisher Scientific Inc	TMO	3.35%	470.23	Health Care	29.46
8	Eli Lilly and Co	LLY	2.98%	182.77	Health Care	27.36
9	Medtronic PLC	MDT	2.94%	131.5	Health Care	57.95
10	Amgen Inc	AMGN	2.68%	239.64	Health Care	19.85

VDC：生活必需品指数に連動したETF

・・・生活必需品セクターにGAFAM・テスラは存在しない

しかしコロナ禍で売上減・EPS減したのかPERはどれも高めです。まともに低いのはたばこ株のPM、MOだけです。だったらたばこ株単品買いした方が高値掴みしないよって話です。いまETFで買う価値は無いように思います。

#	Company	Symbol	Weight	Price	Sector	PER
1	Procter & Gamble Co	PG	14.16%	132.51	Consumer Staples	24.53
2	Coca-Cola Co	KO	8.88%	54.26	Consumer Staples	32.32
3	PepsiCo Inc	PEP	8.02%	143.94	Consumer Staples	26.69
4	Walmart Inc	WMT	7.95%	139.91	Consumer Staples	29.45
5	Costco Wholesale Corp	COST	5.65%	373.54	Consumer Staples	38.05
6	Philip Morris International Inc	PM	4.51%	95.09	Consumer Staples	17.15
7	Altria Group Inc	MO	3.98%	47.75	Consumer Staples	20.48
8	Mondelez International Inc Class A	MDLZ	3.80%	60.91	Consumer Staples	23.03
9	The Estee Lauder Companies Inc Class A	EL	2.93%	316.75	Consumer Staples	124.18
10	Colgate-Palmolive Co	CL	2.92%	79.82	Consumer Staples	25.95

VDE：エネルギー指数に連動したETF

・・・エネルギーセクターにGAFAM・テスラは存在しない。コロナショックでの人の移動激減で、原油安を喰らって現在大幅な株安になっています。PERは一株利益がマイナスだったり、まともな数字ではないので算出できないところがほとんど。しかし現在どこも高配当株化しているうえ、株価も近年にないくらいの安値をつけています。みんなが悲観して売っている分、安くかえるチャンスでもあります。

#	Company	Symbol	Weight	Price	Sector	PER
1	Exxon Mobil Corp	XOM	21.92%	57.24	Energy	–
2	Chevron Corp	CVX	18.69%	103.07	Energy	–
3	ConocoPhillips	COP	5.83%	53.13	Energy	–
4	EOG Resources Inc	EOG	3.94%	75.93	Energy	–
5	Schlumberger Ltd	SLB	3.38%	27.05	Energy	–
6	Phillips 66	PSX	3.34%	81.12	Energy	–
7	Marathon Petroleum Corp	MPC	3.27%	56.04	Energy	–
8	Kinder Morgan Inc Class P	KMI	3.16%	17.29	Energy	21.23
9	Pioneer Natural Resources Co	PXD	3.10%	153.83	Energy	-1.21
10	Valero Energy Corp	VLO	2.75%	73.96	Energy	-0.69

逆に・・GAFAM/テスラなどのグロース株に投資するなら

QQQ・・・ナスダック１００指数に連動したETF。

ナスダック１００指数＝ハイテク株の割合がS&P５００以上に高い指数です。GAFAM/テスラの割合はなんと４５％超です(S&P500は２１%)。それ以外にもBaidu,Alibaba,Verizon Communications,などといった名だたるハイテク銘柄ばかりが並びます。ハイテクばかりなのでやはりといいますか、PERの高いグロース株ばかりです。

#	Company	Symbol	Weight	Price	Sector	PER
1	Apple Inc	AAPL	11.149	131.52	Information Technology	29.55
2	Microsoft Corp	MSFT	9.608	252.20	Information Technology	34.37
3	Amazon.com Inc	AMZN	8.821	3,467.48	Consumer Discretionary	65.97
4	Tesla Inc	TSLA	4.257	710.00	Consumer Discretionary	710.86
5	Alphabet Inc	GOOG	3.988	2,412.75	Communication Services	31.36
6	Facebook Inc	FB	3.95	324.65	Communication Services	27.84
7	Alphabet Inc	GOOGL	3.576	2,355.00	Communication Services	32.12
8	NVIDIA Corp	NVDA	2.861	600.07	Information Technology
9	PayPal Holdings Inc	PYPL	2.361	263.01	Information Technology
10	Comcast Corp	CMCSA	1.973	56.17	Communication Services

・・・何度も言いますが上位企業のPERはまともじゃない数値なので、長期投資(バイ＆ホールド)を勧める管理人は、オススメしていません。

管理人の行動例

●クレカ積立で月５００００円ずつ買っていたS&P500投資信託(eMaxis Slim 米国株式S&P500)を、積立解除しました。

　➡S＆P５００のPERが１８を切ったら(≒指数が３２００位まで落ちたら)、また積立開始する予定です。

●買っていい株は悲観売されているVDE、メンソールタバコ禁止で割安になったたばこ株、割安化している製薬株いくつかのみとしました。

　※製薬株の選び方は、こちらを参照ください。

【セクター戦略】製薬会社のランキング・一覧と将来性(管理人独断・2021年4月)

２０２０年末時点の各社パラメータ 順位社名ティッカー国売上PER配当利回り連続増配利益率1ノバルティスNVSスイス48,65924.823.5%20.3%2ロシュRHHBYスイス47,48019.332.7%30.7%3ジョンソン＆ジョンソ...

chaskememo.com

2021.04.29

●最近給与振り込み＞＞投資額となっているので、現金保有額がふえています。これは「金融引き締め・利上げ」と聞いた時、すばやく割安化した株を買う為です。