僕の保有するAbbvie(ABBV)について。僕の本職は病院薬剤師の為、こういう製薬企業の事は一般投資家よりも肌でわかります。
【株の概要】
セクター16分類でいうと「HealthCare」ですね。
この会社の特徴は、売上が100%医療用医薬品に特化していることです。その為後述する売上内訳は、みんな医薬品名になっています。それもそのはず、アッヴィは2003年にアボットの医療用医薬品部門のみを分社化したからです。
【銘柄の財政】
楽天証券のHPより、抜粋しています。
項目 | 目標 | この銘柄では・・・ |
PBR | 0.5~1.5 | ー |
売上高営業利益率 | 10%~ | 39.03% |
自己資本比率 | 50%~ | ー |
流動比率 | 150%~ | 317.74% |
売上高変化率 | 右肩上がり | 右肩上がり |
流動比率が高く、製薬業界でも断トツの数値です。利益率のよさは、販売薬多くが高価で、自前の開発しているからです。時代に即した戦略なのか、売上高も上昇傾向です。5年の年率で10%ずつも伸びています。
【事業内容・将来性】
アッヴィ(ABBV)の売上割合
今もなお、ヒュミラ依存であります。ヒュミラ依存が激しいため、もう少しヒュミラについて書きます。
①ヒュミラ依存
2018年までの成長は、ヒュミラの伸びに賄われてきました。でも2019年はヒュミラ売上は伸びず、他が伸びているのが解ります。ちなみにヒュミラ率は2016年が62%、2019年は59.7%と、投資家にとっては朗報ですね。ヒュミラの伸びはもう期待できませんが(特許切れの為)、ほかの成長薬剤があります。
②ヒュミラ以外の成長薬剤について
Humira | Skyrizi | Rinvoq | Imbruvica | Venclexta | Mavyret | Viekira | |
2019 | 19169 | 355 | 47 | 4674 | 792 | 2893 | 36 |
2018 | 19936 | ー | ー | 3590 | 344 | 3438 | 178 |
2017 | 18427 | ー | ー | 2573 | ー | ー | ー |
2016 | 16078 | ー | ー | 1832 | ー | ー | ー |
2015 | 14012 | ー | ー | 754 | ー | ー | ー |
2019年終了時点での、各医薬品の売りあげです。次々と新薬登場しているのがお分かりかと思います。
Skyrigi➡スキリージ皮下注。尋常性乾癬に対する分子標的薬剤です。これまで尋常性乾癬といえば治癒せず、強い免疫抑制剤(副作用の強い薬)の連続投与でなんとか抑える感じでした。多少高価でも、免疫抑制がないだけでじゅうぶん価値はあります。
Venclexta➡慢性リンパ性白血病の分子標的薬剤です。適応が「慢性リンパ白血病」に限られるなかで売り上げを伸ばしています。適応拡大となれば、7年前のオプジーポの様に大成長をとげる可能性もあります。
Imbruvica➡リンパ腫・白血病の分子標的薬剤です。血液系のがんといえば、がんの中でも抗がん剤が効きやすいタイプですね。現時点では特許の心配もないです。(日本未発売)
Mavyret➡C型肝炎の経口薬です。C肝ウイルスの全てのジェノタイプ(GT1~GT6)に有効という、破壊力があります。そのためギリアド(GILD)のハーボニー・ソバルディは安くない限り駆逐されてしまうのでは、と考えています(だからハーボニー依存のギリアドの株に手を出せないんです)。ただしC型肝炎は先進国では、殆ど新規発生がありません。血液製剤が徹底管理されているからですね。治癒した場合、もう二度と使われない薬ですので、一度患者数がへれば回復しないでしょう。
研究型のバイオ製薬企業を謳う通り、次々と治験・分子標的の新薬発売をしている会社です。日本企業はランク上位の新薬を殆ど出せていないので、見習ってほしいものです。
アッヴィ(ABBV)の国別売上
今でも売上ほとんどを、アメリカ国内で挙げています。アメリカ依存が強いのに第8位のメーカーとなっており、米国の規模を印象付けるものですね。
懸念事項
前述の「ヒュミラ依存」が気になります。アフターヒュミラの会社を考えて、買えるかどうかですね。
将来の成長性
ヒュミラの様な分子標的薬剤を、自前で開発・販売できる技術力を持っています。そして分子標的薬剤は、医薬品売上の成長率以上に成長することは分かっています。ヒュミラは特許切れ➡バイオシミラーに置き換わるとされていますが、逆にいえばヒュミラ以外のバイオシミラーを開発する力も持ち合わせています。ヒュミラリスクで過小評価されているが、案外バイオシミラーを作れることで底堅いのじゃないかな、と思っています。
【配当金】
配当貴族(連続増配25~50年)に該当します。参考サイト
アッヴィ(ABBV)の配当金推移 筆者作成 ※2003年以前はアボット時代
2003年1月1日に、アボットからアッヴィが分社化しています。少なくとも1983年からは連続増配ですが、アッヴィになってからは増配ペースが上がっています。2019年など30%超の増配を発表しています。
※連続増配43年というページも見かけますが、僕は根拠あるデータにたどり着けなかったため「少なくとも1983年から増配」と表現しました。
【株価】
【保有数・購入に至る経緯】
2020年5月21日に、単価91.449USD×10株購入しています。10万円分近く保有していることになりますね。僕の基本スタンスは「個別株よりインデックス投資信託」ですが、過小評価だと考えて、例外的に買いました。
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