僕の保有検討するギリアド・サイエンシズ(GILD)について、分析します。
【株の概要】
セクター16分類でいうと「Health Care」ですね。
独自の強み・ブランド力
抗ウイルス薬に特化していることです。
【銘柄の財政】
楽天証券のHPから、抜粋しています。
項目 | 目標 | この銘柄では・・・ |
PBR | 0.5~1.5 | 4.31倍 |
売上高営業利益率 | 10%~ | 19.10% |
自己資本比率 | 50%~ | 36.55% |
流動比率 | 150%~ | 310.44% |
売上高変化率 | 右肩上がり | -2.04%/年ずつ衰退(5年) |
売上が2017~2019年に二けた減だったため、売上高変化率はマイナスです。営業利益率も製薬株にしては低いです。ですが流動比率はダントツの310%で、案外支払い能力が高いです。
【事業内容・将来性】
ギリアド・サイエンシズ(GILD)の売上割合
なんと、ほぼ100%が抗ウイルス薬という特化ぶりです。しかもHIV・HCVともRNAウイルスという共通点まであり、RNAウイルスの薬だけで95%以上をかせぐ会社なのです。他社製薬メーカーは「案外分散できている」と伝えましたが、この会社は例外的です。
内訳はHIV薬+HCV薬+アムビソームその他です。HIVとHCVはどちらも長年、完治が望めない疾患でした。HCVに関しては日本でも「ソバルディ」「ハーボニー」といった1瓶(30日分)で150万円の超高額医薬品を売っていたことは、記憶に新しいと思います。しかし最近これら、見かけませんよね。
薬の内容については、「概要」を参照ください。
ギリアド・サイエンシズ(GILD)の地域別売上
ギリアドの英語版HP(外部リンク)の15から、抜粋しています。アメリカ依存が凄いですね。日本ではソバルディ、ハーボニー、アムビソームを大病院で見かけるくらいなのであまり売上ていません。
ギリアド・サイエンシズ(GILD)の製品別売上
こちら報告書(外部リンク)の15から抜粋しました。
一見分散していて安心のように思えますが、ワナです。だって全部が抗ウイルス薬なんですからね。
しかも2017年報告書に「Harvoni」と書かれていたのに、2019年報告書では成分名「Ledipasvir/Sofosbuvir」と記載されていました。同じくHarvoniと書くと、凋落ぶりがバレるからなんでしょうか?
2015年前後に1瓶(1か月分)150万円で一世を風靡した「ハーボニー」「ソバルディ」は激減しています。
この凋落ぶりは、特許切れではありません。HCV薬に、強力すぎるライバル出現したからです。それは、「マヴィレット」というアッヴィの製品です。
HCV薬凋落の理由;マヴィレット(アッヴィ社)
このマヴィレットはHCVのジェノタイプ1~6全てに有効という、とんでもない薬です。いっぽうギリアドのソバルディはHCVのジェノ1型にインターフェロン併用で、ハーボニーはHCVのジェノ2型に単独で使います。
つまりHCVと解った時点で、マヴィレットであればジェノタイプ検査をすっとばして治療できちゃうんです。この手軽さから、HCV薬はほとんど喰われてしまったのです。
HCV薬凋落の理由;で完治してしまう
完治するということは、一度飲んだら治るということです。それはとても喜ばしいことで、その道を切り拓いたギリアド社はもっと賞賛されるべきだと思っています。
ですが株主としては、同じ人に二度と使わないので、売り上げが落ちてしまうということです。HCV患者さんが減っているという事でもあります。
HIV薬は続伸中
いっぽうでギリアド社は、HIV薬の会社としてアピールしています。それは2019年報告書に「HIV薬の売上」という項目を作り、別枠で取り上げているくらいです。
HIVというのは、今人類を苦しめている疾患です。これは2016年のWHO調査した、疾病負荷のランキングです。
HCV薬を含む肝硬変よりも上位に、HIVがあることが解ります。つまりこれまで救い続けてきたHCVマーケットよりも、大きなマーケットなのです。
伸びているのはビクタルビ配合錠(BIC/FTC/TAF)、デシコビ配合錠(LT/HT)、Odefseyです。他の衰退を打ち消せるくらい伸びてます。ビクタルビは3剤配合で、1錠を1日1回で済むという大変お手軽な治療薬です。このお手軽さと相互作用の少なさがウケていて、続伸中です。(さすがに値段は高めです)
それでもHIV薬は、それでも完治が望めない疾患です。これから完治する薬が発売されるとなれば、凄い衝撃が予想されます。
懸念事項
HCV薬に関しては、多くを望めません。HIV薬がどれだけ伸びて、どれだけ多くの人を救えるかがカギになります。
将来の成長性
売上は落ち目です。少し盛り返したのは、HIV薬が売れているからでしょう。
【配当金】
連続増配は2015年から続けております。会社としての歴史が新しく、連続増配は短めです。
ギリアド・サイエンシズ(GILD)の配当金推移 筆者作成
ちなみに2020年6月の1株利益は4.24USD、1株配当は2.52USDです。株価の割に配当金は多いうえ(=配当利回りが高め)、まだまだ配当に余力があります。しかし主力の「ソバルディ」「ハーボニー」に強力すぎるライバル「マヴィレット」が登場し(むしろ上位変換とすら言えます)、危うい気がします。
【株価】
終わった会社だろうと見放され、株価は割安です。配当利回りも高めで3.5%あります。しかし以外と財政は良く、HIV薬で当たりだしたという好材料もあります。HCV薬としてはもう期待できないので、HIV薬の将来性に賭けて買う株となります。
【保有数・購入に至る経緯】
保有検討していますが、手放しに欲しいとも思いません。ギャンブルだからです。
ギリアドを記事にしたのは欲しいからというより、特化型の売上分散していない会社は危険で、強力なライバルがでたら終わり。だから分散させなさい、という例で挙げさせていただきました。まるでジェットコースターのような業績変化をしており、「安定した製薬株」のイメージとは違います。
それでも製薬業界全体は大幅に伸びているセクターです。製薬全体に分散させ、その一つにギリアドを組み込むならアリだと思っています。(こういう会社の単独保有はギャンブルだと思います)いまは期待されず見放されていますが、あの革新的なハーボニーを送り出せた会社ですから化ける可能性だってありますからね。
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