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株式で長期投資(バイ&ホールド)したいのですが、どれがホント・どれがでたらめな情報(知識)なのか解りません。正しい知識・情報を教えてほしいです。
【この記事を書く管理人について】
●現役病院薬剤師。ヘルスケア株の生の情報を日常的に仕入れられる
●投資方法は現物の株のみ。それもバイ&ホールドのみ。
〇信用取引・FX・債券(ボンド)・貴金属には一切投資しない。損切せずただ機械的に買うのみのスタンス。
●投資歴10年(昔は貴金属のみやってた、株式は2019年~)、資産額1300万円程度、含み益+150万円程度
●2020年のリターンは+15%程度
こんな管理人が、解説いたします。
株式投資の誤った知識~損切ルール
株の長期投資する上で、損切ルールは基本的に不要です。とくに連続増配している高配当株を損切してはいけません。
なぜなら真のリターンの良い株というのは、値下がり(値下がり中に安価大量に再投資できる)➡値戻しすることで高リターン化する、パターンをとることが多いからです。
※大量取得➡値戻しの流れを、シーゲル博士は「アクセル全開となる」と表現されています。
具体例としてフィリップモリス(PM)の昔の1957~2003年の値動き。1957年~2003年の平均リターンが20%を超えた(!!)、ただ一つの銘柄です。そんなフィリップモリスは20%下がった時期がありました(1993年のマルボロフライデーや、2000年前後のたばこ訴訟地獄です)。普通だったら『たばこ株はこんなにひどい含み損。もうおしまいだ。塩漬けになる前に売ろう』となるはずですよね。(たいていのサイトではー20%で損切ルールなんて書かれていますが)。
・・・しかしこの時配当金は連続増配しており、再投資による大量取得のチャンスでした。(殆どの人はオワコンなたばこ株なんかいらない、と再投資せず。もし皆が再投資したら株安になりません)。そして訴訟地獄がおわってから「実は高収益・好財政だった」とわかり急激な値戻し。そのとき再投資で大量取得できた株がすごく上がって、高リターンとなったのです。そして高リターンを生む銘柄は株価の上昇よりも、「一旦暴落して、配当金再投資で大量取得でき、値戻しするときに凄いリターン」となる例が多いです。
別の具体例として、またしてもフィリップモリス(PM)の、こんどは近年2008~2020年。こんな値動きとトータルリターンでした。
【損切ルールで損をする事例】
●損切ルール有:2018年に売却➡2162USDを受け取る(※実際は売買手数料でもっと下がる)
●損切ルール無:2020年末まで保持➡2924USDの評価額になってる
➡損切で損している!!
うそだと思われる方は、こちらにデータ公開しますので参照下さい。
株価のおちた2018年は、取得できた株数が1.638株と、2017年の取得株数の倍近くなっております。そして値戻しすることで、リターンが伸びる(アクセル全開となる)のです。
※実際は1株未満は買えませんが、計算の為便宜的に書きます。
●株価低下したら、このままつぶれるのでは?やっぱり「損切」したほうが安全では?
> ですが再投資で大量取得➡値戻しで大幅値上がり、のチャンスをつぶす羽目になります。また1社集中投資しないと思うので、分散投資しておけば(2つ下がってもほか8個が大幅値上がりしたりするので)問題は無いでしょう。
●株価低下して、配当金も減配した。損切したほうがいい?
> こういう時は損切してもOKです。再投資にまわせる配当金も減ってしまうからです。
やはり長期投資するなら、損切ルールは基本的に不要知識と考えましょう。連続増配銘柄は損切してはいけません。逆に減配銘柄は、損切も考慮可能です。
株式投資の誤った知識~株・国債・債券・貴金属への分散投資
長期投資するなら、株・国債・債券・貴金属への分散は無用です。
なぜなら、長期でみると「リスクの低さ」「リターンの良さ」とも株が圧倒的優位だからです。
具体例として、シーゲル博士の検証例。株式ピークで高値掴みしてしまった場合さえ、10年後には株がリスク最低・リターン最良になってしまいます。
そして超長期で放置すると、その差はあからさまになります。
さすがに人1代で210年も投資できませんが、例えば30年後の老後を見据えたとき、どれに投資したいでしょうか?リターン最良の株を選びたくなるはずです。
●じゃあ何で分散投資と言われるの?
> 株は短期的にはリスクが高いからです。しかし長期投資(バイ&ホールドする)の時は、「下す必要のない余裕資金」で投資するわけですよね。手を付けなくていい訳ですから時間がたてば、いずれ最低リスク・最高リターン商品と化すんです。
余裕資金で長期投資するなら、株100%でよくほかは不要です。他商品への分散は要らない知識です!
※詳しくはこちら参照
株式投資の誤った知識~セクター11分散
やみくもな11セクター分散は間違った知識です。
なぜなら、11業種では分散する意味がないからです。わざわざ不景気時に大減速するのに、長期リターン(投資成績)の悪い会社に投資しなくていいんですよ(素材セクタなどがそうです)。
じゃあどんなセクター分散がいいのかというと、「ヘルスケア」「生活必需品」「エネルギー」への分散です。たった3セクターしかありませんが歴史的に高リターンだった上、3業種で相関があまり大きくありません。例えば原油高になると他の業種(ヘルスケア・生活必需品も含む)を燃料経費増で圧迫しますが、エネルギー業種だけは売上増で追い風となりますよね。
そして、業種ごとの歴史上のリターンはこの通り。
セクター | 1957~2003年の 平均リターン(年%) |
ヘルスケア | 14.19 |
生活必需品 | 13.36 |
情報技術 | 11.39 |
エネルギー | 11.32 |
一般消費財 | 11.09 |
金融 | 10.58 |
資本財 | 10.22 |
電気通信 | 9.63 |
公共事業 | 9.52 |
素材 | 8.18 |
業種平均 | 10.85 |
●なぜ情報技術セクター(ハイテク株)がないのか?
> たしかに近年は成長率ナンバーワンでした。しかしPERがどんどん上昇しています。これが続くはずもなく、一時的な成長率である可能性が高いです。
歴史を検証すると、やみくもな11セクター分散は無意味で、「ヘルスケア」「生活必需品」「エネルギー」の3分散が安全かつ高リターンと考えられます。
※詳しくはこちらを参照
株式投資の誤った知識~新興企業(グロース株)への投資
いま流行の会社・グロース株は投資先としてオススメできません。
なぜならPERが高い=稼ぐ力に対して、株価が高い状態。つまり割高なんです。じゃあ割高なのかというとすでに期待が織り込まれ、高騰しているためです。
グロース株の極端な例を挙げます。2000年のNETJ.comという完全なるバブル会社(笑)も存在しました。
NETJ・ドットコム、完全なバブル会社
21世紀の幕開けを迎えた米国~(中略)~インターネットと呼ばれる新たな通信媒体が登場し、話題をさらっている。数十億の世界の潜在顧客にただ同然のコストでアクセスできると期待が膨れ上がっていた。
~(中略)~NETJ・ドットコムという企業の株が活発に取引されていた。
~(中略)~さて、NETJ・ドットコムとは、なにをする会社だろう?~(中略)~『当社は現在、実質的な事業をなにも行っておらず、創業以来、事業から収入を得ていない』
~(中略)~(NETJ・ドットコムは)累計で13万2671ドルの損失を抱え、将来収入を得るめどはなく、当然ながら利益を出して配当を支払える見込みはなかった。このNETJ・ドットコムに、なぜ約2500万ドルの市場価値がつくのか?同社の値打ちは、投資家の頭の中では、すでに営業を開始し、上場を果たしているという事実にあった。
株式投資の未来(ジェレミー・シーゲル著)第2部第6章より抜粋
~(中略)~2004年4月現在、時価総額は9万8000ドルだ。ピーク時に比べて(時価総額8000万ドルをこえた瞬間があった)99.8%を失った。
こんな会社に騙されるわけない、と思うかもしれません。これは極論ですが、ほんの20年前の出来事です。会社名にドットコムとつくだけで超高値がついた、「ITバブル(別名ドットコムバブル)」のお話です。いまでも「電気自動車」「クラウド○○」ってキーワードだけで超高値がつく銘柄が思い当たるはずです。でも事業内容・売上規模だとか、売上内訳とかをご存じでしょうか?そしてバブルがはじけたらどうなるかも。
現在のハイテクIT企業は近年リターンがよい。が、全てPERが高騰しています。
グロース株は負けるリスクのほうが大きく、オススメできない投資先です。
※詳しくはこちら
この文章のくだり~参考にした本~
今回の「誤った知識」は、すべてこの本の中で書かれております。
株式投資の正しい知識
逆に正しい知識として、いろいろな「○○戦略」が存在します。「○○戦略」というのはシーゲル博士の言葉(の日本語訳)でして、これは「市場平均に勝ってきた法則の数々」「国際的な資産分散」を指しています。「○○戦略」は、ざっとこれだけあります。
【市場平均に勝つための○○戦略】
●高配当戦略(銘柄リスト):高配当株はおしなべて、リターンが市場平均より高い。
●バリュー戦略(銘柄リスト):バリュエーションの安い銘柄は、リターンが市場平均より高い
●セクター戦略(銘柄リスト):「ヘルスケア」「生活必需品」「エネルギー」業種は、リターンが市場平均より高い。この3種に分散投資することで、エネルギー高でのリターン減速をカバーできる
●国際分散戦略:米国株だけでなく、これから存在感を増すであろう(中国・インドなどの)途上国をポートフォリオに加える
➡全てこの”赤本”に載っています。このサイトで管理人自身も(バイアスをかけずに)検証し、近年も正しい事を検証してきました。
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