病院薬剤師って何してんの?#6

影が薄すぎて、絶対ドラマにならなそうだった「薬剤師」、ついにドラマに登場!

でも良くこういわれます。

男性
男性

薬剤師さんって、院外薬局だけじゃね?院内いたっけ?

【持ち込み薬➡院内の採用薬に置き換える?】

薬剤師3.5人の中小病院といえど、薬だけで1000種類以上は採用しています。

それでもカバーしきれないのが、持参薬なんです。持参薬が切れたとき、うちの院内1000種類のどれかで、置き換えないといけません。

<持参薬おきかえパターン:簡単>

●アダラートCR錠20㎎×2錠/朝夕食後
➡院内に同成分のニフェジピンCR錠20㎎があるので、同じだけでOK

●アテレック錠10㎎×1錠/朝食後
➡院内に類似成分のアゼルニジピン錠16㎎があるので、0.5錠/朝食後でOK

※血圧の薬は「血圧」を測定して基準値にすればOK。
 血糖の薬も、「空腹時血糖」を測定して基準値にすればOK。

こういった物は、置き換えカンタン。

 
 
 

薬剤師であればどの成分がどの程度降圧する・血糖降下させるとかは頭に入っています。商品名のカタカタから、うちの病院の採用薬に置き換えられます。

※薬剤師という人種は、薬関連のカタカナにはすごく強いです

しかし、こんなに簡単ばかりではありません。

<持参薬おきかえパターン:難>

●精神科系の薬全般➡同一成分薬でないと無理。
しかし精神科領域で、出回る成分はとても多く、たいてい置き換えられず。

●漢方薬➡同一成分でないと無理。
小病院の採用漢方は少なく、置き換えられない。

精神科の持参薬で、持参が切れたときは苦労します。メンタルは血圧の様に数値で測れないので、カンタンに置き換えられず、(精神科は難しいため)モニタリングもできません。だから

●入院前に、元の病院で多めに処方頂く

●入院後に、元の病院を再診頂く(当院が全額負担で赤字)

●止むをえず、同一成分薬を臨時採用する(もちろん薬剤師業務)

と、陰で地味ながら苦労をしています。

【錠剤飲めません・・】

薬剤師は、あまり患者様家族からはみえない、とても地味な仕事です。

看護師
看護師

△△さん、錠剤が飲み込めなくなりました。粉砕してください。

ちゃすけ
ちゃすけ

フロモックス100㎎錠®(抗生剤)は粉砕できるけど。

デパケン錠100㎎®?これは粉砕できないよ~

看護師
看護師

デパケンどうするんですか?で飲まないとてんかん起こしますよ

ちゃすけ
ちゃすけ

徐放性の粉薬に、替えてもらうんだよ。セレニカR顆粒40%®があるから。●●先生に変更依頼するわ。

こういう感じです。「粉砕してください」と言っても、デパケン錠のような徐放錠を粉砕すると、イッキに吸収されて危険。だから粉砕ではなく、徐放性の顆粒に変えてもらうのです。

僕の考えです。本当は「●●先生に変更依頼する」のじゃなく、「薬剤師がセレニカR顆粒®に変えて、あとで●●先生に承認してもらう」ほうが早くてラクなのでは、と思ています。

【食後の薬?食事していないけど・・】

このパターン、まれに出くわします。食欲がなくて、食べれないけど食前・食後の内服薬がある。

こういうときは、皆さんどうしますか?

ちゃすけ
ちゃすけ

基本的には「食事たべた物として、そのまま飲む」。

ちゃすけ
ちゃすけ

基本から外れる、例外的な薬を覚えておきましょう。以下が例です。

<例外の薬>

①経口血糖降下薬(ミグリトール、ボグリボースなど)

②食事と一緒にしか吸収しない(イコサペント酸エチル、トコフェロールニコチン酸エステルなど)

③吸収阻害剤

 ●エゼチミブ錠➡食事の脂質吸収阻害➡食べないなら無意味

 ●クレメジン➡食事中の尿毒症毒素の吸収阻害➡食べないなら無意味

 

ちょっとパターン違いますが。食前・食後あまり関係ない薬もあります。基本的にはあまり関係ありませんので、例をあげます。

<食前・食後が関係ない薬の例>

①漢方薬(添付文書には食前とあるが、べつに食後のんでも有効成分(アルカロイドなど)の吸収は影響しない)

②添付文書に「1日1回」とだけあり、食前食後の注釈がない薬
※1日2回、1日3回でも同じ

<食前・食後変えても支障のない薬(Drには了承得て!)>

①1日1回タイプの持続型の降圧剤全て(アムロジピン、ニフェジピン等)

②1日1回タイプの脂質異常症治療薬全て(ピタバスタチン、ロスバスタチン等)

③抗生物質全般

 

【ロキソニン飲ませてよ!】@調剤薬局

ロキソニン錠®といば、よく効いて安い、鎮痛剤の代表ですよね。OTCでも販売されているし、CMもいっぱいだから知名度高く、よく言われます。

男性
患者さん

頭痛いんだ。ロキソニンよく効くらしいやないか。出してよ

でも意地悪なようで申し訳ないですが、ロキソニンはカンタンには出せません。使える人を結構選ぶ薬なのです。

<ロキソプロフェン錠60㎎が使えない人>

●消化性潰瘍を起こしている人

●NSAIDsで喘息起こしたことある人
 ※アスピリン喘息って名前は嫌いです。アスピリン以外の原因物質でもアスピリン喘息だなんて・・

●腎機能eGFRが30未満の人

●肝機能障害が重篤な人(どこから重篤なのかあやふやですが・・・)

●妊娠中、授乳中

・・・お手軽な薬のようでいて、医師・薬剤師はこれだけ確認しないといけません。

確認作業のため、調剤薬局さんは結構苦労されています。

医師
保険薬局
薬剤師

(ん、△△さん、クレメジンとフロセミドも飲んでるぞ。

腎機能悪いはずだ。それなのにロキソニン処方されてる)

医師
保険薬局
薬剤師

△△さん、鎮痛剤は不適切かもしれません。医師に確認しないと、薬出せないのでお待ちください。

男性
△△さん

何だと?病院でも待たせ、薬局でも今まで待たせておいて、更に待たせるのか!

添付文書には「腎機能悪いときは使えない」とあり、規則には「薬剤師は処方内容に疑問があれば、照会せず調剤してはいけない」とあります。文章でかけばこれだけですが、実際はこんなシチュエーションになるのです。人知れず、保険薬局(調剤薬局)さんは苦労されています。

じつは茶助、保険薬局で10年働いておりました。そのため苦労が、よく分かります。病院薬剤師で、保険薬局にいた人間はめったにおらず、ほかの病院薬剤師さんは「なんか解らんけど調剤なんて処方箋通りだすだけで、楽勝だろ」ってトーンで喋られます。そんな事はありません。

いずれ保険薬局時代の、人知れない苦労も、記事にしたいと思っています。

コメント

  1. […] 過去記事はコチラを。 […]

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