S&P500銘柄のうちで、「連続増配10年超株」に連動するETF銘柄の「VIG」について。現時点での最新構成銘柄も記載しました。
そもそもどういうETF銘柄?
VIGの意味は、「米国ディビデンド・アチーバーズ・セレクト指数」に連動させて株・銘柄構成させたETFです。VIGは米国の大型・中型株のうちで、連続増配10年を超える株・銘柄群が選ばれています。
※ちなみに「連続増配」を狙ったETFは少ないです。配当貴族指数連動(S&P500採用かつ連続増配25年)のETFも、探せませんでした。結果的に配当貴族が多くなった銘柄であれば、HDV(モーニングスター社独自基準・基準詳細不明で選んだ高配当銘柄群)が有名です。
構成内容は、ほぼ100%が株です。
※当サイト各所で
長期リターンは株>>長期債券>短期債券>金>現金
リスクも株が最小
とお伝えしているので、株100%投資のETFは強くオススメしています
経費率は現在、0.06%となっております。最も安くて効率的と言われる投資信託eMaxis Slim米国株式(S&P500)の0.0968%よりもさらに安いです。かりに60株=約100万円分もっていたとして、1年で600円の維持コスト、ほとんどタダみたいなもんです。
その構成業種(セクター)は?
VIGセクターは結構偏っていて、S&P500の構成とはずいぶん違います。
これは情報技術セクター等のハイテク株が、VIGからは除外されているからです。ハイテク株は配当なしの企業が多いからです。配当しなくても成長性を見込んでみんなが買ってくれるから、配当する必要ないのです。
主な構成銘柄は?
【構成銘柄表の見方】
●Symbol =ティッカー
●Total Net Assets =構成割合
●Sector =セクター(GICSの業種11分類に基づく)
●Yrs =連続増配年数
●P/E =PER(現在の株価÷一株利益EPS で算出)
●S&P500採用 =現在のS&P500に採用されているかどうか
Company | Symbol | Total Net Assets | GICS Sector | Yrs | Yield | P/E | S&P500採用 |
Microsoft Corp. | MSFT | 4.6% | Information Technology | 19 | 0.9% | 37.6 | S&P500 |
Walmart Inc. | WMT | 3.9% | Consumer Staples | 48 | 1.6% | 29.5 | S&P500 |
Walt Disney Co. | DIS | 3.8% | Communication Services | 0 | ー | ー | S&P500 |
Johnson & Johnson | JNJ | 3.8% | Health Care | 59 | 2.6% | 28.8 | S&P500 |
Visa Inc. Cl A | V | 3.6% | Information Technology | 13 | 0.5% | 53.7 | S&P500 |
UnitedHealth Group Inc. | UNH | 3.5% | Health Care | 11 | 1.3% | 22.7 | S&P500 |
Procter & Gamble Co. | PG | 3.4% | Consumer Staples | 65 | 2.6% | 24.5 | S&P500 |
Home Depot Inc. | HD | 3.1% | Consumer Discretionary | 12 | 2.0% | 27.1 | S&P500 |
Comcast Corp. Cl A | CMCSA | 2.7% | Communication Services | 14 | 1.8% | 24.6 | S&P500 |
Abbott Laboratories | ABT | 2.4% | Health Care | 8 | 1.5% | 37.4 | S&P500 |
Oracle Corp. | ORCL | 2.3% | Information Technology | 13 | 1.7% | 18.1 | S&P500 |
PepsiCo Inc. | PEP | 2.0% | Consumer Staples | 48 | 2.8% | 26.7 | S&P500 |
Nike Inc. Cl B | NKE | 1.9% | Consumer Discretionary | 18 | 0.8% | 62.6 | S&P500 |
Texas Instruments Inc. | TXN | 1.8% | Information Technology | 17 | 2.3% | 30.2 | S&P500 |
Accenture PLC Cl A | ACN | 1.8% | Information Technology | 16 | 1.2% | 34.3 | S&P500 |
Medtronic PLC | MDT | 1.7% | Health Care | 43 | 1.8% | 62.0 | S&P500 |
Qualcomm Inc. | QCOM | 1.7% | Information Technology | 19 | 2.0% | 23.7 | S&P500 |
McDonald’s Corp. | MCD | 1.7% | Consumer Discretionary | 45 | 2.2% | 37.5 | S&P500 |
Costco Wholesale Corp. | COST | 1.6% | Consumer Staples | 18 | 0.8% | 38.0 | S&P500 |
NextEra Energy Inc. | NEE | 1.6% | Utilities | 27 | 2.0% | 35.9 | S&P500 |
Union Pacific Corp. | UNP | 1.6% | Industrials | 14 | 1.7% | 28.7 | S&P500 |
Bristol Myers Squibb Co. | BMY | 1.5% | Health Care | 12 | 3.1% | n/a | S&P500 |
Lowe’s Cos. | LOW | 1.4% | Consumer Discretionary | 58 | 1.2% | 25.4 | S&P500 |
Caterpillar Inc. | CAT | 1.3% | Industrials | 27 | 1.8% | 42.9 | S&P500 |
Raytheon Technologies Corp. | RTX | 1.3% | Industrials | 52 | 2.3% | S&P500 |
企業リストみると特徴があります。
①高配当銘柄が少なく、むしろS&P500平均よりも低く感じます(実際VIGはS&P500よりも低配当です)。HDVやSPYD,VYMといった高配当ETFとはまるっきり構成が違います。連続増配株=高配当株とは限りません。
②連続増配がどれも10年超で、2/3は配当貴族です。しかしDISは連続増配株なの??
・・DIS(ウォルト・ディズニー)は2020年に減配発表しているからなんです。まだ組み換えで除外されていないため残っているのです。
<VIGの配当金>
VIGを構成する個々の株銘柄は、配当貴族(配当チャンピオン)が多いです。
その為、配当チャンピオンリストでみかける株が沢山あります。こちらが現在の配当チャンピオン銘柄リストです。
<VIGの実質PER>
VIGは採用銘柄の実質PERは、意外と高めで平均とそう変わりません。ちなみにS&P500の2021年5月の実質PERは37.7倍と、高めです。
PERの安い・低いはその後のリターンをかなり左右しますので、気を付けてください。こちらにその理由を載せました。
トータルリターン
ではVIGの近年のリターンを検証いたします。
【トータルリターン計算のルール】
●毎年12月1日クローズ時に、配当金を再投資する。
●再投資できる配当金は、税引き後とする(米国なら配当金の内72%を再投資にまわす)
●購入株数は、小数点以下でも購入可能とする(実際は無理だが、正確なリターンを出す為)
●経費率は含まない。※VIGは年0.06%
まず、2011年末からのリターンです(結構計算するの、骨折れるんですよ~)。VIGの様な連続増配株 VS HDVやVYMやSPYD(S&P500のうち高配当ベスト80)でも、比較してみてください。同じ期間で算出していますから。
2011年末~2021年5月のリターン
配当金再投資しているのですが、それでもS&P500指数にはわずかに負けています。しかも高配当ETFとちがって、ずっと負けています。
●2006年末~2021年5月のリターン
・・・しかし15年間に期間を拡げると一変します。今度はVIGが大きく、S&P500指数を上回りました。つまり2006~2010年まではVIGが大きく上回っていたことになります(2011~2021年の負けを打ち消して余りある位勝っていた)。
どうしてVIGが近年伸び悩んだかというと、2020年・2021年はともに特殊な事情がありました。それはGAFAMやテスラ・電気自動車関連銘柄などの未来のテクノロジー株が割高(PERが凄く高いです)になって、それがS&P500を引き上げています。これは高配当株やバリュー株が、S&P500に比べて伸び悩んでいるのと同じです。
このVIGは連続増配10年超の銘柄群ですが、配当貴族指数のような連続増配25年超(かつ、株の割合はすべて均一)でみても同じような結果になります。
シーゲル博士は「連続増配株は、市場に勝ちづづけた」的な理論は書かれていません。ですが、ダウ10種(ダウの配当上位10社)よりダウコア10種(連続増配15年超銘柄の中で、ダウの配当上位10社)のほうが成績が良く成ることを発見されています。VIGの様な連続増配株のほうが、そうでない株よりも成績がいい事は、長期的に見れば正しいのです。
上記の理論がふんだんにかかれた参考書
【当てはまる方は要チェック】
●市場平均かそれ以上のリターンが欲しい!
●含み損で大切なお金を失いたくない!
●米国株の選び方がよく解らない!
●ろくに業務内容知らなくても、儲かる法則があるなら教えて!
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